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シュラスコの夜

今日は新宿に、シュラスコを食べに行った。

シュラスコというのは南米を中心によく食べられている肉料理で、長い鉄串に刺して焼いたいろんな種類の肉の塊を、ギャルソンがその場でナイフで削ぎ切ってサーブしてくれるというもの。今回行った店は2時間制で、時間内は肉とサラダバーが食べ放題。本の完成を自ら祝うべく、ぱーっとやるか、と乗り込んだ次第。

南アフリカでゲームミートをシュラスコスタイルで食べたのを除くと、シュラスコを食べるのは人生で2回目。前回はシュラスコのシステムを把握しきれないうちにはらぱんになって玉砕してしまったので、今回はいろいろ作戦を考えて臨むことにした。

まず、サラダバーの野菜類は肉の合間の口直し用と割り切って、温野菜とマリネを中心に最小限に。ビールも炭酸で腹が膨れてしまうので飲みすぎないように。肉の運ばれてくるペースが早すぎると感じたら、いったん断る時間帯を作って、自分のペースで皿にある肉を食べ続けられるようにする。

がんばった。ものすごくがんばった。作戦もうまくいったと思う。ほぼ全種類の肉を味わうことができたし、1時間半くらいは食べ続けることができた。まあ、最終的には、やっぱりはらぱんになったけども。

家に帰って体重計に乗ったら、今朝計った時より、1.4キロ増えていた(苦笑)

寄り添う写真

昼、リトスタへ。写真展「Thailand 6 P.M.」に合わせて販売してもらうため、「ラダックの風息[新装版]」と「ラダック ザンスカール スピティ[増補改訂版]」を箱詰めして、家から両手で抱えて搬入。ちょうどランチの時間が始まったので、いわしの南蛮漬け定食とコーヒーをいただいて、本を読みつつ、しばし在廊。

地元の人や、この界隈でお勤めの人らしいお客さんが、30人弱ほどご来店。そこはかとなく耳をそばだてていると、「あら、写真が変わったわね! どこかしら?」「タイだって」「そういえば前にベトナムでさあ……」「誰それさんとカンボジアに行った時はね……」といった会話が、あちこちから聞こえてきた。何だか嬉しかった。今回の写真展は、ごはんを食べながらゆったりした気分で写真を眺めて、それぞれの旅の思い出話とかを楽しんでもらえたらなあ……というイメージで考えた企画だったからだ。

見る者を圧倒するのではなく、何気なく、寄り添うような写真。そういう写真も、あっていいと思う。

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アントニオ・タブッキ著、須賀敦子訳「島とクジラと女をめぐる断片」読了。小さくて悲しくて美しい「断片集」。個人的には「インド夜想曲」よりもこっちの方が好きだ。最後のクジラのひとことが、くっと胸に刺さった。僕もアラスカで、クジラにああ思われていたのかもしれない。

年相応の酒

昨日の夜は、吉祥寺にあるスコティッシュパブで、ひさしぶりにウイスキーを飲んだ。タリスカーと、マッカラン。それぞれロックでシンプルに。タリスカーの、鼻に抜けるスパイシーな香り。そしてマッカランの、舌を包み込むようにまろくて華やかな味。

僕は、肝臓の強さ的には、人並みかそれ以上に酒は飲める方だ。でもウイスキーは、ごくたまに飲むことがあったくらいで、普段はもっぱらビールにしてしまっていた。無駄にイキがってた二十代の頃も、せいぜいバーボンのジャック・ダニエルをロックで飲む程度だった。

ウイスキーに手が出なかったのは、もちろん値段的な理由もあったのだが、どこかで「自分にはまだ早い、似合わない」という意識があったのかな、と今になって思う。まあでも、僕も年齢だけはもうすっかりおっさんだ。バーカウンターでウイスキーをちびちび啜っても、誰も何も言わないだろう。

……いや、それでもまだ、貫禄不足か?(苦笑)

カオニャオ太り

約2週間のラオスの旅で、とにかく毎日最高に楽しめたのは、食事だった。

ラオスのレストランでは、隣国タイの料理とよく似たメニューも結構あるのだが、タイは取材で毎年行ってるし(苦笑)、できるだけラオスらしい料理を食べようと思っていた。すると、しぜんとほぼ毎晩、ラープとカオニャオを選ぶようになった。

ラープというのは、肉や魚を粗みじんにして炒め、香草やライムと和えた料理だ。カオニャオはもち米のこと。食べる時は、カオニャオを適当な大きさで手に取り、ラープと一緒に指で挟み込むようにして口に入れる。これがもう、抜群にうまい。それと一緒に飲むビアラオ・ダークもたまらない。ラープ、カオニャオ、ビアラオ・ダーク。毎晩どころか、毎食この3つの組み合わせでもいいくらいだった。

そんなこんなでラオスの食をエンジョイして、日本に戻ってきてみたら、2キロ近くも太っていた(苦笑)。そりゃそうだ。毎日たらふくもち米を食らって、暑くなった旅の後半はビールもがばがば飲んでたんだから。

さすがにちょっとまずいので、この3日間ほど節制して、ほぼ元の体重まで戻した。でもまあ、幸せな太り方だったなあ。カオニャオ太り(笑)。

シベリアの甘さ

午前中、出版社から書類が届く。3月に出す新しい本の初校ゲラ一式。これからしばらく、この本の編集作業にかかりっきりになるだろう。よりによって確定申告の時期ともろかぶりなのが、非常に頭の痛いところだが。

午後、近所のスーパーへ。数日前に積もった雪が、街のあちこちで凍りついたまま残っている。旅でしばらく留守にしていたので、家にはおかずになりそうなものが何もない。月曜には実家から野菜が届くので、とりあえず晩飯にするための惣菜を買う。あとは、これからデスクワークで疲れるであろう脳に糖分を補給できそうなものを……と物色していて、ふと見つけたのが、シベリア。羊羹をカステラで挟んだ、あの懐かしいお菓子だ。

一時期はすっかり絶滅したかと思われていたこのシベリア、何年か前にジブリの映画に登場したことで息を吹き返して、今もひっそり流通しているらしい。買って帰って、仕事の休憩時間にホットミルクと一緒にいただくと、何とも言えない、朴訥な甘さ。たまにはこういうのもいいなあ、と思った。