三年ぶりの機種変

iPhoneを機種変した。12 miniから15 Plusに。ほぼ三年ぶりの買い替えになる。

画面が小型の機種から大型のものに一足飛びに替えた理由は、現行モデルでは小型の機種がないこともあるが、ひとえに、老眼の進行によるものだ(苦笑)。ほんの三年の間に、ずいぶん見えづらくなってしまって……。大型画面の機種は以前しばらく使っていたのだが、ひさしぶりに手にしてみると、あらまあ見やすい(苦笑)。なんだかそれだけでほっとしてしまう。

今日の午前中に届いたので、環境移行をした後、銀行系のアプリなど、認証の必要なアプリを一つずつ確認してセットアップ。昔に比べると格段にラクになったが、それでもそれなりに手間はかかる。夕方頃までに、どうにか完了。最新機種だけあって、さくさくきびきび、快適に動く。

今まで常に装着していたアップル純正のレザーケースが、環境負荷削減のためとかで廃番になってしまったので、時流に抗うレザー愛好家として(苦笑)、NOMADのModern Leather Caseを購入。かっちりした安心感のある造りで、とても気に入った。この後、国立商店さんのレザースリーブが出たらそれも併用する予定。

ささやかなことではあるけれど、ひさしぶりの機種変、やっぱり気分が上がる。

原稿執筆ぼっち合宿 2023


先週の月曜から土曜まで、安曇野に行っていた。原稿執筆ぼっち合宿、約一年ぶりの実施。

合宿の目的は、先月から始まった金子書房のnoteでの連載「流離人(さすらいびと)のノート」の次回以降の原稿を書きためるため。年末に出る予定の新刊の編集作業がこれから本格化するのと、それ以外の仕事もいろいろ予測できないタイミングで入ってきそう(実際、合宿中に複数の相談メールが入ってきた)なので、少し余裕のあるうちにまとまった時間を作って、集中できる環境で、何篇か書き溜めておきたかったのだ。

到着日の月曜と出立日の土曜を除くと、完全に執筆に集中できたのは火、水、木、金曜の四日間だったのだが、一日一篇のペースで書き上げていくことができたのは、我ながら頑張った方だと思う。日に日に疲労がたまっていくのは実感していて、帰京した昨日の夜は、ほっとしたのか、前後不覚に十時間以上も爆睡してしまった。

先週は台風などの影響で雨の降った日が多かったし、晴れたら晴れたで日射しがめちゃめちゃ暑くて、自転車を乗り回すのもしんどかったので、滞在中は近所のコンビニまで一日一往復する以外、まったくどこにも行かなかった。それでもまあ、山に近いだけあって、朝晩は涼しかったし、日中も窓を網戸にして扇風機を回せば、どうにかしのげる程度だった。食事は普段ほとんど食べないインスタント食品やレトルトカレーばかりだったが、それはそれで気分が変わって新鮮だったので、楽しくはあった。

今年のうちにあと数回分は書き溜めておくとして、その後、連載終了までの間に……たぶんまた、どこかのタイミングで、合宿せざるを得なくなりそうな予感はする。来年の春以降かな。さて。

「PATHAAN/パターン」

仕事がほんの少し落ち着いたので、公開初日の「PATHAAN/パターン」を観に行った。インド本土では2023年1月の共和国記念日に公開された話題作で、ボリウッド発の作品としては乾坤一擲の大ヒットを記録した。主演はシャー・ルク・カーン、ヒロインはディーピカー・パードゥコーン、敵役はジョン・エイブラハム。「YRFスパイ・ユニバース」の作品ということで、YRFの以前のヒット作「タイガー 伝説のスパイ」で主演を務めたサルマン・カーンもカメオ出演する(「タイガー」や「ウォー」の次回作にシャー・ルクが出演する可能性も、大いにありそうだ)。

物語は、2019年のインドのジャンムー・カシミール州解体に反発したパキスタンの将軍の一人が、国際テロ組織にインドへの報復を依頼し、その企みに対してシャー・ルク演じるパターンが立ち向かっていく……という、スパイアクションものの王道路線。贅沢かつ丁寧に作り込まれた迫力の映像とサウンドを、最初から最後までどっぷりと堪能できる。シャー・ルク・カーンという唯一無二の存在の魅力と強みを監督やスタッフが熟知していることがありありと伝わってくる、シンプルに面白い作品だった。

「パターン」(パシュトーン人)という主人公のコードネームは、かつてアフガニスタンでの作戦中、身を挺して現地の人々を救った出来事に由来していると劇中では語られている。その一方で、この物語の発端に位置付けられているジャンムー・カシミール州の解体の際には、スリナガルを中心に多くのイスラーム教徒がインド政府によって弾圧されている。娯楽大作にこのような話を結びつけるのは野暮なのだろうが、カシミールに暮らすイスラーム教徒たちに対し、パターンはどう感じているのか、個人的には知りたいと思う。

「流離人(さすらいびと)のノート」

金子書房のnoteで、旅にまつわるエッセイの新連載が始まりました。連載のタイトルは「流離人(さすらいびと)のノート」。毎月25日に1編ずつ公開されていきます。

【連載】「流離人(さすらいびと)のノート」 山本高樹(金子書房)

読者の方々からの反応によって、今後どのくらい続けていけるかが決まってくると思いますので、文章を読んで気に入っていただけたら、ページ脇にあるハートマークをクリックして「いいね」をつけていただけると、非常に助かります……。どうぞよろしく。

リフレッシュとインプット

今月下旬から始まるWeb連載の最初の回の原稿を、少し前に完成させることができたので、一昨日と昨日は休養に充てた。

一昨日は、一カ月半ぶりの理髪店で、髪をすっかり短く刈り上げてもらった後、三鷹のユニテさんをはじめ、三鷹から吉祥寺界隈の書店をぶらぶらとハシゴ。武蔵野珈琲店でアイスコーヒーを飲みながら本を読んだりして、一人でのんびり、ゆるゆると過ごした。

昨日は六本木の国立新美術館で、「テート美術館展 光 ターナー、印象派から現代へ」と「蔡國強 宇宙遊 〈原初火球〉から始まる」を立て続けに鑑賞。テート美術館展では、ジョン・コンスタブルとデイヴィッド・ルーカスによるメゾチント版画の連作「イングランドの風景」シリーズがとりわけよくて、あの連作だけをまとめた冊子がほしいくらいに思った。蔡國強さんの展示はもう、圧巻で……溢れ出す情熱の奔流に、ただただ圧倒された。表現者として見習うべき点も、本当に多い。自分も、到底及ばないながらも、頑張らねば……と思った。

午後はミッドタウンの虎屋茶寮で今季初のかき氷、宇治白玉金時にありつけたし、夜はひさしぶりにブリュードッグ六本木で、濃いめのIPAをパイントグラスで心ゆくまで飲んだ。良い感じでリフレッシュとインプットができた二日間だった。

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呉明益『歩道橋の魔術師』読了。かつて台北の象徴的な存在だった中華商場で生まれ育った子供たちを巡る、不可思議な物語の短編集。リアリティ豊かなディテールに彩られた描写の中に、魔術師によって引き起こされる超常的な出来事が織り込まれていく。『自転車泥棒』もそうだったが、虚実ないまぜのノスタルジックな世界観で読者を惹き込んでいくストーリーテリングが、彼は異様に上手い。これからもずっと追いかけて読んでいきたい作家の一人だ。