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僕にとっての幸せ

最近、またブータンのGNH(Gross National Happiness、国民総幸福量)が注目を集めているらしい。では、自分が幸せを感じる瞬間というのはどんな時だろう? とちょっと考えてみた。

刹那的な幸せを感じたのは‥‥たとえば、長い間取り組んでいた仕事が終わって、打ち上げに李朝園で特上リブロースや上ミノをほおばりながら、ビールをごきゅっ、とやってる時とか(笑)。別の意味で「生きててよかった」的な幸せを感じたのは、冬のチャダルで雪と氷の中を歩き続け、身体が冷え切ってフラフラな状態で辿り着いた洞窟で、焚き火にあたりながら熱いチャイをすすり込んだ時、とかだろうか。

でも、一番幸せを感じるのは、自分が書いた本を読んでくださった方々から、手紙やメールやブログへのコメントで、あるいは直接お会いした時に、読後の感想をいただいた時だと思う。

僕の書いた本の部数は正直そんなにたいした数ではないし、本を手に取ってくださった方々全員が、書かれた内容に共感してくれるとはかぎらない。それでも、わざわざ時間と手間をかけて感想を送ってくださる方が今でも大勢いるというのは、本当にありがたいことだと思う。自分が伝えたかったことがその人に届いて、ほんの幾許かでも心を軽くしてあげられたのかもしれないと考えると、じんわりと嬉しさがこみ上げる。お金では換算できない、気持のやりとりがそこにある。

それが、僕にとっての幸せ。そして、物書きという割に合わない仕事を続けている理由でもある。

続・抜け目ない古書店

今日も部屋で仕事。添削仕事の作業と、昨夜修正依頼のあった原稿の手直しを進める。晩飯を自炊する余裕がなくて、近所のマクドナルドでアイダホバーガーを食べてみたが、胃にもたれる‥‥。

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昨日のエントリーで、アマゾンのマーケットプレイスに出没する抜け目ない古書店について書いたところ、オンラインショップを経営している知人の方から「あれは、在庫状況や他の出品者の価格に応じて自動で価格を調整するソフトが出回ってるんですよ」という指摘を受けた。在庫切れになった本には定価の何倍もの価格をつけたり、他の出品者がいる場合は最安値にしたりするといった設定が、いくらでもできてしまうらしい。もしかしたらと思っていたが、そういうソフトが広範囲に出回ってしまっているとは‥‥。

まあ、僕自身は痛くも痒くもないので別にいいのだが、そんなソフトに頼って何がしかのお金を稼いだとして、はたして楽しいのだろうか‥‥?

抜け目ない古書店

終日、部屋で仕事。文章添削の作業を進め、一段落したところで、これから書く本のプロットを検討する。頭の切り替えが難しい‥‥。

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これまでに何冊かの本に関わってきたこともあって、仕事の合間に、一日に一、二回ほど、アマゾンで自分が関係した本の在庫状況やランキングをチェックする習慣がついている。新刊の発売直後は、もっと頻繁に見るけど(笑)。たまにレビューのコメントがつけられていたりすると、素直に嬉しい。

そうしてアマゾンのページをチェックしていて気がついたのは、時々マーケットプレイスに出没する、ある古書店の奇妙な行動だ。新刊の在庫が少なくなったり、一時的になくなったりすると、その古書店はスッと現れて、古本に定価の二、三倍の値段をつけて出品する。誰かが焦って買うかもしれないのを狙っているのだろうか? しばらくして新刊の在庫が復活すると、件の古書店はスッと出品を引っ込める。

抜け目ないといえばそれまでだけど、考えてみれば、自分の手元に在庫がある本のページを巡回して、在庫切れの兆候がありそうなところをマメにチェックしているのだから、相当な労力を費やしているに違いない。そのエネルギーを、もうちょっと生産的な方面に使ってくれたらいいのに‥‥と、思わないでもない。

愉しむ気持

今日は割とのんびり。一昨日の打ち合わせの際にこちらで用意することになった、本の全体構成案を煮詰めていく。

僕は今まで、いろんなジャンルの本を作ってきたが、自分が特に好きなテーマの企画だと、どんな作業でも愉しいというか、文字通り、時を忘れて没頭してしまう。先月末に書いていたエッセイの原稿もそうだったし、今回の本(まだ作れるかどうかわからないけど)の作業もそう。本当に、愉しくて愉しくてたまらない。きっと、ニヤけた顔でモニタを見つめていたに違いない(笑)。

作り手がそうやって愉しむ気持を本に込めることができれば、それはきっと、読者にも届く。逆に言えば、作り手自身が何の思い入れも持たずに作った本には、たとえそれがどんな内容のものであろうと、一番大事なものが込められていないのだと思う。

見えないゴール

午後、赤坂で打ち合わせ。先月下旬に僕がプレゼンした本の企画について、担当になっていただいた編集者さんと話し合う。彼が社内の新刊会議でこの本の企画を提案して、トップの承認が得られれば、正式に取材と執筆に取りかかることができる。

「‥‥この本を、僕たちが作りたい形で承認してもらうにはどうすればいいのかを考えましょう!」

編集者さんにそう言ってもらえると、本当にありがたい。いい意味での共犯関係が結べたような気がする(笑)。

これから一生懸命努力しても、この本を必ず作れるようになるとはかぎらない。もしかすると、ボツになるかもしれない。見えないゴールに向かって全力で突っ走るのは、かなりの覚悟がいる。それが、この仕事の一番きついところであり、一番面白いところでもある。

どっちにしろ、何もしなければ、何も始まらない。やるしかないか。