昨日の朝、タイ取材を終えて帰国した。
約四週間もの間、南国の太陽に灼かれて黒焦げになってた割には、特に大きく体調を崩したりすることもなく、元気に戻ってくることができたのだが、とりあえず今は、ひたすら眠い。昨日は昼寝もしたし、夜も結構どっぷり寝たのに、まだ全然寝足りない。今日は「撮り・旅!」のパネル展の設営などで朝から出歩いてたのだが、夕方頃には、もう歩きながら寝落ちしてしまいそうなくらい、眠くてたまらなくなった。
つーわけで、今日もビール飲んだら、とっとと寝ます。あー、眠い。
ついこの間、アラスカから戻ってきたと思ったら、明日はもう、タイへ出発。去年とほぼ同じ、約四週間の取材。
昨日と今日、あらかじめ準備しておいたチェックリストを見ながら荷造りをしていたのだが、アラスカの時と比べて、あまりにも荷物が少ないので笑ってしまう。たぶん、3分の1かそれ以下。向こうではほぼTシャツと短パン、サンダルだけで過ごすので、服がとても少ない。寝袋もいらないし、もちろんテントもマットレスも、フリーズドライの食料もいらない(笑)。一番重いのは撮影機材だが、アラスカでは重要だったヘビー級の望遠ズームは持って行かないので、ずっとましだ。
とはいえ、いろいろと予測不可能なことが起こりやすいのは、アラスカよりも断然タイだと思う。去年の取材である程度各地の土地勘はあるけれど、体調管理も含め、油断しないようにせねば。
帰国は10月23日(木)の予定。ではまた。
代官山蔦屋書店の森本剛史さんが、昨日の早朝に亡くなられたという報せが届いた。
代官山蔦屋書店で旅行コンシェルジュを務められていた森本さんは、100カ国以上を旅してきたトラベルライターでもあり、文字通り、旅と本に関する本物のプロフェッショナルだった。僕が森本さんと初めてお会いしたのは、二年前の初夏。知人の編集者さんの紹介で、発売したばかりの「ラダック ザンスカール トラベルガイド」の件でお店にご挨拶に伺ったのだが、とても親身に話を聞いてくださって、店内でのラダックのトークイベント開催を提案していただいたりした。その後もお店でお会いするたびに、最近の売れ行きや面白そうな作家さんのことなど、気さくに話をしてくださっていた。
昨年の秋、森本さんは入院して大きな手術を受けられたのだが、今年に入ってお店にも復帰されて、春先に「撮り・旅!」に載せる旅と写真のおすすめ本の紹介記事の執筆をお願いした時も、快く引き受けてくださっていた。大入り満員になった「撮り・旅!
」の刊行記念トークイベントをやろうと提案してくださったのも森本さんだった。でも、その前後から再び入退院をくりかえされるようになって‥‥。たぶん「撮り・旅!
」の記事が、活字になった森本さんの最後のお仕事だったのではないかと思う。
森本さんの親しい友人だった方が、Facebookに「友が旅立った」と書かれていたが、「旅立った」という言葉で見送られるのが森本さんほど似合う人は、他にいないと思う。それにしても、急な旅立ちだった。発売の後にちゃんとお会いして「撮り・旅!」完成のお礼を伝えられなかったことが、本当に悔やんでも悔やみきれない。
「本は旅を連れてくる」。旅行コンシェルジュだった森本さんが、常日頃から同僚の方々に言っていた言葉だという。たぶん森本さんは、旅の力を、本の力を、最後の最後まで信じ続けていたのだ。それが人に、かけがえのない何かをもたらしてくれることを。
僕もまた、旅にまつわる本を作る仕事をしているけれど、さんざん苦労させられる割にさっぱり儲からないし、このままどこまでいってもやせ我慢なだけなのではないかと、暗澹とした気持になることがある。自分の作っている本にはたしてこの世に存在する意味はあるのか、単なる自己満足なだけなのではないか、とさえ思うこともある。
でも。それでも。
僕はこれからも、旅にまつわる本を作り続けると思う。それが誰かに、旅を連れてきてくれることを願って。それが誰かに、何かを変える力を与えてくれることを願って。森本さんに笑われないような本を、一冊々々、作り続ける。
本当に、おつかれさまでした。どうか、よい旅を。
昨日は、「撮り・旅! 地球を撮り歩く旅人たち」の打ち上げだった。綱島のポイントウェザーさんを定休日にお借りして、午後の3時から始めて、途中で参加者が入れ替わりつつも、11時くらいまで。旅の話、写真の話、他愛のない話。初対面の人同士も多かっただろうに、そんなことをまったく感じさせない、とてもなごやかな宴だった。
他の方々と別れ、帰りの電車で一人になる。バッグの中には、版元の編集者さんが持ってきてくれた読者の方からの手紙が入っている。この本の企画を思い立ってからの約二年間、悩み、苦しみ、もがき続けた日々に、ようやく、ひと区切りついたような気がした。今の自分のこの気持は、申し訳ないけど、たぶん他の誰にもわからないだろう、と思った。
一冊の本をつくるのも、旅のようなものなのだな。
昼から夜まで、都心でいくつかの用事があり、出かける。
途中、代々木公園で今週末に開催されるナマステ・インディアへ。ここ数年来の盛況ぶりからすると、今年は同じイベントというのが信じられないくらい、さみしい印象だった。しばらく前に代々木公園で蚊に刺された人がデング熱にかかったらしいという件が影響して、かなりの出展者がキャンセルしたようだし、人出も少なかったように感じた。
デング熱は蚊が媒介する病気で、蚊に刺されないように気をつける以外、特に有効な予防手段がない。ただ、どこそこで蚊に刺された人が感染した云々の情報に、必要以上に踊らされる必要はないと思う。たぶん、そういう蚊はだいぶ昔から日本にもいたと思うし、一度くらい公園で駆除したからといって、来年また発生するかもしれない。今の時点で、代々木公園や上野公園以外にはそういう蚊は一切いないと考えるのも不自然だし、案外、窓を開ければ蚊だらけのうちのマンションの庭にもいるかもしれない。不用意にリスクを冒す必要はないけれど、不必要に怯える必要もないかな、と思う。
将来は日本でも、インドみたいに、テレビの画面の隅にデング熱アラートが出てくるような時代が来るのかな。来ないともかぎらないか。