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寄る年波

何だかんだで、僕もかれこれ半世紀かそこら生きてきていて、すっかりええ歳こいたおっさんである。

身体年齢はそこまでいってない(と思いたい)。腹がぽっこり出てたりもしてない。若い頃に運動してた分の若干の貯金と、ここ数年の自体重筋トレのおかげで、身体はまあまあ締まってるし、同年代ではそれなりに動ける方だと思う。

それでもまあ、寄る年波は、やはりひしひしと感じるのだ。たとえば、目とか、関節とか。

目はもともと若い頃からド近眼でずっとメガネを使ってるのだが、最近、本の校正で地図やキャプションの小さな文字を見分けるのが、結構難しくなってきた。だんだん老眼が入ってきてるのだろう。関節は、何年か前に左右の膝を撮影やらトレッキングやらの時に傷めて、今も、ちょっとした動作でも用心深く動かすようにしている。

で、最近は、肩だ。右肩の前側、奥の方にある細い筋が、動かし方によってひきつるように痛む。これはあれか、いわゆる四十肩か。いや、五十肩か。まあどっちでもいいけど。いろいろガタが来てるなあという感じだ。

髪の毛も、ボリュームは十分あるけど、それなりに白髪が増えてきたし。まあでも、人間、誰しもそういうものなのだろうな。

少しずつ近付いてくる黄昏時を感じながら、一日一日を生きていこうと思う。

オーバーヒート

今週、水曜の朝くらいから、ちょっと調子がおかしくなった。

半年に一度くらい、たまになる症状なのだが、眼精疲労が限度を超えて、前頭葉がどろりと重く痺れたような感じになり、まったく作業に集中できなくなってしまった。原因は、仕事で根を詰めすぎて過集中の状態が続いて、それを回復させるのに見合う睡眠時間が十分取れていなかったからだと思う。

この状態になってしまうと、本の原稿のリライト作業などは全然無理なので、あきらめて、ベッドに横になってひたすら寝ることにした。眠れない時間でも、目を閉じて横になって、とにかく目と脳を休める。それだけでも、回復度合はずいぶんと違う。

どっぷり眠り続けたおかげで、木曜はだいぶ持ち直し、日中は理髪店まで歩いて出かけられるくらいにまでなった。今日はもう、すっかり回復。目も脳もしゃっきりリフレッシュしていて、原稿のリライトもすいすいはかどった。

若い頃は、こんな風に目と脳がオーバーヒートするまでの限界値も、もっとずっと高くて、無理して粘れていたような気もする。まあでも、それできっちり結果を出せていたかと言うと、それほどでもない気もする(苦笑)。なので、おっさんとして身の程をわきまえつつ、これからも休み休みやっていこうと思う。

マスクとメガネで山歩き


一昨日の月曜日、ひさしぶりに、山歩きに行った。歩いたのは、おなじみの陣馬山から高尾山までの縦走コース。今年の正月明けに行って以来だから、ほぼ11カ月ぶりの山歩きになる。空は快晴で、寒すぎることもなく、気持ちよく歩くことができた。

コロナ禍のご時世なので、今回はマスクを持って行った。ファイントラックのノベルティでもらったマスクで、それほど気密性は高くないが、マスク本体にある程度強度があるので、少々雑に扱っても大丈夫そうなものだ。行き帰りの移動中は当然として、登山道を歩いている時はどうしようかと思ったのだが、周りに誰もいなければマスクを外してサコッシュに入れ、人が多めのところでは装着することにした。今回のルートだと、城山から高尾山の頂上付近のあたりではマスクをつけていた。

結論。僕のようなメガネユーザーが、秋冬の山歩きにマスクをつけるのは、やめた方がいい。寒い上に呼吸も荒くなるので、メガネが曇って足元が見えづらくなり、めっちゃ危ない。つけっぱなしだとどうしようもないので、しょっちゅうマスクをつけ外ししながら歩かなければならなかった。やれやれである。

僕も持っているアンダーアーマーのマスクなどであれば、それなりに気密性が高くメガネも曇りにくいと思うのだが、山歩き中の気温の低さと呼吸の荒さを考えると、万全ではないと思う。山歩き好きのメガネユーザーの方は、マスクの使い方にくれぐれもお気をつけて。

巻き添えを避ける

少し前からの欧米諸国の状況から、ある程度予想されていたことではあるが、日本にもいよいよ、コロナ禍の第三波がやってきた。

この一年間を振り返ってみても、日本の行政の対応はまったくあてにならないとよくわかったので、自分の身は自分で守るしかない。外出中のマスク着用。こまめな手指の消毒。人混みへの外出を避ける。大人数での外食や飲み会も避ける。帰宅後はうがいと手洗いをする。ベーシックな予防対策を、地味に続けていくしかない。あとは、できるだけちゃんをごはんを食べて栄養を摂り、できるだけちゃんと寝て疲労を取り、本を読んだり音楽を聴いたり家で映画を観たりして、心の緊張を緩めることも大事だと思う(逆に、煽情的なテレビ番組やWebサイト、SNSのタイムラインは、見過ぎない方がいいと個人的には思う)。

それと、世の中がこんな風になってくると、コロナ禍に対する危機意識が明らかに低い人や、予防対策などの自己管理能力の低い人、もう自分も他人もどうなったっていいと破れかぶれになっている人なども、少なからず街で見かける。そうした人たちにちゃんとしてくれと強要することはできないが、その人たちの巻き添えを食って自分や家族にダメージが及ぶ結果になるのも、もちろんよくない。

なので、そういう損な巻き添えを避けるためには、街に出る頻度をできるだけ減らして、外出する際には周囲に気を配って用心しなければならない。こう書いてるだけで疲れる話だが、今認可申請中のワクチンが日本で出回る来年の上半期までは、我慢するしかないな、と思う。

それは果たして趣味なのか

僕には、いわゆる趣味というものがない。もし今、何かの必要にかられて、昔ながらの履歴書用紙で自分の履歴書を作れと言われたら、「趣味・特技」の欄で、はたと行き詰まってしまうだろう。

でも、よくよく考えてみると、世の中年男性が趣味としてハマりそうなことは、かなりの数、僕もやってしまっていることに気づく。たとえば、ハンドドリップでいれるコーヒーとか。自分で作るスパイスカレーとか。自重トレーニングとか。カメラとか。あと、旅行とか。

ただ、それらが自分にとっての趣味なのか、と言われると、明らかに違う気がする。コーヒーやカレーは日常の家事の一部と化していて、特に趣味的にお金や時間を投じているわけではないし。自重トレーニングは、重い撮影機材を担ぐ海外取材に耐えられる身体を維持するためだし。カメラと旅行は言うまでもなく、僕の仕事の一部だし。

なので、ほかの人にとっては趣味になりそうなことでも、僕の場合は日常の家事や習慣、あるいは仕事という属性になってしまっている。それでもまあ、コーヒーもカレーも自重トレもカメラも旅も、やってる時はどれもそれなりに面白いし、楽しい。なので、趣味というわけではないけれど、日常と人生の一部分としては、僕にとって大切で、必要な存在なのだと思う。

オチも何もないけれど、まあ、そんなことをつらつらと考えた次第。

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小林真樹著『食べ歩くインド 北・東編/南・西編』読了。インド全土及びその周辺国の食文化を、現地を旅して食べ歩いて得た膨大な経験をもとに2冊にまとめた労作。読み進めていくと、各地域の風習や宗教にもとづく食の特徴と、ほかの地域の食との相関関係がしぜんと見えてくる。各地の有名レストランや知る人ぞ知る穴場などを紹介するガイドブックとしての側面もあるが、僕は文化人類学的な食文化考察の本としての面白さを感じた。同じく小林さんの書かれた『日本の中のインド亜大陸食紀行』と併せて読めば、意外と身近にある日本とインド亜大陸各国の食文化を通じた関わりについても理解が深まると思う。