日帰りで大阪へ

朝四時起床。昨日買っておいたコンビニおにぎりを頬張り、身支度をして、出発。今日は大阪での日帰り取材だ。外に出たとたん、真っ暗闇を吹き荒ぶ木枯らしに早くもトホホな気分になる。

東京駅六時過ぎ発の新幹線は、品川と横浜でどやどやと客が乗り込んで、かなり込み合っていた。ビジネスマンは大変だなあ。窓の外には、青空に屹立する富士山。iPhoneで音楽を聴きながら、しばらくの間、うとうとする。

九時ちょっと前、大阪に到着。大阪駅がものすごく豪華になっているのにびっくり。エスカレーターに乗る時の並び方が左右逆だ。そして女の子たちの関西弁がかわいい(笑)。

十時から始まった取材は、先方のご協力のおかげで、スムーズに終了。帰る前に、梅田界隈を少しぶらつく。小さな飲食店がたくさん並んでいるあたりで、小さなお好み焼き屋にふらっと入り、モダン焼とビールを注文。うまい‥‥。取材が終わった後は、五割増しでうまい(笑)。

その後、再び新幹線で東京に向かい、夕方頃に三鷹に戻ってきた。明日も午前中から新宿で取材だけど、とりあえず、今日はもうポンコツ(苦笑)。

フリーランスの休日は?

明日から、あちこちへ取材に出かける日々が始まる。水曜は朝イチの新幹線で大阪まで日帰りで。木曜は朝から都内で取材。金曜は朝イチの新幹線で静岡へ。原稿の〆切もかなり厳しいので、うっかり風邪もひけない(苦笑)。

今回だけでなく、先月依頼された取材もそうだったのだが、先方から提示されたスケジュールが、「土日祝日を返上して作業するのが当たり前」という設定にされている場合が最近多くなってきた。もちろん、いいものを作るために必要なら休日でもガシガシ働くけれど、今回は、単に先方のいろんな作業の遅れのしわよせが一番弱い立場の僕のところに来てしまっているだけなので(苦笑)、正直、何だかなあ、と思う。

四六時中働く前提になってしまったら、フリーランスの人間は、休日の予定が立てられなくなる。土日祝日に休む友人たちと予定も合わせられない。結果、友人が減るという由々しき事態に‥‥(苦笑)。今週は、木曜の夜に友人たちと中国茶をたしなむ宴の予定が入っていたのだが、原稿の〆切の設定が土日を返上してもきつすぎるので、順延してもらわざるを得なくなった。やれやれ。

こうなったら、もっと大物にならなきゃ、だな(笑)。

プロになるということ

先月中旬、あるフォトグラファーの方にインタビューした時、印象に残っている言葉がある。

「プロのフォトグラファーになりたいと思っている若い人は大勢いますが、実際にプロになる人は、ごくわずかですよね。写真の仕事だけで生活できるかどうかわからないから、みんな尻込みしている。そういう人に、僕はよく言うんです。自分が本当にプロになりたいかどうか、真剣に考えろ。本気でなろうと思えば、何にでもなれる。でも、『なれるものならプロになりたい』と思う程度だったらやめておけ、と」

まったくその通りだなと思うし、フォトグラファーに限らず、ライターにも、編集者にも、ほかのあらゆる職業にも通じる話だと思う。実際、なろうと思えば、僕たちは何にでもなれる。その上で必要なのは、自分が選んだ道で生き抜いていく覚悟。どんなに打ちのめされても、折れない心。たとえ先が見えなくても、前に踏み出す勇気。

それが、何者かになるということ。プロになるということなのだと思う。

気持で撮る、気持で書く

ラダックの風息」の読者の方などから、時々、こんな質問をされることがある。

「どうやったら、こういう写真が撮れるんですか?」

僕自身には、「こういう写真」というのがどういう写真なのか、正直よくわからない。ただ、他の人から見ると、僕が撮ったラダックの写真から、何かしら特殊な印象を受けるのだという。同じような質問は、僕がラダックについて書いた文章でもよく訊かれる。こちらについても、具体的に何が違うのか、自分ではよくわからない。

写真も、文章も、とりあえず、それらを商品として売り物にできる最低限のスキルは、僕も一応、持ち合わせていると思っている(でなければ、プロを標榜する資格がない)。でも、ほかのプロのフォトグラファーやライターよりも飛び抜けて秀でた才能を持っている、とはまったく思っていない。世の中には、僕よりも才能に恵まれたフォトグラファーやライターが、星の数ほどいる。たとえば、そういった人たちがラダックを取材すれば、きっと素晴らしい写真や文章をものにするに違いない(実際、僕はもっと多くの人にラダックを取材してほしいと思っている)。

でも、そういった人たちの写真や文章は、たぶん、僕が手がけたラダックの写真や文章のようにはならない。どちらがいい悪いという問題ではなく、何かがそこはかとなく、しかしはっきりと違ったものになると思う。その違いが生じる原因は、何となくわかる気がする。

それは、気持。

たとえ才能はなくても、ラダックの自然や人々に対する気持の強さは、僕は、ほかの誰にも負けない。それだけは、自信を持って言い切れる。そのありったけの気持を込めて、写真を撮り、文章を書いてきた結果が、ほかの人の写真や文章との違いになっているのだと思う。

気持で撮る、気持で書く。そんな仕事に取り組めている今の自分は、幸せなのかもしれない。

温かい食事

朝からずっと、氷雨が降り続く。真冬のような寒さ。

今日はずっと家にいて、来週追加された取材の打ち合わせをしたりしていたのだが、どうにもこうにも、頭が重い。首筋や背中がゴリゴリとして、だるく感じる。こういう天気の日は苦手だ。身体がしゃんとしない。

気分転換に、ちょっと早めに晩飯を作る。何かアツアツのものを‥‥と思って選んだのは、カブとえのきのそぼろ煮。材料を適当に切って、調味料を合わせただし汁で10分ほど煮て、水溶き片栗粉でとろみをつける。身体が温まるようにと、しょうがも刻んで入れてみた。

ふうふう、はふはふ言いながら、カブをレンゲで頬張っていると、不思議に身体がしゃんとして、力が入るようになってきた。人間の身体って、温かいものを口にしただけで、これだけ回復するものなのか。食べ物って大事だな。