ラダックのロサル

夕方、再び歯医者へ。先週よりもだいぶよくなっているらしく、来週には治療した部分を塞ぐことになりそう。「外科的処置」とかのおおごとにはならなさそうで、ほっとした。

それ以外は特に仕事が入っているでもなく、どうということのない一日。そういえば、ラダックでは今日はロサル(正月)。ラダックのお祭りはチベット暦に合わせて行われるので、毎年違う日取りになるのだが、ロサルは一年でもっとも大事な行事の日だ。みんな、親戚や友達の家を訪ね歩いて、あっちこっちで飲めや歌えや踊れやのどんちゃん騒ぎ。昔、僕も踊らされたっけ(苦笑)。

でも、今回のロサルは、夏の洪水で亡くなった方々を悼んで、いつものようなお祭り騒ぎはやらずにひっそりと行われるそうだ。みんなが以前のように底抜けに明るい笑顔になれる日が、早く戻ってきてくれるといいのだが。

感じのよさ

夕方のちょっと早い時間に、国立のニチニチに行く。いつ以来だろう? ずいぶんひさしぶりのような気が‥‥。いつものように南風荘ビールを飲みながら、あさりの黒オリーブ炒めやサンマの南蛮漬け、奄美の鶏飯などをいただく。店内はほとんど満員。家族連れも老夫婦も、愉しそうに飲んだり、食べたり、いい雰囲気。

昨日も飲み会だったので、ほどほどのところで切り上げて、電車に一駅乗って西国分寺へ。前から気になっていたクルミドコーヒーというカフェに行く。店に入ってこぢんまりとした席に座ると、まるで大きな木のうろに入り込んですっぽりと包まれたような、不思議な居心地のよさ。水出しで淹れているというコーヒーはまろやかで飲みやすく、期間限定のくるみ餅もていねいに作られていて、おいしい。ここもいい店だなあと思う。

ニチニチクルミドコーヒーのような店に共通しているのは、雰囲気もメニューも店員さんの対応も、すべてがものすごく高いレベルで「感じがいい」ということ。それも、お店の人たちが日々のやるべきことをこつこつと積み重ねた上で、裏表のない素直な気持でお客さんに接しているからこその「感じのよさ」だと思う。

時々、「自分は感じよくお客さんに接している」と思い込んでいる店員さんに、うわべだけの愛想をふりまかれる経験があるのだが、そんな人に限って、ちょっとしたことから、裏で何を考えているのかがぽろっとバレてしまうものだ。普通にぶっきらぼうな接客より、そういう裏表が見える接客の方が、よっぽど残念なのに。

うっかりラダック語

夕方、新宿へ。ジュレーラダックの事務所スタッフの荒川さんが、来年からインドやカナダで有機農業を勉強するために旅立つので、彼女の送別会に参加する。新宿東口のインド料理屋で、食べ放題、飲み放題のコース。うーむ‥‥もしインドにファミレスがあったら、こんな感じの味になるんだろうな(笑)。

宴の後、みんなと別れて三鷹に戻る。駅から歩いて帰る途中で、オレンジジュースを買っておこうと思って、コンビニに寄る。レジに商品カゴを置き、お金を払い、おつりをもらおうと手を差し出し‥‥。

‥‥や、やばい。うっかりラダック語で受け答えしそうになった(苦笑)。

その前の送別会で、みんなとひとしきりラダックの話をしたから、脳内回路がラダックモードに切り替わっていたのだろうか。ふー、アブない人だと思われるところだった。

イルミネーション

朝、大雨が降っていたと思ったら、いきなり晴れて、気持悪いくらい生暖かくなった。風がびゅーびゅー吹き荒れる。

夕方、打ち合わせのため原宿へ。少し早めに駅に着いたので、苦手な竹下通りを避けて、表参道の方から回っていくことにした。両側のケヤキ並木には、びっしりとイルミネーションが灯されている。十年くらい前から中止されていたらしいが、去年から復活したそうだ。そういえば、僕の地元の三鷹駅北口でも、ちょっと前からイルミネーションが灯されていたっけ。

見た目はきれいだなあとは思うけど、LED電球の冷たい人工的な光には、個人的にあんまり共感できない。ラダックのガルダン・ナムチョやロサルの時に灯されていたチュンメ(灯明)の方が、何倍も心に沁みる。

中村文・たかしまてつを「あすナロにっき」

‥‥とにかくかわいい。問答無用にかわいい。萌え死にしそうなほどかわいい。いやほんと、恐るべき破壊力だ‥‥(笑)。

あすナロにっき」は、イラストレーターのたかしまてつをさんと、元編集者で今はフリーでDTPの仕事をしている中村文さんが飼っているナロという子猫の物語。一年ほど前、まだほんの小さな頃に知り合いが拾った子猫を、二人がひとめぼれして引き取ったのだ。家と塀の狭い隙間で拾われたので、「ナロー(narrow)」→「ナロ」という名前にしたのだという。二人はナロを飼いはじめた頃から写真やイラストをふんだんに使ったブログを更新していたのだけれど、このたび、それがめでたく一冊の本にまとめられることになった。

僕と中村さんは、昔、九段下にあった出版社の同じフロアで働いていて、以来ずっと仲良くさせていただいているのだが、去年の今頃、二人の家に遊びに行って、ちょうどこの「あすナロにっき」の頃のナロと遊ばせてもらったことがある(自慢)。両手のひらの中にすっぽり収まってしまうほどちっちゃなナロが、膝の上でくるっと身体を丸めていた時のほんわりしたぬくもりは、今でもよく憶えている。こ、この冷酷非情な男の心を溶かすとは‥‥。

この「あすナロにっき」、どのページをめくっても萌え死に要素テンコ盛りで、僕はもうすっかり全面降伏なわけだが(笑)、個人的に気に入っているのは、たかしまさんが左手でナロを抱きながら絵を描いている写真かな。あと、「後ろ足強化」の写真の踏ん張った両足にはツボった‥‥。あすナロまんがでは、断然「ニャバター」(笑)。