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選べたかもしれないもの

昨日は夕方から、阿佐ヶ谷にある小さなライブハウスへ。リトスタのokayanとミヤザキ店長、そして常連の方々のバンド「ナカマチテラス」の演奏を堪能させてもらった。ほとんどのお客さんはリトスタつながりで、とても和やかで、心の温まる時間だったように思う。

人間は、生まれた直後には、とてもたくさんの道の中から人生を選ぶことのできる可能性を与えられている。でも、時が過ぎ、年齢を重ねるにつれ、周囲の環境とか、人との関係とか、自分自身の意志とか、いろんな理由によって、そうした選択肢はだんだん少なくなっていく。

たとえば僕は、もうサッカー選手やボクサーには絶対になれない。絵描きにも、医者にも、それどころかたぶん普通の会社員ですら無理だ(苦笑)。昨日の夜の彼らのように、人前で歌を歌いながら演奏したりすることも、僕にはまったくできないし、それはずっと変わらないだろう。かつては選べたかもしれないけれど、今はもう選べないというものは、誰にとっても、きっとたくさんあるはずだ。

だから、今も選ぼうと思えば選べるものがある人には、それを大切にしてほしいと思う。歌を歌ったり、絵を描いたり、どんなことでも。やろうと思えばできることも、やらなければ、できないのと同じ。自分自身、あらためてそう思った。

叫び声

もうだいぶ前から、くりかえされている現象なのだけれど。

僕が住んでいるのは3階建てのマンションの1階にある部屋なのだが、毎晩、夜中の1時頃になると、うちの斜め上のどこかの部屋から、ヒャーッ!という素っ頓狂な女の叫び声と、ドン!と鈍く響く音が聞こえてくるのだ。

最初のうちは、何かの事件なのでは‥‥と訝しんだのだが、その叫び声と鈍い音の前後は、まったくもって静まり返っているので、どうやらそういうわけでもなさそうだ。ただ、少なくとも毎晩一回は、ほぼ必ず、ヒャーッ!ドン!という音が響いてくる。

あまりにも謎すぎるので、いろいろ想像してみた結果‥‥その部屋に住んでるのは一人暮らしのOLで、夜寝る前に、部屋に設置したサンドバッグを奇声とともにぶん殴って、日頃職場で溜め込んだストレスを発散してるのではないか‥‥いや、違うな絶対。

たぶん、この先もずっと解けないであろう謎。世の中、いろんな人がいるものだ。

嘘まみれの人生

先日、同業者の知人から「Twitterのフォロワーが20万人いるという海外ライターの人から、会って情報交換したいと言われたのだが、どうすればいいと思うか」という相談を受けた。

フォロワーが20万人というと芸能人でもかなり有名な人のレベルだが、その人のアカウントを見ても、そういう名前のトラベルライターに心当たりはない。Twitterにも、そこからリンクされているブログ(ちなみにアメブロ)にも、具体的な仕事歴は何も掲載されていない。

その人のブログやTwitterには、海外で撮ってきた街角や高級ホテルの写真がふんだんに掲載されているが、特に内容のないコメントが数行添えられているだけ。場所と時系列もまちまちで、手持ちのストック写真を使いまわしてるのだろうが、どういう意図で更新し続けているのかわからない。ちなみにフォロワーが20万人いるというこの人、フォロー相手も20万人いる(苦笑)。

あまりにも怪しすぎるので、その人の実名でググってみたら、案の定だった。アメブロの旅行ジャンルでトップクラスの人気ブログの内容を、その自称海外ライター(ていうか「海外ライター」って何?)がそのままパクって自分のブログに使っているという、第三者による検証記事がヒットしたのだ。この調子だと、その人のブログやTwitterの内容すべてにも疑念が湧いてくる。知人に接触を試みたのも、フォロワー20万人を見せ球に、何かしらの便宜を図ってもらおうとしたのだろう。

以前も、ソーシャルメディアについて個人的に思うところを書いたことがあるけれど、ソーシャルメディアは結局、今の時代のインフラでしかないのであって、現実を現実以上のものにすることはできないのだと思う。ソーシャルメディア上で有名になる人がいるのは、その人自身にそうなるべき資質や魅力が備わっていたからだ。中身がカラッポで他人のコンテンツをかすめ取るしか能のない人が、どれだけフォロワー集めに汲々としたところで、魅力的な人間になれるわけがない。

そんな嘘まみれの人生を生きて、何が楽しいのかな。20万人のフォロワーの中に、彼が本当に心を許せる人は、いったい何人いるのだろう。フォロワー集めなんて何の意味もないくだらないことに精を出すのをやめて、もっと当たり前の、嘘をつかない人生を生きてみてほしいと思う。

錯覚

この間、ネット通販でフェローズのバンカーズボックスを買った。仕事関係の資料、特に海外取材で手に入れるパンフなどは簡単に捨てられないのでたまる一方だし、テントやマットレスといったアウトドア道具もかなりごちゃごちゃ増えてきて、置き場に困っていたのだ。

バンカーズボックスは組み立ても簡単だし、容量も、強度も十分。とりあえず目につくものをかたっぱしから放り込んで、部屋の隅に3箱積み上げてみたが、見た目も白くてしゅっとしたデザインなので、違和感がない。普通のダンボール色の箱だったら、引っ越し直前みたいな雰囲気になっちゃうし。

それまで雑然としていた部屋の中が一気に片付いたので、すっきりしたなー、と、ちょっといい気分になっていたのだが、冷静に考えると、部屋にあるものが減ったわけでもなんでもなくて、単に箱に放り込んで、目につかないようにしただけなのだった。錯覚というか、問題の先送りというか(笑)。まあ、いいか。

クリスマスイブ

終日、部屋で仕事。タイのグラビアの初校をチェックして戻し終え、ほっと一息ついたと思ったら、別の仕事関係のメールが立て続けに着弾。そうすんなりとは仕事納めをさせてもらえそうにない。

夕方、食材の買い出しのため、外へ。近くのコンビニやパン屋の前では、サンタコスプレに身を包んだ女の子たちが、冷たい風に身を震わせながらチキンやケーキを売っていた。クリスマスイブの今日も、みんなそれぞれの場所で、それぞれの戦いをしながら生きている。

うちも、今夜の晩ごはんはチキン。スーパーのお惣菜の唐揚げだけど。うまいよ、唐揚げは(笑)。