ラダックを書く

午後、中野にある風の旅行社へ。同社が発行している情報誌「風通信」の次号に、ラダックについての文章と写真を寄稿することになったため、その打ち合わせ。あと、水面下で進めている他の企画についても話し合う。

普段、ラダックの文章を書く仕事にはなかなか出会えないので、こういう時はやっぱり、モチベーションが上がる。文章のテーマも写真のセレクトも、ほぼ僕の好きにしていいということだったので、なおさらだ。さて、何について書こう‥‥と、思いは頭の中をぐるぐる回り、今抱えている他の仕事をうっかり忘れそうになる(笑)。

僕にとって、ラダックを書くということは、自分自身の中にある思いを書くことでもあるのだな、と思う。なぜだかわからないが、他のどんなテーマの文章よりも、ラダックの文章を書く時が一番素直に自分自身の言葉が出てくる。たぶん、もう骨の髄までラダック色に染まっているのだろう(笑)。

風通信」の次号は四月初旬に刊行される予定とのこと。興味のある方は同社にお問い合わせを。

Facebook雑感

終日、家で仕事。ラダック脳とIT脳を頻繁に切り替えなければならないのが、やりにくいといえばやりにくい(笑)。

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昔、Webデザイン専門誌の創刊に関わったりしていたこともあって、新しいWebサービスが現れたら、とりあえず試すようにはしている。ミクシィやTwitterも比較的早い時期から始めていたし、最近話題のFacebookのアカウントも以前から一応持っている。

ただ、Facebookに関しては、今のところあまり積極的に活用しようという気にはなれない。とにかく、インターフェイスの使い勝手が悪すぎる。世間では、「Facebookが日本でイマイチパッとしないのは、日本人が匿名でのネット利用に慣れているからだ」と分析する向きもあるが、僕は単純に、インターフェイスデザインの未熟さが原因だと思っている。日本人は扱いにくさを我慢することに慣れていない。

とはいえ、便利な面もある。それは、海外に住んでいる知り合いともコミュニケーションが気軽にできるということ。ラダック人の知り合いとのやりとりは、最近はすっかりFacebookに一本化された。ついさっきも、ノルブリンカ・ゲストハウスの次男のジミからメッセージが来て、それを読んでいたら、長男のアチュクがチャットに呼び出してきた。何なんだあの兄弟(笑)。

ともあれ、Facebookにはもうちょっとこなれてスマートになってほしいな、と思う。

金柑

今日は寒い。まるで冷蔵庫の中にいるみたいに、空気が冷え冷えとしている。

ニットキャップを思いっきり深くかぶって、外に出かける。そういえば、冬のラダックに滞在していた時、よくデチェン・ラモから「タカ! ニットキャップをかぶりな! でないと寒さで頭が痛くなるよ!」と言われたっけ。

三鷹南口にある果物屋さん、一富士の前を通りがかった時、鮮やかなリンゴやミカンが並ぶ中に金柑があるのを見つけたので、一パック買ってみた。金柑を一日一個、ぱくっと生で食べていると、風邪をひきにくくなるらしい。

来週は打ち合わせがいくつもある上に、大事な企画のプレゼンも二件あるので、ここで風邪とかひいてるわけにはいかない。気合を入れて乗り切らなければ。

タイガーマスク現象

昼、近所のコンビニで、2月3日(木)にユーロスペースで開催される「カサヴェテス・メモリアルナイト」のチケットを買う。2011年の今になって、ジョン・カサヴェテスの姿をスクリーンで目にすることができるとは‥‥。尊敬する元編集者の方が企画したイベントだし、今から楽しみだ。

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最近、巷で話題のタイガーマスク現象。最初の「伊達直人」の善意ある行動(がマスコミにやたらめったら取り上げられたこと)によって、国内の児童養護施設が直面している現状に注目が集まっているのは、とてもいいことだと思う。ただ、そこからの連鎖反応で、大勢の「伊達直人」から児童養護施設などに次々とプレゼントが送られているというのは‥‥ちょっと冷静になった方がいいのでは、と思わなくもない。

去年の夏にラダックで洪水が起こって、大勢のラダック人が家や畑を失った時、インドの国内外からたくさんの支援物資がラダックに送り届けられた。もちろん、それらによって多くの被災者が救われたことは間違いない。でも中には、現地の被災者が必要としているものとはかなりズレた支援物資もあった。どこに置けばいいのか途方に暮れるほど大量のペットボトル入りの水とか(現地で活躍していたのは水を濾過する機械)、冬の厳しい寒さを凌ぐにはあまりにも薄すぎる毛布や衣服とか‥‥。その原因は、被災者が何を必要をしているのかということについて、外部の支援者と現地で支援活動を行っている団体との間で、意思疎通がうまくいっていなかったからだった。

社会的に弱い立場の人を善意で支援しようとするのは素晴らしい行為だ。でも、事前に何の連絡もなしに匿名でプレゼントを送るより、その人たちが今何を必要としているのかを聞いてからプレゼントや寄付をする方が、はるかに喜ばれるし、実際に役立ててもらえるはずだ。せっかくの善意がズレた押し付けになってしまわないように、ひと呼吸空けた方がいいんじゃないかと思う。

最初の試練

終日、部屋で仕事。依頼された案件のために、ひたすら写真のセレクト作業。目は疲れるし、肩は凝るし‥‥まあ、それでも愉しいけど。

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昨日の夜中に中継されていた、アジアカップの日本対シリア戦は、ひさびさに手に汗握る展開だった。というか‥‥試合の内容以前に、アジアの戦いでは、まあ、いろんなことが起こるな、と(苦笑)。

ザッケローニ率いる若き日本代表は今、遠く離れた中東の地で、これ以上ないほどいい勉強をさせてもらっていると思う。完全なるアウェイ、技術が拙い審判、想定外のことが起こりうる展開‥‥。ねちっこいアジアの国々との戦いは、ワールドカップ予選を戦い抜くための経験値を稼ぐにはうってつけ。今回のPK騒動は、今の日本代表にとって最初の試練らしい試練だったし、それを勝利という形で乗り越えられたのは、メンタル面でも大きなプラスになったはずだ。

だいたい、天皇杯やら何やらで大会前に練習試合も組めず、センターバックは怪我人続出で、選手たちはろくに休養も取れない状態でアジアカップを戦っているのだから、結果を残せという方が酷だ。その割には、日本代表はよくやっていると思う。アジアとの戦いの中で、一つひとつ、経験を積み重ねていけばいい。すべては、これからのために。