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包み込むもの

今日はちょっと早起きして、電車に乗って鎌倉へ。材木座のゲストハウス亀時間で開催される、旅人バザールに行く。

去年の旅人バザールでは、僕は品物を持って出店する側の人間で、自分の売り場であたふたしてるうちに何も買えずに終わってしまったのだが、今年は普通に客として、ただただエンジョイするためだけに行った(笑)。ピルスナーウルケルとタコスのおひるを食べつつ、振り切れるくらい個性豊かな今年の出店者のみなさんのブースを見て回る。迷ってると欲しかったものはあっという間に売り切れてしまうので、早々にトリピエさんラオスの手刺繍のコースターなどをゲット。会場は、大盛況ながらものどかな雰囲気。ひさしぶりに会う知人のみなさんともご挨拶とおしゃべりができて、うれしかった。

このイベントのいいところは、誰かしらとつながりのある人も、そうでない人も、みんなをゆるーく包み込んでくれる温かさがあることじゃないかなと思う。去年出店させてもらった時もアウェイ感はまるで感じなかったし、客として訪れた今年も、本当に居心地がよくて、いくらでも会場にいられるんじゃないかと思った。

また来年も、期待してます。

高校時代の同級生

昼、西国分寺のクルミドコーヒーへ。高校時代の同級生とひさしぶりに会う。ひさしぶりというか、二十年以上ぶりくらいか。故郷に寄り付かなくなると、こんなことになってしまう。

彼は年相応に貫禄をつけていたけれど、温かみのある目線や声色は高校の頃のままだった。予備校の名物講師として各地を忙しく飛び回る彼は、二十代半ばで結婚して、今は大学生になった娘さんもいる。大勢の教え子に慕われる先生としても、家族を支える父親としても、彼はとても大きな、立派な存在になったのだなあ、と感じた。

ふりかえって、自分はどうだろう? ‥‥ダメだな。さっぱり成長してない(苦笑)。まだまだ、いろいろ甘すぎる。

関健作「ブータンの笑顔 新米教師が、ブータンの子どもたちと過ごした3年間」

関健作「ブータンの笑顔 新米教師が、ブータンの子どもたちと過ごした3年間」写真家の関健作さんと先日開催したモンベル渋谷店でのトークイベントの日は、関さん初の著書「ブータンの笑顔 新米教師が、ブータンの子どもたちと過ごした3年間」の発売日でもあった。発売までの紆余曲折をそこはかとなく聞いていたし、刷り上がりがイベント当日に間に合うかどうかも心配していたのだが、間に合ってよかった。イベント会場でも、大勢のお客さんが嬉しそうにこの本を買い求めていた。

関さんは青年海外協力隊の体育教師として、ブータン東部の辺境の地、タシヤンツェで三年間を過ごした。160ページの小ぶりなこの本には、関さんのその三年間の経験が、たくさんの写真とともにぎゅっと凝縮されている。日本とはあまりにもかけ離れた文化と価値観に戸惑い悪戦苦闘するうちに、関さん自身も、教え子の子供たちも、少しずつ変化していく。うまくいったことも、そうでなかったことも、関さんらしい真っ正直な文章で綴られているので、とても好感が持てた。

学生時代、陸上競技ひと筋で生きてきた関さんが挫折を味わい、新しい生き方を模索している時に、こういう形でブータンと関われたのは、とても幸せなことだったのではないかと思う。自分一人で完結する願望や満足のためではなく、その先につながる誰かのために何ができるのかを考えて生きるということ。ブータンから戻ってきた関さんが、写真家としてブータンと向き合う道を選んだ理由も、この本を読むと腑に落ちる。僕自身、かつて陸上競技で大きな挫折を経験したり、ラダックと関わって価値観や生き方が変わったりもしたから、共感できる部分もたくさんあった。

この本は、関さんにとってのひと区切りであると同時に、最初の一歩でもある。写真も、言葉も、これからもっともっと積み重ねられるはず。その先につながる誰かのために、これからもブータンと向き合い続けてほしいと思う。

接点を作る

昨日の夜はモンベル渋谷店で、ブータン写真家の関健作さんとのトークイベントに出演した。毎度のことながら緊張したが、関さんのおかげもあって、どうにかやり遂げることができた。

あいにくの雨の中、会場には定員の60名を超えるお客さんが集まり、発売されたばかりの関さんの本を大勢の人が買い求めていた。その余波か、少しだけ持ち込んだ僕の本も早々に売り切れてしまった。会場には、僕が何かのイベントに出る時によく参加して声をかけてくださるおなじみのお客さんもいれば、イベントの前まではラダックのことをよく知らなかったのに好きになってくれたというお客さんもいて、それぞれに何だかとてもうれしかった。

昔は、物書きあるいは写真家として本を一冊作り上げてしまえば、それで任務は完了だと思っていた。でも今は、本はとても大きな成果物ではあるけれど、伝えたいことを伝えるための道具の一つでしかない、とも感じている。今回のイベントのような形でいろんな人との接点を作り、自分が伝えたいことに気づいてもらうきっかけにする。それはささやかなきっかけでしかないかもしれないが、やがてとても大きな変化につながらないともかぎらない。

だからこれからも、自分にできる範囲で、そういう接点を作る努力をしていければと思う。

そば屋で飲む

この間の金曜日は、夕方に知人のデザイナーさんと打ち合わせ。終わった後、ちょっと飲もうということになり、西麻布のとあるそば屋に連れていってもらう。

蒸し暑い日だったので、とりあえずビール。よく冷えた小さめのグラスでちびちびと。コハダの酢締め、小アユの唐揚げ、そら豆など、夏らしい料理をつつく。二杯目から冷酒に切り替え、これまたちびちびと。最後は温かい具沢山のつけ汁の田舎そば。

こんな風にしてそば屋でちびちび飲むというのは、いい年の大人の特権なのかも、と思う。少なくとも、自分が二十代の頃はそば屋で飲むという発想はなかったし、実行してたとしても似合わなかっただろう。まあ、それだけおっさんになったということか。

これで、昼間からそば屋で冷酒を飲んだりすると、さらに背徳感が増してうまいんだよな(笑)。