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連絡先の交換

僕が初めて一人で海外を旅したのは、22歳の時。その頃は、旅先で知り合って仲良くなった人がいると、帰国した後にやりとりするために、お互いの住所と電話番号を交換したものだった。それで、旅先から絵ハガキを書いて送ったりもしたっけ。何しろ当時は、インターネットなんてほとんど使われていなかったから。

30歳の時に半年間のアジア横断の旅をした時は、連絡先として交換するのは、名前とフリーメールのアドレスに変わっていた。それでしばらく互いの状況をメールで知らせて、別の街で再び合流できそうなタイミングがあれば連絡を取って落ち合ったり。昔に比べればずいぶん便利になったけど、旅先で偶然に再会する喜びは、ちょっぴり削がれたような気もした。

そして最近は、メールアドレスだけでなく、「Facebookでフォローしてもいい?」とも訊かれるようになった。今では、インドやヨーロッパにいる知り合いとも、ほとんどリアルタイムでやりとりできる。確かに、コミュニケーションの距離感はものすごく近くなった。でも、何か味気ない気がしないでもない。

異国の切手が貼られた絵ハガキを受け取っていたあの頃の方が、やっぱり嬉しかったな、何となく。

フリーランスの休日は?

明日から、あちこちへ取材に出かける日々が始まる。水曜は朝イチの新幹線で大阪まで日帰りで。木曜は朝から都内で取材。金曜は朝イチの新幹線で静岡へ。原稿の〆切もかなり厳しいので、うっかり風邪もひけない(苦笑)。

今回だけでなく、先月依頼された取材もそうだったのだが、先方から提示されたスケジュールが、「土日祝日を返上して作業するのが当たり前」という設定にされている場合が最近多くなってきた。もちろん、いいものを作るために必要なら休日でもガシガシ働くけれど、今回は、単に先方のいろんな作業の遅れのしわよせが一番弱い立場の僕のところに来てしまっているだけなので(苦笑)、正直、何だかなあ、と思う。

四六時中働く前提になってしまったら、フリーランスの人間は、休日の予定が立てられなくなる。土日祝日に休む友人たちと予定も合わせられない。結果、友人が減るという由々しき事態に‥‥(苦笑)。今週は、木曜の夜に友人たちと中国茶をたしなむ宴の予定が入っていたのだが、原稿の〆切の設定が土日を返上してもきつすぎるので、順延してもらわざるを得なくなった。やれやれ。

こうなったら、もっと大物にならなきゃ、だな(笑)。

がんばりすぎない

午後、銀座でインタビューの仕事。ラダック関係以外ではひさしぶりの取材だったが、どうにか首尾よくやり遂げる。

その後、外苑前に移動し、以前「ラダックの風息」のデザインを担当していただいた井口文秀さんのオフィスを訪問。軽く打ち合わせをさせていただいた後、井口さん行きつけの広尾の寿司店へ。寿司といっても、値段的にはかなりこなれている店なのだが、その割にはとてもおいしかった。

井口さんとは、僕が雑誌編集をしていた頃からの戦友的な間柄。約10カ月ぶりにお会いしたのだが、僕が何の遠慮もなくいろんな話をするのを、ニコニコと笑いながら聞いていただいた。

話が僕の父の話題になった時、井口さんが僕にこう言った。

「ヤマタカさん。お父さんのことがあったからといって、がんばりすぎない方がいいですよ」

井口さんは約七年前にお母様を急な病で亡くされたのだが、その時、そこから立ち直ろうとがんばりすぎて、逆に辛い精神状態に陥った時期があったそうだ。あまりに強く思い詰めてしまうと、それが自分自身を追い詰めてしまう、と。

本当にそうだなあ、と思う。今の僕は、父を失ったことだけでなく、その後ラダックや日本で僕を支えてくれたたくさんの人たちに絶対に報いなければ、と背負い込んでいるふしがある。背負うものが重すぎると、僕自身がそれに押しつぶされてしまうかもしれない。

がんばりすぎないように、がんばろう。

慌ただしい日

昼、赤坂でラダック関連企画の本の担当編集者さんと打ち合わせ。今後の進め方やお互いの認識が再確認できて、有意義だった。現時点での自分にとって最優先すべき仕事だから、頑張りたいと思う。

午後は神保町で、別の出版社の編集者さんと打ち合わせ。明日の午後に僕が担当するインタビュー取材についてだったのだが、それとは別に、僕自身も取材されることになってしまった。だ、大丈夫だろうか‥‥(汗)。

打ち合わせの後、同じ神保町で「うきわねこ」原画展を見る。絵本も素晴らしかったけど、やっぱり原画は、感じられる「気配」が違う。牧野さん入魂の作品の数々、堪能させてもらった。

夜は新宿のブルックリンパーラーで、文化人類学者の宮坂清さんにひさびさに会う。ノルブリンカ・ゲストハウスの人たちから預かってきたプレゼントを渡した後、ラダックやその他いろんなことに話を咲かせた。こうして何の気兼ねもなく話ができる人がいてくれるというのは、ありがたいことだなあと思う。

ともあれ、今日は慌ただしい日だった。そして、明日の取材の準備はまだ終わっていない(汗)。

仕事納め

午後、原宿へ。一昨日に納品した、お役所仕事のデータの修正作業。半分くらいは、依頼元の手違いによる二度手間の作業だったのだが‥‥とりあえず、やっつけた。どうにかこうにか、仕事納め。

はー。解放感。正直、このお役所仕事に関しては、達成感は微塵もないけど(苦笑)。

夜は、新宿の陶玄房という居酒屋で飲み会。「氷の回廊 ヒマラヤの星降る村の物語」の著者、庄司康治さんにひさしぶりにお会いする。僕がもうすぐラダックに行くことを知って、わざわざ誘ってくださったのだ。庄司さんはこの冬、ネパールにある6812メートルの高峰、アマ・ダブラムを登られていたらしい。すごいというか、うらやましいというか‥‥。そういう高みに辿り着いた時、人には何が見えるのだろうか。

とにもかくにも、仕事納め。さて、荷造りだ。