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飛び去っていく時間

終日、部屋で仕事。再校のチェックを進めながら、明日やることになった打ち合わせの手配や、初校が出た表紙回りのデータについてのやりとりなど。ついさっき、おひるにコンビニのサンドイッチを頬張りながらキーボードを叩いてたと思ったのに、今はもう夜半過ぎ。時間が、あっという間に飛び去っていく。

子供の頃、といっても小学校低学年くらいからのぼんやりした記憶しかないけど、その頃の僕には、自分の人生の先に横たわっている時間なんて、ほとんど無限に近いんじゃないかと思えるほど、時が経つのがゆっくりに感じられていた。今は、一日が同じ24時間だなんて信じられない。これから先の十年も、きっとあっという間なんだろうな。

まあ、それまでに、何かの拍子でぱたりと止まってしまうかもしれないけど。それもまた人生。

「才能」がなくても

最近、「才能」とか「素質」などと呼ばれる能力について考えることがある。生まれながらに持ち合わせた、他の人より秀でた能力。確かに、そういう力があるに越したことはないなと思うし、ある人はうらやましいなと思う。

ただ‥‥あまり範囲を広げすぎると収拾がつかなくなるけど、少なくとも僕が属している「本づくり」の世界では、「才能」がなくても、その差を埋め合わせて、ちゃんとした本を作ることはできると思う。それは執筆や編集、写真、イラスト、デザインなど、各職種にも通じる。

世の中でどんな本が読まれているのか、その中で自分が好きなのはどんな本なのかを「観察」すること。なぜそれがいいと思うのか「分析」すること。その上で、自分はどんな本を作りたいのか、その本で何を伝えたいのかを「突き詰める」こと。その本を実現するために必要な人に「協力」してもらうこと。細部まで手を抜かず、丁寧に、徹底的に「作り込む」こと。

忘れてはならないのは、本は、単に売り上げや人気だけを争うために作るものではないということだ。きちんと作られた本には、それぞれ果たすべき役割があって、届けられるべき人がいる。作り手の「才能」を見せつけるために本はあるのではない。作り手が伝えたいと思っている大切なことを伝えるために、本はある。

再校出稿

昼、デザイナーさんから、今作っている本の再校のPDFが届く。きれいに仕上げていただけて、本当に感謝。そこからさらに詰めていく作業に、これから没頭するわけだが。

その後は、関係各所へのメールや電話での連絡や、本に使う用紙についての最終打ち合わせなどに追われる。夕方はちょっと外に出て、まほろばさんでコーヒー豆を補充し、晩飯の食材の買い足し。今日はラタトゥイユと、キュウリと刻みショウガとゴマ油で浅漬けのようなものを作ってみた。夏野菜を食べると、身体の血の巡りがよくなって、じめじめした気分を吹き飛ばしてくれる気がする。

さて、ここからだ。

フォーマルウェア

昼、千駄ヶ谷でデザイナーさんと打ち合わせ。本の初校戻しと、本文用紙などについて話し合う。

今日の打ち合わせには、Tシャツとクロップドパンツとサンダルで出かけた。昨日からメールでやりとりしてるうちにそういう話の流れになった(どんな流れだ)のだが、もともと僕は、夏場はクロップドとサンダルで出かけることが多い。初対面の人への取材とかだとさすがに自重するが、見知った人との軽めの打ち合わせくらいだと、割とクロップドで行ってしまう。そういう時、相手の人はたいてい、僕を見て「おっ‥‥」と言った後、2、3秒おいて「‥‥夏ですねえ」と付け足す。まあ、そうだわな(笑)。

今日はデザイナーさんもクロップドパンツだったのだが、さすがにひと味違った。

「今夜はフォーマルな会合があるので、クロップドにしたんですよ。僕にとっては、クロップドはフォーマルで、ショートパンツはカジュアルです!」

今回の本、最後まで安心しておまかせできる気がする(笑)。いやほんとに。

背負える責任

出かける予定もないからゆっくり寝ていられるはずなのに、暑くて無意識にふとんをはねのけてしまって、割と早い時間に目が覚めてしまう。仕事もたんまりあるし、まあいいんだけど。

あちこちとメールや電話でやりとりしつつ、合間に先週取材した分の原稿を書き進める。本づくりのためのいろんな作業や手配が今は最優先だけど、発売の前後に取り組まなければならない、本を売るためのあれやこれやの手も、そろそろ考えていかなければならない。

今回の本はいつにも増して、出版社側に全部おまかせというやり方ではダメだと思っている。書店営業に可能なかぎり同行したり、プレスリリースのアイデアを出したりして、たとえ微力でも、編集者として打てる手があるなら全部打つくらいのつもりでいる。何というか‥‥自分ごときが背負える責任なら、全部背負ってでも前に進んでいきたいから。

いろいろやるよ、本気で。