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美白クリーム

見知らぬ人から、メールが届いた。インドで流行しているものについて調べているのだという。

「インドでは最近、男性用美白クリームが流行っていると聞きました。山本様が住んでいたところでも流行っていましたでしょうか?」

その人によると、男性用美白クリームは今、ムンバイやバンガロールなどで大人気なのだとか。本当かどうか知らないが‥‥美白クリーム? あの、年がら年中、紫外線降り注ぎまくりのラダックで?

一人前のラダックの男が、美白クリームなんて塗ってたら、まじで気味悪がられると思う(笑)。でも、最近の若い子はどうなのかな‥‥情報求ム。

「3 idiots」

今年の夏のラダックでは、インド人観光客の姿がやたらめったら目についた。どうしてこんなに多いのかとラダック人の知人に聞くと、去年インドで大ヒットしたアーミル・カーン制作・主演の「3 idiots」という映画のラストシーンが、ラダックのパンゴン・ツォという湖で撮影されていたからだという。その後、別のラダック人の友人夫妻の家に泊めてもらった時に、この映画の英語字幕入りDVDを観ることができた。

工科大学で「三バカトリオ」(3 idiots)と呼ばれていた、ランチョ、ファラン、ラジュの同級生三人。だが、卒業から十年、学年でも一番の天才だったランチョは消息不明のままだった。ところがある日、ファランとラジュを呼び出したかつての同級生チャトゥルは、ランチョの居場所を知っていると話す。十年前に交わした、彼とランチョのどっちが十年後に成功を収めているかという賭けの結果を確かめる時がきたというのだ。三人は一台の車に乗り、インド北部へとランチョを探す旅に出る——。

いやはや、面白い。これは予想以上にいい映画だ。

物語は、学生時代の三バカトリオのさまざまなエピソードと、ランチョ探しの旅とが並行して語られていく。コメディタッチの展開が続くのかと思いきや、ものづくりに携わることの素晴らしさを描いたり、偏狭な教育制度や自殺者の増加などの社会問題についてチクッと刺すところもあって、なかなか奥が深い。大切なのは、人が自分らしさを忘れずに生きていくこと。そして、大切な人を想い続けて生きていくこと。この映画のメッセージはそこに込められている。

三時間近くもある長い映画で、正直、学生時代のエピソードがありえない展開かつテンコ盛りすぎなのは否めないが、何だかんだでグイグイ引き込まれて、観終わった後はものすごくスッキリした気分になった。終盤に登場するラダックの学校(シェイにある学校の校舎で撮影された)の描写や、ラストシーンのパンゴン・ツォのターコイズ・ブルーの湖水も素晴らしかった。ラダックびいきとしては、もうちょっと長い尺をラダックに割いてほしかったけど(笑)。

アーミル・カーンは、最近のインド映画界の中では随一のヒットメーカーとして知られている。以前、ラダック滞在中にテレビで観た「Taare Zameen Par」は、発達障害を抱えながらたぐいまれな絵の才能を秘めた少年を主人公にした映画で、これもすごく面白かったのを憶えている(デチェンは「あたしは、この映画の男の子が大好きなんだよ!」と言ってたっけ)。日本のどこかの映画館で、アーミル・カーン作品の特集上映をやってくれたらいいのに。絶対にヒットすると思うのだが‥‥。

旅音「インドホリック」

ラダックから日本に帰ってきた時、旅音の新刊「インドホリック」が、僕のいない間に発売されていたことを知った。しかも、「ラダックの風息」と同じ出版社から。そこから不思議な縁がつながって、11月3日に開催するトークイベントのゲストとしてお招きすることになったのだが、それはまた別の話。

旅音とは鎌倉在住のご夫婦で、ご主人の林澄里さんが写真とWebを、奥さんの加奈子さんが文章を担当されている。中南米を一年かけて旅した日々を描いた前作「中南米スイッチ」もそうだったが、この「インドホリック」も、瀟酒でとても美しい本だ。鮮やかな色彩のインドの情景を、みずみずしい感性で切り取った写真の数々。インド各地を約半年かけて旅した日々を綴る文章は、感動した出来事があった時も、困ったトラブルに遭遇した時も、きちんと抑制が効いていて、ニュートラルな視線に好感が持てる。

旅行記というと、自分の行為に陶酔してしまったり、妙にカッコつけてしまったり、あるいは面白おかしくウケを狙ったりしてしまいがちだが、旅音による二冊の本は、本当に自然体で、いい案配のバランス感覚でまとめられている。それはたぶん、彼ら自身が、旅というものに対する自分たちなりのスタンスを確立しているからだろう。

長い旅を経験した人の中には、疲弊して擦り切れてしまったり、何かが変質してしまう人も少なからずいる。でも、旅音の二人は、異国に対するフレッシュな好奇心と敬意を抱きながら、実にのびのびと旅を楽しんでいる。それでいて、自分たちらしさも忘れていない。「旅の達人」といった類の人たちとは違う。「旅を楽しむことがうまい人たち」なのだと思う。そして、そういう人たちが作った本というのは、読んでいても気分がいい。

できれば、せめてあと1折(16ページ)はページ数に余裕を持たせて、その分、見開きや1ページ断ち落としでズバッとレイアウトされた写真をもっと見たかった‥‥というのは、贅沢すぎる注文か。フルカラーの本でこれ以上ページ数を増やすのは、採算面でかなり厳しくなるのはわかっているけれど。

福引の景品

ナマステ・インディア二日目。今日も朝からジュレーラダックのブースで売り子を担当。暑いくらいの快晴で、何を血迷ったか、代々木公園ではセミが鳴いている。飲食ブースを中心に、会場は押すな押すなの大混雑。みんな、そんなにカレーが好きなのか。

会場では、300円を払うと挑戦できる福引コーナーがあって、その当たり外れとは別に、抽選で一名にエア・インディアのインド往復航空券が当たる抽選券がもらえる仕組みになっていた。もっぱら航空券目当てで福引をやってみると、「おめでとうございます〜! ショールが当たりました!」と言われる。どこかの売れ残りっぽい微妙な柄のショールが山積みになっていたので、その中からカーキ色の地味なショールをもらうことにした。

午後三時半から行われたインド往復航空券の抽選会。結果は‥‥もちろんハズレ。「外れた方の中から、抽選で五名様に、エア・インディアのマスコットキャラクター、マハラジャの人形を差し上げます!」と言われるが‥‥猛烈に欲しくない‥‥。まあ、人形が当たったら当たったで、ネタにはなったかもしれないが。

おおむね好天に恵まれたおかげで、ジュレーラダックのブースでの売上は、二日間のイベントに参加した中では過去最高を記録。写真展のポストカードも好評だったようで、ほっとした。終了時間近くになって急に雨が降ってきて、折り畳み傘も持っていないし、さて、どうしたものか‥‥と思案していたら、300円の福引で当たったショールがあったことに気づく。福引の景品が、思わぬところで役に立った。そのショールを羽織った姿をコンビニの店内にあった鏡で見ると、まるでトチローみたいだったが(笑)。

代々木公園のインド

今日と明日の二日間、ナマステ・インディアというインドフェスティバルが代々木公園で開催される。僕はジュレーラダックのブースの手伝いのため、朝から現地入り。午前中は小雨混じりの冷たい風が吹いていて、お客さんもほとんどいなかったのだが、幸い、昼頃からは雲一つない快晴。売上もまずまずだった。

僕のもう一つのブログ「Days in Ladakh」やミクシィのラダックコミュニティを見て、僕なんぞの顔を見にわざわざ足を運んでくださった方も何人かいて(ほんとすみません)、ポストカードを手に「写真展、楽しみにしています!」と笑顔で言ってくださるのを聞くと、ありがたいことだなあ、と思う。みなさんに喜んでもらえるような写真展にしなければ‥‥と気を引き締める。

休憩時間に、タンドーリチキンとビールを堪能しつつ、会場内をぶらつく。当たり前だが、どこもかしこもインド一色(笑)。アンビカのレトルトインドカレーが、よりどりみどりで3パック500円! 即決で購入。あとで、もう3パック買えばよかったかなとも思ったが、明日もあるし、まあいいか。

というわけで、明日もナマステ・インディアで一日売り子。天気がよさそうだから、お客さんもさらに増えそうだ。