Tag: Health

「当たり前」について

行こうと思えば、いつでも行ける。やろうと思えば、いつでもできる。二年前までは、そんな風に思えることばかりだった気がする。

ここ十年来、ラダックに行かない年は一、二度くらいしかなかったし、タイに至っては七年連続で、まったく同じルートで取材していた。飽きたというほどではなかったけれど、あー、またここかあ、という感覚で旅していた部分は、確かにあった。

そうした感覚が、去年と今年のコロナ禍で、強制リセットされたみたいな状態になってしまった。飽きるほど見慣れていたはずの景色が、今となっては本当に懐かしい。いつの日かまたラダックに降り立って、レーのメイン・バザールをぶらぶら歩くことができたなら、それだけですっかり感動するだろう。タイの道端の露店でカオマンガイを食べれたなら、興奮でおかわりしてしまうかもしれない。

国内でも、今はまだ気軽な行き来もままならないし、友達と集まってのお茶会や飲み会も憚られる。イベントごともまだまだお預けの状態。ついこの間まで、何の気兼ねもなく享受できていた「当たり前」のものごとなのに。

自分に今できるのは、うっかり罹患しないように引き続き用心しつつ、この面倒な事態が過ぎ去った後に備えて、こつこつと準備しておくことくらいかな、と思う。

フローズン・ショルダー・モデルナ・アーム Part 2

モデルナ製ワクチン1回目の接種から、1日経過。

世間でモデルナ・アームと言われている症状は、ほんのわずか。右腕全体にほんのりとしただるさを感じるが、ほとんど気にならない。注射をした箇所の周囲数センチ四方を指で触ると少し痛みを感じるくらいで、見た目にも腫れなどはない。

不思議なのは、四十肩の慢性期の症状である肩周りの筋肉のこわばりや鈍い疼痛が、ずいぶん楽になっていることだ。狭まっている関節の可動範囲が元に戻ったわけではないが、動かせる範囲内では違和感も痛みもなく動かせる。肩が軽くなった、といってもいいくらい。

モデルナ製ワクチンの接種によって、右肩の周囲の筋肉の血流が一時的に活発になったために、四十肩特有の筋肉のこわばりや疼痛が軽減されているのだろうか……?(適当)

1回目の接種でこの状態なら、2回目の接種の後には、四十肩の症状はどうなるのだろうか……?(適当)

「楽しんでるでしょ?」というツッコミを受けたのだが、まあ、その通りである。

———

カーソン・マッカラーズ『心は孤独な狩人』読了。1930年代後半のアメリカ南部の町を舞台にした群像劇。誰も彼もが悩みを抱え、それらを本当には分かち合えないまま、孤独に苛まれている。行手には、光すら見えない。そんな人々の姿が、優しいまなざしで淡々と描かれている。この世界に満ち満ちている心の孤独は、2021年の今も、何も変わっていない。

しかし、この傑作長編が、著者が23歳の時のデビュー作だとは……凄すぎる。

フローズン・ショルダー・モデルナ・アーム Part 1

今日、新型コロナワクチンの1回目の接種に行ってきた。

僕の住んでいる杉並区では、自分の年代が一番後回しにされていた上、ワクチンの供給不足で予約もままならなくなっていたのだが、フリーランスを対象にした職域接種にタイミングよく申し込むことができ、どうにか今日、接種を受けられることになったのだった。ワクチンはモデルナ製である。

会場で簡単な問診を受け、いざ接種という時、案内のスタッフさんに「利き腕はどちらですか?」と訊かれたので、

「利き腕は右ですが、右は今、四十肩なので、右にお願いします!」

と答えると、スタッフさんは笑いを噛み殺しながら「右ですが、右にとのことです、四十肩だそうで!」と担当医に伝えてくれた。

接種自体はあっという間に終わった。夕方に家に戻ってきて、今、これを書いているが、いわゆるモデルナ・アームの兆候は、まだこれといって出てきていない、気がする。個人的には、四十肩の慢性期真っ只中で筋肉が凝り固まっている右腕に、ぷすっと針を刺して未知のワクチンを注入したら、いったいどうなるのか、かなり興味がある。痛みやだるさが倍加するのか、相殺されるのか、いつのまにかどっちもすっきり治ってしまったりするのか。

というわけで、四十肩とモデルナワクチンの相関関係について、しばらくレポートをしていこうと思う。誰にニーズがあるんだろ、こんなの(笑)。

フローズン・ショルダー

春頃から患っている、右肩痛。いわゆる四十肩、五十肩なのだが、最近になってようやく少しずつ、症状が和らいできた。

痛みが引いてきたのはいいものの、右肩から右肘にかけてが思うように動かせなくなっている状態はまだ続いている。肩周りの筋肉のいくつかがこわばってしまっていて、間接の可動域がすっかり狭まってしまっているのだ。右手を右腰に当てたり、背中でエプロンの紐を結んだりといった、何気ない作業がまともにできない。やれやれである。

四十肩の症状は、急性期(炎症が起こっていて痛みを伴う)、慢性期(炎症は収まっているが肩が思うように動かせない)、回復期(次第に肩が動かせるようになる)に分かれているそうだ。僕の状態は今、慢性期にあたるのだろう。自分でも笑えるくらい、肩の可動範囲が狭い。四十肩が英語で「フローズン・ショルダー」と呼ばれているらしいのも、納得である。

なので最近は、肩周りを少しずつ無理のない範囲で動かしたり、ストレッチをしたりして、リハビリに取り組んでいる。慢性期の段階でリハビリをおろそかにしていると、回復期に入っても以前のような可動域が復活しない場合もあるそうなので。

今は自宅での自重トレーニングも思うようにできていないから、早く完治させて、以前のように身体を動かせるようになりたいな、と思っている。まあ、焦りは禁物だけれど。

ワクチンはまだ遠し

僕の住んでいる杉並区では、僕の年代にあたる40歳から59歳の人を対象にした新型コロナワクチンの接種予約が始まる予定だった。杉並区ではこの年代が一番後回しにされている。区内では40歳以下の年代の感染者がとても多かったからだそうだ。

で、ワクチン接種の予約が取れたかというと、ダメだった。僕だけでなく、ほとんどの人が。国からのワクチン供給量が大幅に減っていて、接種予約を受け付けられるだけの量が確保できなかったからだという。他の自治体でも、あちこちで同じような状況だと聞く。

僕も内心、8月中くらいにはワクチンを2回打ち終えて、9月か10月には実家方面に帰省して回ろうかと思っていたのだが、この調子だと、年末年始の帰省も怪しくなってきた。仮に海外取材の依頼が来たとしても、ワクチンパスポートが取れないから、行くに行けない(まあ、タイもインドも年内は依頼は来ないだろうけど)。

いやはや。なんて間抜けなんだろう、今の日本の政府は。今日の東京の新規感染者数は、1308人。この状況で、来週からオリンピックとかやるつもりらしい。狂ってる。