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夏葉社「さよならのあとで」

死は、誰のもとにも平等に訪れる。死からは誰も逃れられないし、愛する人を失う悲しみからも、誰も逃れられない。誰よりも大切な存在だった人でさえ、時に唐突に、理不尽な形で失われていく。

さよならのあとで」は、英国の神学者で哲学者でもあった、ヘンリー・スコット・ホランドの「Death is nothing at all」という詩の本だ。詩集ではなく、この本には、ただ一編の詩しか収録されていない。四十二行の詩と、挿絵と、あとがき。ただそれだけなのに、ページをめくるたび、こんなにも胸を突き動かされるのはなぜだろう。何も印刷されていない、真っ白なページでさえ。この本でしか伝えられない、この本にしか届けられない思いが、一文字一文字ににじんで見える。

この詩は、唐突に立ち去ってしまった大切な人から届けられた言葉なのだと思う。私のことは何気なく心の隅にピンで留めて、これからも続いていく日常を精一杯生きてほしい。私はすぐそこで待っているから、と。僕にとって、それは父の言葉だった。

この「さよならのあとで」を編んだ夏葉社の島田潤一郎さんは、吉祥寺でたった一人で出版社を営んでいる方だ。三年前に会社を立ち上げる前、島田さんは親友でもあった従兄の方を交通事故で亡くした。その時からずっと、島田さんはこの本を作り続けてきたのだという。この本を出すために出版社を始めたといっていいほどの、ありったけの思いを込めて。これは、とても個人的な思いで作られた本だ。でも僕は、そういう個人的な思いを核に作られた本だけが、人の心を突き動かす力を持ち、ずっと読み継がれていくのだと思う。

大切な人を失った人のもとへ、この本が届きますように。

失くしてから気付くこと

朝、温かい布団の中でうとうとしていた時、夢を見た。どこかの台所で、実家の人間たちと食卓を囲んでいる夢。母がいて、妹とその家族がいて、そして父がいる。たぶん、ハヤシライスか何か食べていたのかな。

少し前までは、当たり前だと思っていた光景。でも今は、それがどれだけかけがえのない時間だったか、わかるような気がする。

たぶんそれは、家族との関係に限ったことではないのだろう。友達や仕事仲間と一緒に過ごす時間は、何でもないようであっても、実はとても大切なものなのだと思う。今頃気付くなんて、バカなんじゃねーの、ってことだが。

失くしてから気付くことは、実はとても多い。

仕事納まらず

昨日の夜は、神保町にある焼き鳥屋で、昔の職場関係の人たちと忘年会。ビールジョッキ片手に心おきなくいろんな話ができて、楽しかった。家までの帰り道があまりに寒くて、すっかり酔いが醒めちゃったけど。

今日は、再びずっと家に籠って仕事。世間的には、今日が仕事納めだったりするらしいが、今の僕にとっては「仕事納めって何?」という状況。毎日少しずつでも作業を進めなければ、とてもじゃないけど予定に間に合わない。時間がないからといって、推敲をおろそかにした原稿にもしたくない。他のスタッフが少しでも楽に作業できるように、今のうちからがんばっておかねば‥‥。

やるときゃやるのです。ワタクシも。

飲んだくれの会

昼、電車に乗って埼玉の西川口へ。ジュレーラダックの運営委員の方のお宅で、忘年会ならぬ「飲んだくれの会」。昼間から飲む酒は、背徳感と相まって格別。昼の二時から夜の十一時まで、ビールにワインに日本酒に焼酎と、ひたすらだらだらと飲み続けた。「飲んだくれの会」とはよくも名付けたものだ(笑)。

飲み会の話の流れで、「僕、女の子の方から好きって言われたこと、今までほとんどないですねー」と言うと、「そうやってぼけっとして気付かないでいるから、今まで何人も逃してるんじゃないですか! まったく!」と、女性陣から猛烈な剣幕で怒られた(苦笑)。いや、本当にそんなはずはないのだが‥‥すみません。

英才教育

夜、吉祥寺のタイ料理店、アムリタ食堂で忘年会。参加者は、十年以上前に勤めていた職場の元同僚たち。大部分の人は、もうその会社には関わっていないのだが、こうして今も集まって他愛のない話に興じることができるのは、うれしいことだなあと思う。

今夜のスペシャルゲストは、参加者のご家族の一人娘、ひなちゃん(三歳)。リンゴジュースでダメな大人たちと乾杯し、小さなタイ国旗が飾られたお子様ディナーをもりもり食べて「おいし〜!」とご満悦。で、おなかいっぱいになったら「おうちに帰る〜!」と、これまた正直で大変よろしい(笑)。

ひなちゃんには着々と英才教育が施されている。以前お母さんがInstagramにアップした写真には、ひなちゃんが「お母さん、ロボット作ったの〜!」と披露した、青、赤、黄の三体の人型が映っていた。また、以前ひなちゃんが「あんたバカァ?」とお母さんに言ったので、「バカって誰が?」と訊いたら、「バカシンジに決まってるでしょ!」という返事が返ってきたそうだ。‥‥将来有望だ(笑)。

たぶん来年は、親子三人で「Q」を観に行くに違いない(笑)。