ひさびさの編集作業

週末ではあるが、昨日も今日も、自宅で仕事。来年の初め頃に発売される予定の、書籍の編集作業。ラダックのガイドブックの時も編集作業を自分で手がけはしたが、編集者として純粋に請け負った仕事ではひさしぶりだ。

この仕事は、版元の編集者さんが企画して著者の方に発注し、原稿整理の段階から編集の実作業を僕が引き継いで行っているという、ちょっと珍しい請け負い方の案件。これまでの作業では僕は関与していないというのが状況をややこしくしていて、実際に原稿整理を進めてみると、仕込み段階での意思疎通の行き違いで、うまくいってない部分がポロポロ出てきている。これはかなり手間取りそうだ‥‥。

まあ、泥沼化してる最前線の塹壕に投入されるのが、傭兵たるフリーランサーの宿命か。粛々とやろう。

「アーティスト」

以前から気になっていたものの、映画館で観る機会を逸してしまった「アーティスト」を、Apple TVでようやく観ることができた。第84回アカデミー賞で作品賞をはじめ五部門を制したこの映画、3D映像やCG処理が当たり前のこの時代に、なんとモノクロームの(ほぼ)サイレント映画である。だが、それがいい。そのスタイルでしか描けない、それでこそ描けるテーマを持った映画だから。

20世紀初頭、サイレント映画のスターだったジョージは、アーティストとしての自分の流儀にこだわるあまり、トーキー映画の台頭に乗り遅れ、若く溌剌とした女優のペピーと入れ替わるように落ちぶれていく。はたして彼らは‥‥というストーリー。物語としては、悪人は誰も出てこないシンプルなおとぎ話そのものだが、本当に細かいところまで、作り手のサイレント映画に対する愛情と畏敬の念が込められているのが、観てるだけで伝わってくる。きっと僕が観たことのない古典映画へのオマージュが、そこらじゅうに散りばめられているに違いない。それを見分けられないのが、ちょっと悔しくもある。

うまいなあ。本当にうまい。ぐうの音も出ないくらい、いい映画だ。

愉しい密談

午後、八丁堀へ。ラダックガイドブックでお世話になった編集者さんと打ち合わせ。

今回、俎上に載せたのは、今までの書籍とはかなり毛色の違う企画。ものすごくシンプルなアイデアだが、そーいえば今までなかったなあ、という感じのものだ。話を聞いてくれた編集者さんも「ありだと思います」と言ってくれた。最初の一手としては悪くない。何だか打ち合わせというより、愉しい密談のような感じだった。新企画について話してる時は、概してそんなものだけど。

次は内陣に切り込んで、本丸攻め、つまり予算獲得に繋げられるかどうか。うまくいけば、来年の今頃はかなり面白いことになってるかもしれない。まだ何一つ決まってないから、獲らぬタヌキの何とやらにもほどがあるが‥‥とりあえず、がんばろ。

〆切に次ぐ〆切

取材のため、朝から電車に乗って南大沢へ。眠気が覚めなくて困ったが、缶コーヒーをがぶ飲みし、どうにか無難にやり遂げる。

やっぱり疲れを感じたので、家に戻ってから、夕方まで少し仮眠。晩飯を食ってシャワーを浴びたら、かなりしゃっきり。さっそく原稿に取りかかり、夜中までに何とかメドが立った。しかし、机上にはまだ山のよーに仕事が‥‥。

九月に帰国してからというもの、やたらめったら忙しい。文字通り、〆切に次ぐ〆切に追いまくられている。この調子だと、来年の一月末くらいまではせわしない日々が続きそうだ‥‥。紅葉の時期に合わせて、丹沢あたりを歩きたいと思ってたのだが、ちょっと無理かも。

ま、やるしかないか。

職人が作るオイルドレザースリーブ for iPhone

先月末、ちょうど二年ぶりにiPhoneを買い替えた。iPhone 4からiPhone 5(どちらも16GBのブラック)にしたのだが、サックサクな動作とWi-Fiを凌駕するLTEの爆速っぷりに、いたく感動。まあ、純正のマップアプリはほんとにどーしよーもない代物だし(苦笑)、楽しみにしてたSiriもまだ暇つぶしに使える程度の性能なのは残念だったが。

iPhone 5では全体が縦に長くなったので、普段持ち歩く時のスリーブケースも買い替えねばならなくなった。iPhone 3Gの頃から使い続けてきたフライターグのスリーブケースも、内張が破れてボロボロになってたし。で、次のスリーブケースは、iPhone 5を手に入れる前から予約注文していた(笑)。友人の遠藤幸作さんが経営する国立商店が販売している「職人が作るオイルドレザースリーブ for iPhone」だ。

このスリーブケースを選んだのは、同系列のiPad用のスリーブケースを去年から愛用していて、かなり気に入っているから。肉厚のオイルドレザーの心地いい手触りと、職人の手によるきちっとした縫製が素晴らしい製品なのだが、今回のiPhone用スリーブケースもそれらの長所を引き継ぎつつ、シンプルかつ安心感のある設計で、期待に違わぬ出来だ。使い込んでいくうちにエイジングが進んで、革がクタッとなじんでくるのが楽しみでたまらない。僕はiPhone本体にはケースも何もつけない状態で使っているが、薄手のポリカーボネート製のケースくらいなら、装着したままでも収納できるそうだ。

一個々々が職人による手作りなので、欲しい時に即座に手に入るわけではないけれど、予約して待つだけの価値は十分にある、と思う。