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平日の夜に映画

昼の間に原稿を書き進め、夕方、新宿へ。1週間、1日1回だけ上映されているテルグ映画「バーフバリ 伝説誕生」を観に行く。今回のは前編で、後編も近い将来国内で上映予定らしいので、レビューは全部観てからにしようと思うが……濃い。濃い濃い濃い。めっっっっちゃ濃い。これ以上濃い映画を作るのは不可能ではないかと思う。いや、ほめてるんだけど。

それにしても、平日の夜にふらっと映画館、というのも、なかなかいいものだなと思う。仕事の都合さえつけられれば平日も週末も関係ない、フリーランスならではの気楽さもあるが。観終わって映画館の外に出る時、夜がすっかり更けていて、ちょっとさみしかったりするところも。

さて、今夜はゆっくり寝て、明日からまたがんばろ。

道しるべ

昨日はモンベル御徒町店で、写真家の関健作さんとのトークイベント。昼に会場入りして、椅子やプロジェクターの設営と、書籍販売の準備。会場はほぼ満席。いざ本番……となると、毎度のことながら緊張して、何をしゃべったかあまり覚えてない(苦笑)。関さんの軽妙なトークに助けてもらいながら、どうにかこうにか乗り切った。

終了後は希望者の型に本へのサインなどをさせていただいて、その後はあたふたと撤収作業をして、曙橋へ移動。チベットレストランタシデレでの懇親会。こちらも満席で、みなさん楽しそうに歓談されていて、良かった。しかしまあ、自分で企画しておいて何だが、イベントからサイン対応から懇親会まで、全部ひとつながりのイベントみたいなもので、気を抜く暇がまったくなかったから、さすがに、こてんぱんに疲れた。

お客さんにも、いろんな人がいる。気軽に足を運んでもらってワイワイ楽しんでもらうのも、もちろん嬉しい。自身も写真や文章に携わっていて、何かのヒントをつかみ取ろうとしている人も、もちろん歓迎。時には、何かで思い悩んでいて、心の深いところから取り出してきた質問を投げかけてくる人もいる。そういう質問には、こちらも真剣に応えなければいけない。

僕らが生きてきた中でたくわえてきたものが、誰かが生きていくための道しるべになるのかもしれないなら、喜んで差し出そうと思う。いつかまた、こういう機会があれば。

Sounds good

個人の取材旅行でアラスカ、つまりアメリカに行くのもこの間で3回目。だからというわけでもないが、「アメリカ人、妙にこれをよく使うな〜」と感じる言い回しがあるのに気付いた。それは、「Sounds good」。相手が何かを選んだりした時に相槌を打つ感じで「いいねえ」と言う時の言い方だ。

たとえば、レストランやカフェで何かを注文した時、ホールスタッフはよく「Sounds good」と言う。店で何かを買った時、列車の車掌に行き先を聞かれた時、飛行機でCAに機内食はビーフかチキンかを答えた時でさえ、みんなほんとによく使う。英語圏の人ならではの、ちょっとこなれた言い回しなのかもしれない。

というのも、僕が主に旅をしているインドやアジア諸国では、こんな言い回しをされた記憶がさっぱりないからだ。英語が超堪能なスタッフのいる高級ホテルとかなら通じるのかもしれないが、そんなとこには縁はないし。

そういえばちょっと昔、レーのツーリスト向けカフェでブレックファストを注文しようとして、卵の焼き方を聞かれて「Sunny-side up」と答えたら、ネパール人のホールスタッフには1ミリも通じなかった(苦笑)。英語のこなれた言い回しを知っていても、何の役に立たない場所は、世界にまだまだたくさんある。

関健作×山本高樹 トークイベント「僕たちはブータンとラダックで、撮って、書いて、生きてきた。」


毎年春の恒例行事となりつつある、ブータン写真家の関健作さんとのコラボトークイベント。今回は、お互いの旅と写真と文章のルーツ、それぞれのメインフィールドにこだわり続ける理由などについて、じっくり話してみようと思っています。ご来場、お待ちしています。

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関健作×山本高樹 トークイベント
「僕たちはブータンとラダックで、撮って、書いて、生きてきた。」

旅に出て、ある場所に出会う。そこはもしかすると、あなたが訪れるのをずっと待ってくれていた場所かもしれません。ヒマラヤの東の小国ブータンに出会った関健作と、ヒマラヤの西外れの辺境ラダックに出会った山本高樹。彼らは何に惹かれ、何を求めて、それぞれの土地に関わり続けることを選んだのでしょうか。二人の写真家がこれまでに紡いできた写真と言葉の変遷をたどりながら、異国への旅、そして人生について、じっくりと考えてみるトークイベントです。

■日時:3月25日(土)14:30〜16:30(14:00開場)
■会場:モンベル 御徒町店 4F サロン
東京都台東区上野3-22-6 コムテラス御徒町
TEL03-5817-7891
http://www.montbell.jp/
■定員:80名(メールによる事前予約制)
■主催:GNHトラベル&サービス
http://gnhtravel.com/

「カプール家の家族写真」

年末年始のキネカ大森でのインド映画鑑賞、2本目に観たのは「カプール家の家族写真」。観る前は、ポスタービジュアルのイメージから、明るい家族モノのコメディだと思い込んでいた。確かに笑わせどころは各所に散りばめられているものの、全体的にはかなりシリアスに、家族というテーマそのものについてがっちりと描いた作品だった。

南インドの美しい避暑地クーヌールに暮らすカプール一家は、祖父アマルジートと父ハルシュ、母スニーターの3人暮らし。ある時、心臓発作で倒れて入院した祖父を見舞いに、実家を離れていた2人の息子、ラーフルとアルジュンが戻ってくる。事業に失敗した上、女性の影もちらついているハルシュ。ケータリング事業のアイデアを夫に反対され、険悪な関係になっているスニーター。ベストセラー作家として成功しているものの、人に言えない苦悩を抱えるラーフル。何をやっても長続きせず、優秀な兄に引け目を感じているアルジュン。ひさしぶりに再会しても言い争いばかりの家族たちは、それでもアマルジートの90歳の誕生日を祝おうと、たくさんの人々を招いてのパーティーを企画したのだが……。

幸せになろうとして、それぞれがんばっているのに、うまくいかなくて。誰にも言えない秘密を抱え、でも自分を理解してもらいたいのに、気持はすれ違うばかりで。やがて家族は、ある日、床に落としたコップのように、粉々に砕けてしまう。それでも家族は、かけらを一つひとつ拾い集め、どうにかこうにかつなぎ合わせようとする。たとえ、もうどこにも見つけられないかけらがあったとしても。

家族というつながりは、ある意味、とてもめんどくさい。でも、ほかのどんな人とのつながりにも代えられない絆でもある。現実の世界はなかなかハッピーエンドにはならないけれど、それでも人は、家族は、ほんのいっときでも幸せでありたいと願うのだ。