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憎しみの理由

昨日はこまごました仕事で夜更かしして、今日は昼頃まで寝ていた。のっそり起きてMacを開き、パリで起きた無差別テロのニュースを知って、いきなりぶん殴られたかのように愕然とする。仕事で現地入りしていた知人は幸い無事だったが、それにしても、しかし‥‥。

「卑劣なテロにはけっして屈しない」「テロリストとは断固として戦う」と、各国首脳は口を揃える。確かに、テロはけっして容認されるべきではない行為だ。でも、テロはどんなに力ずくで抑え込もうとしても、ただそれだけではけっして根絶やしにはできない行為でもある。なぜ、何の関係もない無辜の人々を巻き込んでまで、テロリストは攻撃を仕掛けるのか。歩み寄るとか妥協するとかいう意味ではなく、彼らが憎しみを抱く理由にきちんと向き合おうとしなければ、テロの連鎖は永久に止まらない。

日本も、そうしたテロの連鎖と無縁ではないと思う。海の向こうの他人事などでは、けっしてない。

バンコクの電車

タイの首都バンコクは、周辺部を含めると人口が1500万人近くに達する巨大都市。街を行き交う車の数はすさまじく、どこもかしこも常に渋滞。場所や時間帯にもよるけれど、タクシーやトゥクトゥクでは、いつまでたっても目的地に着ける気がしない(苦笑)。だから先日の取材中は、常にBTS(スカイトレイン)とMRT(地下鉄)を軸に、必要に応じてチャオプラヤー・エクスプレス・ボートを組み合わせて街の中を移動していた。

BTSやMRTの車内はキンキンにエアコンが効いていて、椅子などもとても清潔。液晶モニタに流れる広告には日系企業のCMも多い。乗客たち、特に若い子たちはみんな、一心不乱にスマホをいじっている。そんな感じの車内なので、時々、東京で電車に乗ってるような錯覚に陥りそうになる。

ただ、一つ大きく違うと感じたのは、停車駅で年配の人や小さいお子さん連れの人が乗ってくるたびに、それまでスマホをいじってた若い人たちが、スパッ!と立ち上がって席を譲っていたことだった。体力的に弱い立場の人を丁寧に気遣う彼らの態度は、仏教を篤く信仰する国だからというのもあるだろうが、東京の電車内の風景とはずいぶん違う。東京はほんと‥‥バレバレなのに寝たふりしてる若い人とか、結構いるし。

この点において、バンコクは東京に圧勝だなあ、と思う。

つかのまの日本

昨日の朝、2カ月ぶりにインドから日本に戻ってきた。

今年のインド滞在は、大小いろんな仕事が入り乱れていて、あれやこれやとあたふたしてるうちに、いつのまにか終わっていたという印象。出発前には心配事がたくさんあったし、実際に渡航してからも、特にスピティでありとあらゆるトラブルに見舞われたのだが、最後の最後でツキに見放されずに、どうにか乗り切ることができた。そういう意味では、今年もソデチャン(ツイてる人)でよかったなあと思う。

で、ひさしぶりに日本に帰ってきたのはいいのだが、10日後には再び日本を離れることになってしまった。プレスツアーに同行しての取材で、南アフリカに10日間。そのツアーから戻ってきた後、10月初旬からは、毎年恒例のタイ取材に4週間。何が何だかわからないうちに、このまま2015年が終わってしまいそうな気配だ。

今も南アに出発する前にやらなければならない仕事が山積なのだが、とりあえず深呼吸でもして、目の前のものに一つずつ、確実に取り組んでいこう。

それは本ではない

神戸連続児童殺傷事件の犯人が書いた本が、週間ベストセラーランキングで1位になったそうだ。版元は初版の10万部に加え、5万部を増刷。その一方、一部の書店では販売を中止する動きも増えているという。

この本については、出版社と著者が事前に遺族の了解を取っていなかったというその一点だけで、完全にアウトなので、内容の是非を論ずるに値しないと僕は考えている。出版社の社長がこの本についてどれだけそれっぽい社会的意義を並べ立てても、遺族の了解という絶対に外してはいけない手続きを確信犯的に外している事実に変わりはない。正直、反吐が出る。この本を書いた今では少年ではなくなった男にも、出版社の関係者にも、そして、遺族の了解を得ていないとわかっていながらこの本を買った人にも。

本は、人に寄り添い、支えるためのものだ。絶対に、傷ついた人の心をさらにえぐるようなものであってはならない。そんな本があるとしたら、それは本ではなく、紙クズ以下のものだ。

本を作る仕事に携わる者として、力を貸してくれるスタッフや書店員さんたち、そして読者に顔向けができないような本だけは、絶対に作らないようにしなければ、と思う。

膝上と膝下

今年の夏は、男性用の服でもショートパンツが流行ってるらしい。アパレルショップにもたくさん並んでるし、街の中でも、もう結構大勢の人がショートパンツを穿いて歩いている。

僕自身、グラミチのクロップドパンツを新旧合わせて3本持っていて、夏の外出時にはローテで穿いている。ただ、個人的には、膝下まであるクロップドなら問題ないけど、膝上丈のショートパンツを外出用に穿くのは、正直ちょっと気後れしてしまう。何というか‥‥膝小僧が露出すると、守備力が下がっちゃうような気がして(笑)。

そのうち慣れっこになって、部屋着で穿いてるスウェットのショートパンツと同じような感覚で街にも繰り出すようになるのかもしれないけど。まあ、それ以前に、もうええ歳こいたおっさんだしね(苦笑)。