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インプット、アウトプット

昨日は、天王洲アイルで開催されている「国境なき子どもたち」の写真展へ。四者四様、それぞれの写真家の方々のまなざしとまっすぐな思いが伝わってきて、素直にじーんときた。京都から上京されていた吉田亮人さんにひさしぶりにお会いできたのも嬉しかった。

その後は青山に移動して、イッテンモノ展へ。ここでも、たかしまさんやまつばらさんにひさびさにお会いできた。個性的な作家のみなさんが手作りのイッテンモノを販売していて、ほんわかとした楽しい空間が居心地よかった。

強い思いと実力を併せ持った「伝える人」や「表現する人」のアウトプットを、こうした場に足を運んで受け止めるのは、本当に良いインプットになるなあ、とあらためて思った。自覚できる部分でも、無意識の部分でも、経験や刺激になることがたくさんある。だからこういう場に足を運ぶことを厭わないようにしなきゃな、と思う。

そういう意味では、展示やイベントだけじゃなく、本もちゃんと読まなければ。今、自分の部屋にある、買ったはいいものの手をつけられないでいる、本の山‥‥。よ、読まなきゃ(汗)。

トモダチ

いつもあちこち取材に飛び回ってるというイメージがあるからか、僕のことを交友関係の広い人間だと思ってる人が結構多い。実際は全然そんなことはなく、友達を誘ってどこかに遊びに行ったりとか、飲み会を企画したりとかは、まったくやらない。人付き合いが苦手というわけではないけれど、それ以上に、一人でぼんやり過ごしてる時間の方が大好きだ(笑)。

友達って、そもそもどういう存在なんだろう、と思う。人間、いろいろ調子のいい時には、何もしなくても周囲にたくさん人が集まってくる。でも、調子ががくんと落ちた時、つらい苦境に立たされた時、気兼ねせずに弱音を吐ける相手はその中に何人いるだろうか。何百人も周りに集まってくる人気者でいるより、弱音を吐ける友達が一人でもいてくれる方が、僕にはありがたい。

自分のことを友達だと思ってくれる人がいるなら、その人にとってそういう友達であるように心がけたい、と思う。

そういえば

この週末は、のんびり過ごそうと思っていた。昨日はナマステ・インディアにちょこっと顔を出し、リトスタで飲んで、家に着いたらソファで寝落ち。今日は特に予定も入れず、家でだらだらするつもりでいた。

しかし、夕方頃になって、はたと気づいてしまった。そういえば、この夏、ラダックで出席して撮影した現地の結婚式の写真、送ってくれと言われてたのに、すっかり忘れてた‥‥ということに。次から次に降りかかる〆切やら、南ア取材やらに追いまくられてるうちに、頭の中からすっぽり抜けてしまっていたらしい。

で、さっきまで、ひーこら言いながらセレクトと現像をしてたという‥‥。ゴンパサルレ(ごめんなさい)、とラダックの方角に向かって謝ってみる。

「Queen」

queen成田からデリーに向かうエアインディアの機内で観た2本目の映画は「Queen」。2015年のフィルムフェア・アワードを受賞した作品で、機会があればぜひ観なくてはと思っていた。

菓子店の箱入り娘のラーニーは、結婚式を直前に控えたある日、婚約者のヴィジャイから急に破談を言い渡される。突然の申し入れに呆然とする家族。ショックに打ちひしがれたラーニーは閉じこもって泣き暮れていたが、ヴィジャイと計画していたハネムーンのヨーロッパ旅行に、なぜかたった一人で行くと言い出す。あらゆることに慣れない海外一人旅で右往左往しながら途方に暮れるラーニーを、パリ、そしてアムステルダムで待ち受けていた出会いとは‥‥。

インドの伝統的な社会構造の中では、女性はともすると抑圧された立場に置かれてしまいがちだが、最近では、そうした女性が抑圧を跳ね返して自らを軽やかに解き放つ作品もインドで観られるようになってきた。日本でも公開されてスマッシュヒットを記録した「English Vinglish」(邦題:マダム・イン・ニューヨーク)はその典型的な例で、この「Queen」もそうした作品の系譜に連なるものだ。

主演のカングナー・ラーナウトは今のインド映画界きっての若手演技派女優で、コロコロ変わる豊かな表情と台詞、迫真のヨッパライ演技まで(笑)、観ていて本当に楽しい。個人的には、海外一人旅初心者あるあるネタが随所にちりばめられているのもツボだった。新鮮な旅の経験にもまれながら、ラーニーが一人の女性として、でも変にヨーロッパ文化にかぶれたりすることもなく、少しずつ自分自身を見つめ直しながら新たな一歩を踏み出す勇気を手に入れていくプロセスは、心に響くものがあった。意外なことに、日本に関するエピソードも織り込まれていたりする。

この作品、日本で公開したら必ずヒットすると思うんだけど‥‥またシネスイッチ銀座あたりで‥‥どうですかね?

「若さは向こう見ず」

yjhd日本の映画館のスクリーンで観ることを長い間待ち焦がれていた作品を、ついに目にすることができた。「Yeh Jawaani Hai Deewani」、邦題「若さは向こう見ず」。去年のIFFJでの上映時は観ることができず(というかその時期は毎年タイ取材なので)、このまままともに観られずに終わるのかとかなりやきもきしていたのだが、本当にようやく、念願が叶った。

勉強ばかりの生真面目な生活に飽き飽きしていた医学生のナイナは、街で会った高校時代の同級生アディティが参加するマナリへのトレッキングツアーに自分も行こうと思い立つ。そのツアーには、高校の頃から人気者だったバニーとその友達アヴィも来ていた。世界中を旅しながら生きていきたいと語るバニーの自由奔放さに、振り回されながらも惹かれていくナイナ。しかしバニーは、3週間後にインドを離れてアメリカに渡る決意を固めていた‥‥。

物語の主軸はよくできたおとぎ話のようなラブストーリーなのだが、それと同時に、前半はナイナが一人の女性としての自分に目覚めて解き放たれていく物語、後半は世界を旅し続けてきたバニーがそれまで見過ごしていた大切な何かに気付いていく物語と、二人をはじめとする登場人物たちの成長を見守る物語にもなっている。各場面の描写は丁寧で美しく、台詞も気が利いていて、時にぐっと心に刺さる。個人的には、それまでほとんど出番のなかったバニーのお義母さんが終盤になって彼に語った台詞が、いろんな意味で自分自身にもシンクロする部分があって、かなり泣けた。

ヒット曲揃いのダンスシーンも、ここ数年来のインド映画の中では抜群の出来。最初から最後まで存分に浸って楽しんで、すっきりした気分で映画館を後にできる作品だ。スクリーンで観ることができて、本当によかった。