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対岸は見えるか

今朝は五時起きで、列車に乗って海浜幕張方面へ。先方の手違いで、最初に取材するはずの人が来ていないというハプニングがあって焦ったが、取材の順番を入れ替えたりして、どうにか事なきを得る。またここまで来てと言われても困るし(苦笑)。

空は雨模様。帰りの京葉線の車窓から、灰色に霞んだ海が見える。前にも書いたけれど、去年の秋からずっと続けている、自分の新しい本を出すための取り組みは、まるで、何も見えない霧の海に小舟で漕ぎ出すようなものだった。漕いで、漕いで、漕ぎ続けて‥‥ようやくうっすらと、対岸が見えてきたような気がする。

その岸辺に上陸できるかどうかはわからない。どうにも手に負えない岩場だらけで、今度こそあきらめるしかないかもしれない。それでも、ひと漕ぎもせずにあきらめるよりは、はるかに納得して、すっきりとあきらめられるような気もしている。

まずは、やれるところまで、やってみるだけだ。

本とブログの間を埋めるもの

最近考えていることを、まとまりのないまま、つらつらと書いてみる。

僕は、文章を書いたり写真を撮ったりして、それで本を作って世に送り出すことを仕事にしている。本以外では、ブログやSNSなどを使ったWeb上での情報発信もしている。僕の場合、本づくりとブログでの情報発信はまったく異質のもので、自分の中でもはっきりと区別している。ブログは、その時々の伝えたい情報や思うことを、わかりやすい形でタイミングよく発信していくためのもの。本は、自分が伝えたいことをきちんと突き詰め、徹底的に作り込んでいって、情報としても、モノとしても、ベストの形に仕上げ、ずっと後々まで残していくためのもの。そもそも、果たすべき役割がまったく違うのだ。

ただ、最近思うのは、この二つ以外の選択肢もあるんじゃないかな? ということ。ブログの気軽さと、本のモノとしてのよさとを併せ持ち、両者の間を埋めるような‥‥。最近、次第に注目されつつあるZINEやリトルプレスなどがそれに当たるのかもしれない。それで儲かるとはまったく思わないけれど、少なくとも赤字にならないような形で、ブログでも本でもない形の情報発信をすることの可能性は、検討する価値がある。実際、著名なフォトグラファーでもそうした取り組みをしている人はいるし。

一冊の本を仕上げるには、テーマによっては膨大な時間と手間がかかる。でも、その途上であっても、ブログ以外のきちんとまとまった形で情報を発信していくことはできる。来年以降の旅にまつわるプロジェクトは、もしかすると、そういう形になるかもしれない。

密林で一喜一憂

本づくりの仕事に携わっている者にとって、アマゾンでの順位やレビューというのは、本当に一喜一憂させられる指標だ。書店での動向と異なる場合も多々あるとはいえ、あれだけリアルタイムに、そして直接的に反応が表示されてしまうのだから、気にならない方がおかしい。

本の内容に対して的確な評価のレビューがついて、それに伴って順位が推移するのなら別に問題はない。でも、他の本のページとかを見ていると、時々、どう見ても的を射ていない見方や、明らかに筋違いな悪意によって低い評価をつけているレビューもある。購入を検討してくれている人が、みんながみんな、そういう的外れなレビューを差し引いて判断できる人ばかりではないし、少なくとも商品の第一印象には大きく影響してしまう。悩ましいシステムだ(苦笑)。

その一方で、何年も前に出した本に、忘れかけた頃にぽつんとレビューがついたりすると、自分の本が世の中でまだ読み継がれているのだ、と、ほっとした気持にもなる。便利でもあれば、困った面もあるけれど、何とかうまく使いこなしていかなければならないのかな、このシステムを。

著者と編集者との関係

午後、六本木へ。「ラダックの風息」の担当編集の方とひさしぶりに会う。

仕事柄、編集者の知人は大勢いるけれど、本当の意味で互いの手の内をすべて晒して、あれこれぶっちゃけて話し合えるような編集者の知人は、たぶん数人しかいない。そういう信頼関係がないと、書き手あるいは撮り手としては、自分が大切にしている企画を委ねられないし、意見をぶつけあって質を高めていくこともできないと思っている。

今日のミーティングはすぐに何かにつながるというものではないのだが、僕が今抱えている悩みや葛藤について本当にざっくばらんに話し合うことができたので、それだけで何だか気持が軽くなった。いつかまた、こういう関係で本を作れたらいいなと思う。

新しいシャツで

すっかり春うららという感じの、穏やかな日和。この間買った新しいシャツに袖を通し、薄手のダウンを羽織って、出かける。服が軽いと、気分がいい。

今日は午後から、とある出版社で新企画のプレゼン。初めて訪れる会社だったので緊張したが、みっちり二時間、どうにかこうにか、やり遂げる。はたしてうまくいったのかどうかはわからないけれど、今回の企画に限らず、他にもいろいろなケースでご一緒できればという話もしていただいたので、少しほっとする。

プレゼンを終えて外に出た時は、力を使い果たしてヨレヨレだったのだが、四ッ谷から新宿までふらふら歩き、早めの晩飯にラーメンを一杯食って、ようやく帰路についた。やれることは精一杯やったから、うまくいくといいな。まあ、こういうことは結局、なるようにしかならないのだろうけど。