雪、空振り

今日も朝イチから、吉祥寺で取材。ベッドから起きて窓の外を見ると、ぼたぼたと雪が降ってはいるが、道路に積もるほどではない気配。とはいえ、寒いことには変わりないので、ヒートテックの上下を着込んで出動。

午前中に二件、午後に二件の取材をこなし、家路につく頃には、雪は雨に変わっていた。今回は東京でも大雪になるという天気予報は、空振りに終わったわけだ。助かった‥‥。ただでさえ取材で疲れるのに、雪の中を行き来して余計な疲労を溜め込みたくなかったから。

怒濤の取材ウィークも、あと二日。何とか乗り切らねば。

降雪前夜

朝から吉祥寺で取材。午前中に二件、午後は三件のインタビュー。それぞれの収録時間はたいしたことはないのだが、一日五件となると、さすがに疲れる。帰り道、両肩に濡れざぶとんがずっしり乗っかってるような疲労感を感じた。

明日も朝イチから取材が四件ほどある。が、よりによって、東京は雪の予報。また降るのかよ‥‥。聞けば、JRも早々と通常運転をあきらめて、運休や減便の予定で調整してるらしい。そんなに降るのか。まいったなあ。

まあ、これだけ降るぞ降るぞと騒いでると、往々にして空振りに終わることもあるけど‥‥。どうなることやら。

Aside

巷でも話題の、ディズニーの短編アニメーション。フル3DCGらしいのだが、そうとはまったく感じさせない自然な描写に驚かされる。ストーリーもいい。おすすめ。

せわしない日々

昼、吉祥寺で取材。今日の取材は一件だけだったが、明日からは毎日四、五件の取材が金曜まで続く。取材絡みの仕事はたぶん二カ月ぶりくらいなのだが、それにしても、急にアクセルを踏み込む羽目になってしまった。

今週はもちろん取材で消耗するだろうし、来週からは執筆であくせくすることになる。こういう時は‥‥とりあえず、めんどくさがらずにしっかりメシを食うのが大事だ。帰りにスーパーに寄っておでん種を買い、寸胴でたっぷり仕込んだ。これで、明日は取材が終わってヘロヘロになっても、家に帰って寸胴を火にかけるだけでメシにありつける。

あとは、外から戻った時のうがいと手洗いと、睡眠だな。せわしない日々を、うまく乗り切ろう。

旅と写真とキャパと僕

昨日、横浜美術館で「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展を見て、思い出したこと。

世界でもっとも有名な報道写真家、ロバート・キャパ。僕にとって彼は、その短い生涯と作品を通じて、「写真家」という存在を意識するようになるきっかけを与えてくれた人だった。いや、それだけではない。僕の中で、「旅」と「写真」という二つの行為が分ちがたく結びつくきっかけを与えてくれたのも、キャパだった。

1992年の春、生まれて初めての海外一人旅。ザックの中には父が送ってきたありふれたコンパクトカメラと、何気なく買った文庫本が一冊。当時はたいして写真に興味のなかった自分が、なぜその一冊にキャパの「ちょっとピンぼけ」を選んだのか、今もよくわからない。神戸から上海まで船で渡り、シベリア鉄道でロシアを横断し、夜行列車を宿代わりにしながらヨーロッパをほっつき歩いた数カ月の間、何度もこの本を読み返した。祖国を追われ、危険な戦場に身を投じて写真を撮り続けた日々のことを、キャパはユーモアと優しさと、時に悲しみを交えながら書いていた。彼の文章を読んだ後に自分の目で見る未知の世界には、何かが透けて見えるような気がした。それが何かはわからなかったけれど、その「何か」に向けて、僕はシャッターを切った。

世界を自分の目で見るということ。それを写真という形で誰かに伝えること。いつのまにかその行為は、僕にとって、旅と切っても切り離せないものになった。もし、あの最初の旅に持って行ったのがキャパの本でなかったら、そんな風に考えるようにはならなかっただろうし、今のように写真を仕事の一部にするようにもならなかっただろう。そう思うと、キャパの「ちょっとピンぼけ」は、僕の人生に一番大きな影響を与えた本なのかもしれない。

半世紀以上も前に撮られたキャパとゲルダの写真を眺めながら、僕は、あの旅で感じた気持を思い起こしていた。