Tag: Editing

フォーマルウェア

昼、千駄ヶ谷でデザイナーさんと打ち合わせ。本の初校戻しと、本文用紙などについて話し合う。

今日の打ち合わせには、Tシャツとクロップドパンツとサンダルで出かけた。昨日からメールでやりとりしてるうちにそういう話の流れになった(どんな流れだ)のだが、もともと僕は、夏場はクロップドとサンダルで出かけることが多い。初対面の人への取材とかだとさすがに自重するが、見知った人との軽めの打ち合わせくらいだと、割とクロップドで行ってしまう。そういう時、相手の人はたいてい、僕を見て「おっ‥‥」と言った後、2、3秒おいて「‥‥夏ですねえ」と付け足す。まあ、そうだわな(笑)。

今日はデザイナーさんもクロップドパンツだったのだが、さすがにひと味違った。

「今夜はフォーマルな会合があるので、クロップドにしたんですよ。僕にとっては、クロップドはフォーマルで、ショートパンツはカジュアルです!」

今回の本、最後まで安心しておまかせできる気がする(笑)。いやほんとに。

背負える責任

出かける予定もないからゆっくり寝ていられるはずなのに、暑くて無意識にふとんをはねのけてしまって、割と早い時間に目が覚めてしまう。仕事もたんまりあるし、まあいいんだけど。

あちこちとメールや電話でやりとりしつつ、合間に先週取材した分の原稿を書き進める。本づくりのためのいろんな作業や手配が今は最優先だけど、発売の前後に取り組まなければならない、本を売るためのあれやこれやの手も、そろそろ考えていかなければならない。

今回の本はいつにも増して、出版社側に全部おまかせというやり方ではダメだと思っている。書店営業に可能なかぎり同行したり、プレスリリースのアイデアを出したりして、たとえ微力でも、編集者として打てる手があるなら全部打つくらいのつもりでいる。何というか‥‥自分ごときが背負える責任なら、全部背負ってでも前に進んでいきたいから。

いろいろやるよ、本気で。

夏のはじまり

まるで真夏のような暑さ。まあ、今日で五月も終わりだから、それなりの時期だとはいうものの‥‥。2014年がすでに150日以上経ってしまったというのも、それはそれで衝撃だけど。

Tシャツに短パン姿で、扇風機に当たりながら、ゲラチェックに取り組む。だいぶ先の見通しがついてきた。あとは、とんでもないポカミスをやらかさないように、慎重に進めていかなければ。

夕方、サンダルをつっかけて、まほろばさんへコーヒー豆の補充に行く。隣のこいけ菓子店さんも通常営業中。売れ行き好調らしく、ショーケースはほとんど空になりかけていた。夜のおやつ用に、スパイスクッキーを何枚か。やっぱこの並びだと、両方買わずにいられない。危険(笑)。

帰り道、暮れていく空を見上げる。夏のはじまり。僕自身にとっても、いろんなことが待ち構えている夏でもある。がんばろ。

僕にとってのゴール

競争心というのは、時に強烈なモチベーションとなって、いい結果につながることがある。でも、自分が人より優れていると示したり、人より優れた結果を出したりすること自体が目的になってしまうのは、ちょっと違う気がする。特に、文章や、写真や、本づくりの世界においては。

僕にとっての本づくりの目的は、自分が大切にしていること、伝えたいことを、それを知ってほしいと思っている人に、自分にできる一番いい形で伝えること。そのためだけに、文章を書き、写真を撮り、本という形にして、読者の方に託す。それが、僕にとってのゴール。

自分の作った本が大勢の人に受け入れられれば、もちろんうれしいけれど、それよりも大事なのは、伝えたいと思ったことが、知ってほしいと思っている人にきちんと伝わったかどうか。そこがズレてしまっていたら、何冊売れようが何の意味もない。

そんなことを思いながら、今日も祈るような気持で、赤ボールペンを手にゲラと向き合う。

編集者とデザイナー

本を作る時の編集者とデザイナーとのやりとりというのは、人それぞれ、いろんなやり方があると思う。僕自身は、デザイナーさんとやりとりする時、一応心がけていることがいくつかある。

一つ目は、あらかじめ、原稿素材の整理をきっちりやること。とても入りそうもない量の材料を狭い部分に押し込もうとしたり、逆にスッカスカな部分をほっぽらかしたりするのは問題だ。そもそもの発注段階で設定ミスがあると、そういう困ったことになる。

二つ目は、レイアウトラフをちゃんと描くこと。イラレでも手描きでも、そのページの役割と注意すべき点を把握してもらいやすいように。ただ、あまりにも細かく決め込みすぎてしまうと、実際に組んでみた時に困ることもあるので、多少の余裕というか、デザイン時に自由に調整してもらえる部分を残しておく。

三つ目は、できるだけちゃんと会って打ち合わせすること。メールや電話だけだと、伝わっていると思っていたことが微妙に行き違ってしまったりする。話し合いをするうちに、思いがけないアイデアが降ってくることもあるし。

制作全体を通しての心がけとしては、こちらの意向をわかりやすく伝えつつ、それをちょこっと超えてくるようなデザインのアイデアを出してもらえることを期待するというか、アイデアを出してもらいやすいような状況を用意するというか。そのためには、時には関係各所に対していろんな交渉をしなければならない場合もあるけれど、それもまた編集者の仕事だ。

すべては、いい本を作るために。