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マキネッタ世代交代

五年ほど前、相方の友人の方から結婚祝いにいただいた、ペゼッティのマキネッタ。手軽にエスプレッソをいれられるのですっかり気に入って、毎日のように愛用していた。ただ最近になって、おそらく耐熱シリコンのパッキンの劣化などによって、うまくコーヒーをいれられなくなってきていた。あまりメジャーな品番でもないようで、Webで検索して探しても、交換パーツを扱っている店が見当たらない。残念だが、棚の奥に引退してもらって、新しいマキネッタを手に入れることにした。

新たに選んだのは、ビアレッティのヴィーナスというマキネッタ。耐久性の高いステンレス製で、構造や仕組み、使い方は前のペゼッティのとまったく同じ。割とメジャーな品番のようで、スペアパーツの調達にも困らなさそうだ。今回はカッパーとシルバーのツートンカラーのものにしてみたのだが、届いた実物はなかなか良い佇まい。またしても、すっかり気に入ってしまった。

豆を挽いてペーパードリップで美味しくいれるコーヒーも好きだけど、マキネッタで気軽にさくっとエスプレッソをいれるのも楽しい。僕の仕事日は、コーヒーとエスプレッソに支えられている(笑)。

小代焼のマグカップ


しばらく前から、マグカップを買おうと思って、どこかに良いものがないかと、ずっと探していた。

僕は毎朝、仕事を始める前にコーヒーをたっぷりいれ、仕事机でパソコンの脇に置いて、飲みながら作業に取りかかるのをルーティンにしている。その時、コーヒーを飲むのに使っていた自分用のマグカップは2つほどあって(イッタラのオリゴのマグと、バーズワーズのパターンドカップ)、どちらも10年くらい愛用してきたのだが、もう一つ、把手つきで良い感じのカップがあるといいな、とも思っていた。

研ぎ澄まされた北欧デザインの食器も、米国のダイナーで使われていたファイヤーキングのような無骨な大量生産品も、それぞれに良さがあると思うのだが、今回は日本の焼き物で何か良いマグカップはないかと探していた。手作りで、焼き上がりによって表情が一つひとつ異なるようなもの。ただ、そういう品はそもそも生産量が少ないので、ネットショップでよさそうな品を見つけてもすでに完売していたりと、なかなか良い出会いがなかった。

でも、ついこの間、見つけたのだ。これだ、というのを。

奥村忍さんが運営する「みんげい おくむら」を何気なくブラウズしていた時に目にしたのは、熊本県の小代焼ふもと窯のマグカップ。サイズ的に自分にちょうどいい塩梅で、把手もゆとりのある持ちやすそうな形。鷹揚な感じでかかっている青白い釉薬の表情もいい。値段もそこまで高くないし。

注文して、ほどなく届いた品を手に取って、ますます気に入った。しっくり手になじむし、実際にコーヒーを注いでみると、内側の白い釉薬の部分と黒いコーヒーのコントラストが、とても良い佇まいになる。おかげで、毎朝コーヒーをいれて飲むルーティンが、ますます楽しみになった。

日々の暮らしの中で何気なく使っている器や道具に、長く愛着の持てる、きちんと良いものを選ぶと、それだけ心にゆとりが持てるような気がする。このマグカップも、大事に、楽しみに使っていこうと思う。

それは果たして趣味なのか

僕には、いわゆる趣味というものがない。もし今、何かの必要にかられて、昔ながらの履歴書用紙で自分の履歴書を作れと言われたら、「趣味・特技」の欄で、はたと行き詰まってしまうだろう。

でも、よくよく考えてみると、世の中年男性が趣味としてハマりそうなことは、かなりの数、僕もやってしまっていることに気づく。たとえば、ハンドドリップでいれるコーヒーとか。自分で作るスパイスカレーとか。自重トレーニングとか。カメラとか。あと、旅行とか。

ただ、それらが自分にとっての趣味なのか、と言われると、明らかに違う気がする。コーヒーやカレーは日常の家事の一部と化していて、特に趣味的にお金や時間を投じているわけではないし。自重トレーニングは、重い撮影機材を担ぐ海外取材に耐えられる身体を維持するためだし。カメラと旅行は言うまでもなく、僕の仕事の一部だし。

なので、ほかの人にとっては趣味になりそうなことでも、僕の場合は日常の家事や習慣、あるいは仕事という属性になってしまっている。それでもまあ、コーヒーもカレーも自重トレもカメラも旅も、やってる時はどれもそれなりに面白いし、楽しい。なので、趣味というわけではないけれど、日常と人生の一部分としては、僕にとって大切で、必要な存在なのだと思う。

オチも何もないけれど、まあ、そんなことをつらつらと考えた次第。

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小林真樹著『食べ歩くインド 北・東編/南・西編』読了。インド全土及びその周辺国の食文化を、現地を旅して食べ歩いて得た膨大な経験をもとに2冊にまとめた労作。読み進めていくと、各地域の風習や宗教にもとづく食の特徴と、ほかの地域の食との相関関係がしぜんと見えてくる。各地の有名レストランや知る人ぞ知る穴場などを紹介するガイドブックとしての側面もあるが、僕は文化人類学的な食文化考察の本としての面白さを感じた。同じく小林さんの書かれた『日本の中のインド亜大陸食紀行』と併せて読めば、意外と身近にある日本とインド亜大陸各国の食文化を通じた関わりについても理解が深まると思う。

マキネッタで試行錯誤

相方の友人の方から、ペゼッティのマキネッタをいただいた。

マキネッタは、直火式のエスプレッソメーカー。イタリアではどこの家庭にもたいていあるものらしい。僕自身は自分でコーヒーをいれるようになってたぶん20年くらいになるが、もっぱらペーパードリップだったので、マキネッタではいったいどんなコーヒーをいれられるのか、興味津々だった。

マキネッタの構造はとても単純で、下のタンクに水を入れ、粉受けに細挽きのコーヒーを詰め、上半分をセットして直火にかける。すると、下で沸騰した水がコーヒーの粉を通過し、上半分にコーヒーが抽出されて溜まる。ペーパードリップやネルドリップに比べると、テクニックの類は何も必要ない。

とりあえず使ってみるかー、とほとんど下調べもせずに最初に試した時は、水が多すぎたのと、火加減が強すぎたのとで、ものの見事にコーヒーが噴きこぼれてしまった(苦笑)。調べてみると、水はタンクの横のバルブより下、火加減は弱火で、というのがマキネッタのセオリーらしい。それに従っていれてみると、2回目以降はおおむね良い感じのエスプレッソがいれられるようになった。水の量と粉の量、あとはコーヒー自体のチョイス(深煎りで細挽きがよさそう)で、ある程度の味の調整はできそうだ。

もちろん、高圧の蒸気でいれるエスプレッソマシンとは、クレマの有無など埋められない差があるのだが、マキネッタにはマキネッタの、手軽で素朴な味わいがある気がする。これからも仕事の合間に、楽しみながら使っていこうと思う。

自分に甘々

昨日は、自宅で使う食器や日用品をいくつか探しに、ひさしぶりに九品仏のD&DEPARTMENTへ。併設のカフェでおひるを食べようと思って、ステーキランチとグラスビールを注文。昼から至福すぎる時間。

必要な日用品の買い出しを首尾よく終え、帰りに自由が丘に寄り道して、ぶらぶらしてるうちに見つけたAlpha Beta Coffee Clubというカフェでコーヒーを飲みつつ休憩。開放感のあるいい雰囲気のカフェで、珍しめのクラフトビールもあったので、自由が丘に来たらまた寄りたいと思った。

夕方からは、吉祥寺の李朝園で焼肉三昧。自分の企画した本が校了したら、関係者打ち上げとかとは別に「肉」を食べに行くことにしてるのだが、この間「LADAKH LADAKH」が校了したので、それで。カルビとか、厚切りヒレ肉とか、特上リブロースとか。しみじみうまかった。また一冊、仕上げることができたんだな、という。

で、その後は同じ吉祥寺のウィグタウンに流れて、IPAビールをパイントで、オーバンをロックで。最初から最後まで、自分に甘々な一日。まあ、たまにはよかろうて。