『Ponniyin Selvan(ポンニ河の息子)』は、1950年にラーマスワーミ・クリシュナムールティが雑誌で連載を始めた歴史小説で、最終的に全5冊にまとめられ、インドで大ベストセラー&ロングセラーとなった。9世紀から13世紀頃にかけて南インド一帯を支配していたチョーラ朝の歴史の中でも、10世紀頃の全盛期の王、ラージャラージャ一世が即位する直前の時代を舞台にしている。その小説が長い時を経て、ついに映画化された。「PS1 黄金の河」が前編、「PS2 大いなる船出」が後編となる。
というわけで、気合を入れて、前後編を観てきた。……いやー、濃かった。壮麗な映像から溢れ出る情報量があまりにも濃密で、観終わった後、ちょっとぐったりしながら映画館を出るはめになった(笑)。もちろん面白かったのだけれど、タミル映画ビギナーの人には、出てくる男性俳優がほぼ全員長髪髭面なので識別しづらいとか、物語に入り込むまでに、それなりのハードルの高さはあるかもしれない。
明確な主人公を据えない群像劇ではあるのだけれど、やはりもっとも重要な軸となるのは、第一王子アーディタと、彼と深い因縁を持つナンディニの悲恋の末路になるのかなと思う。あまりにも残酷な運命に翻弄されたナンディニを演じたアイシュワリヤー・ラーイの演技は、本当に見事だった。
「バーフバリ」や「RRR」のような映画が世界規模でヒットするようになって、この「PS1」「PS2」のような歴史大作も映画化される時代になったのは、インド映画界にとっても、それを日本の劇場で観ることのできる僕たちにとっても、良い傾向だな、と思う。