小代焼のマグカップ


しばらく前から、マグカップを買おうと思って、どこかに良いものがないかと、ずっと探していた。

僕は毎朝、仕事を始める前にコーヒーをたっぷりいれ、仕事机でパソコンの脇に置いて、飲みながら作業に取りかかるのをルーティンにしている。その時、コーヒーを飲むのに使っていた自分用のマグカップは2つほどあって(イッタラのオリゴのマグと、バーズワーズのパターンドカップ)、どちらも10年くらい愛用してきたのだが、もう一つ、把手つきで良い感じのカップがあるといいな、とも思っていた。

研ぎ澄まされた北欧デザインの食器も、米国のダイナーで使われていたファイヤーキングのような無骨な大量生産品も、それぞれに良さがあると思うのだが、今回は日本の焼き物で何か良いマグカップはないかと探していた。手作りで、焼き上がりによって表情が一つひとつ異なるようなもの。ただ、そういう品はそもそも生産量が少ないので、ネットショップでよさそうな品を見つけてもすでに完売していたりと、なかなか良い出会いがなかった。

でも、ついこの間、見つけたのだ。これだ、というのを。

奥村忍さんが運営する「みんげい おくむら」を何気なくブラウズしていた時に目にしたのは、熊本県の小代焼ふもと窯のマグカップ。サイズ的に自分にちょうどいい塩梅で、把手もゆとりのある持ちやすそうな形。鷹揚な感じでかかっている青白い釉薬の表情もいい。値段もそこまで高くないし。

注文して、ほどなく届いた品を手に取って、ますます気に入った。しっくり手になじむし、実際にコーヒーを注いでみると、内側の白い釉薬の部分と黒いコーヒーのコントラストが、とても良い佇まいになる。おかげで、毎朝コーヒーをいれて飲むルーティンが、ますます楽しみになった。

日々の暮らしの中で何気なく使っている器や道具に、長く愛着の持てる、きちんと良いものを選ぶと、それだけ心にゆとりが持てるような気がする。このマグカップも、大事に、楽しみに使っていこうと思う。

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