思いを背負う

昨日は夕方に都心で打ち合わせをした後、綱島にあるPOINTWEATHERへ。旅音の林さんと落ち合い、ごはんを食べつつ打ち合わせをする。来年の今頃くらいに出せたらいいな、という本の話。まだ、予算も何もついていない、まっさらな企画なのだが。

打ち合わせのような旅のような話は、お店のオーナーの寺本さんも巻き込んで大いに盛り上がり、気がつけば、あっという間に夜の11時。楽しかったな。何の気兼ねもなく、話したいことを話せたような気がする。

一冊の本の企画を思いついて作りはじめると、いつも、次から次へといろんな人の期待や思いを巻き込んでいく。それを受け止め、背負っていくのは、時にとても重たく感じられるのだが、それでもしっかり前を向いて進んでいかなければ、と思う。何も背負わないで作った本は、少なくとも僕にとっては意味がないから。

シンプルに待つ

「旅をしてる時、どんな風にして写真を撮ってるんですか?」と聞かれることが最近多くなった。旅先での写真の撮り方‥‥こっちが聞きたい(苦笑)。それくらい、僕は特別なことは何もしていない。

それでもあえて挙げるとしたら‥‥「シンプルに待つ」ということだろうか。

カメラの撮影設定は(人によって好みは分かれると思うが)、ごくごくフツーの、自分的に一番オーソドックスなものにしておく。レンズは、ズームをつけている場合、基本的に2つの焦点距離だけを頭に入れておく。35mm判換算で、28mmと50mm。風景やスナップは28mm、ポートレートなどは50mm。かなりざっくりだけど、こういうシンプルな状態で自分の頭の中を整理しておくと、とっさの時でも割とうまく対応できるし、状況に応じての設定変更もすばやくできる‥‥気がする。

要するに僕はヘタクソだから、凝ったことをやろうとしてもたいてい失敗するのだ(笑)。シンプルに待つのが吉。

選挙に思う

昼、近所の小学校に設けられた投票所へ。衆院選と都知事選の投票をしに行く。

今回の衆院選は、どういう投票をすべきか、最後の最後まで迷った。投票所で鉛筆を握るまで迷っていたくらいだ。正直に言えば、「この人を選びたい、この人なら大丈夫」と思える候補者は、一人もいなかった。「この政党なら任せられる」と思える政党もなかった。どの政党にも、明らかにネガティブな要素や頼りにならない面が感じられてしまう。どうしても譲れない政策を絞り込んで、消去法に近い形で選ばざるを得なかった。いっそ、白票を投じた方がよかったのかもしれない。

日本は、これからどうなっていくのだろう。投票所からの帰り道、暗澹とした気分になった。

一人で撮る

昨日の飲み会の席で、ああなるほど、と思った話があった。

それは、旅先で写真を撮る時は、他の写真家と一緒に行かない、ということ。現地での撮影時は、なるべく一人で行動する。そうしないと、まともな写真が撮れない、とみんな口を揃えて言っていた。

言われてみると確かに、自分もラダックでは常に単独行動だった。たまに道連れの方がいた時は(その人が悪いわけではないのだが)、正直、かなりの確率でシャッターチャンスを逃している。被写体と対峙する時は、さまざまな撮影条件を瞬間的に判断する集中力が求められるし、人を撮る場合は、相手との間合いやコミュニケーション、撮るタイミングなどにも細心の注意を払わなければならない。だが、自分以外の誰かが同じ場所で被写体に向かおうとすると、そうした集中力や注意力は少なからず削がれてしまう。特に、人の写真を撮る時はきつい。

旅先でいい写真を撮りたいなあ、と思ってる人は、常にとは言わないまでも、時には一人で歩き回って撮ってみるといいんじゃないかな、と思う。

写真家の宴

午後に打ち合わせを一件こなした後、高田馬場の駅前にある串かつ屋さんでの飲み会に向かう。

今夜の飲み会は、広島から一時上京してきた写真家の松尾純さんの呼びかけによるもの。ブータンを撮影している関健作さん、ラダック絡みで以前から旧知の写真家の三枝直路さんと、写真をがっつりやってる人ばかりが揃った。その中に、僕だけが中途半端な輩として混じっていた(苦笑)。

いやー、ひさしぶりに面白い、濃い話ができたような気がする。旅や異国を撮り続けている者同士だからこそ、通じ合う言葉だったというか。胸が躍る話も、世知辛い話も、それでもやっぱり写真が好きだという話も。

こういう人たちが、ちゃんと本来の力を発揮できる「場」を作れたらいいな、と思う。