出戻り在廊

昨日は昼から午後半ばまで、綱島のポイントウェザーでやらせてもらっているラダック写真展に在廊。在廊と言っても、座敷でカレーをいただきつつのんびりさせてもらっていたわけだが。

で、午後半ばにお店を出て、横浜の手前の反町で開催中の桑原雷太さんのフィンランド写真展へ。会場に着いて中に入ったら、なんと浅井寛司さんが。浅井さんが「この後、綱島の写真展にも行きます」と言ってくださったので、せっかくなのでご一緒させてもらって、再びポイントウェザーへ。世にも珍しい出戻り在廊の一日となった(笑)。

でも、楽しかったなあ。みなさん、ありがとうございました。

かけ違えたボタン

アラスカから日本に戻ってきて10日ほど経ったが、とにかくやたらと眠い。ずっと眠気に襲われている気がする。

ただ、その眠気に従って横になってみても、浅い眠りのまま、割とすぐに目が覚めてしまう。ぐっすり熟睡、という感じにはならない。それで起きて、しばらくすると、また眠くなる。横になる。でも浅いまま、すぐ目が覚める。

アラスカの小屋で一人ぼっちだった時、夜の9時を過ぎて太陽の光が完全に消え去ると、あたりは真の闇に包まれた。窓から外を見ると、海の向こうの遥か彼方に、シトカの街の灯がほんのかすかに見えていた。波の音、風に揺れる梢の音、虫の声。エアマットを敷いた板張りのベッドで、僕は寝袋にくるまっていた。不思議なくらい、ぐっすりと、よく眠れた。孤独も不安も、何も感じなかった。ただ、静寂の中に身を浸していることが心地良かった。

あの島から戻ってくる時に、どこかで、ボタンをかけ違えてしまったのかもしれない。どっちが間違っているのかも、僕にはわからないけれど。

「Bajirao Mastani」

この間、アラスカに行く時に乗ったデルタ航空の機内で観たインド映画「Bajirao Mastani」。年末年始に観た「銃弾の饗宴 ラームとリーラ」と同じく、監督はサンジャイ・リーラー・バンサーリーで、ランヴィール・シンとディーピカ・パードゥコーン、そしてプリヤンカー・チョープラーが揃い踏みという、華麗で濃密な歴史絵巻。

時は18世紀のインド。当時のマラーター王国で絶大な権力を持つペーシュワー(宰相)に若くして任命されたバージーラーオは、自ら軍を率いて各地への遠征をくりかえしていた。ある時、遠征中のバージーラーオを、ブンデルカンド王の娘マスターニーが援軍を要請するために訪ねてくる。ムガル帝国軍に包囲されていたブンデルカンド城の窮地を救ったバージーラーオは、マスターニーと恋に落ちる。自国に戻ったバージーラーオを追って嫁入りすることになるマスターニー。しかし周囲の人々は、ムスリムであるマスターニーの存在を頑なに受け入れようとしない。そして、それまでバージーラーオと仲睦まじかった第一夫人のカーシーバーイも、内心深く傷ついていた……。

この作品、ミュージカルシーンのいくつかはYouTubeで観ていたのだが、作品全体を通じても映像の緻密さと美しさは本当に圧倒的で、口をあんぐり開けて見入ってしまうほど。ストーリーは史実にある程度基づいた悲恋の物語なのだが、個人的にはマスターニーと同じかそれ以上に、カーシーバーイに感情移入してしまったというか、不憫でならなかった。この役柄にプリヤンカーを起用したのは大正解だったと思う。でなければディーピカの存在感に負けてしまっていただろう。

これはやっぱり、飛行機の座席の小さなモニタではどうにも物足りない。映画館のスクリーンで、どっぷり浸りたいと思ってしまった。

ケープ・マレーの味

今日は昼から夜まで、写真展開催中のポイントウェザーに在廊。激混みというほどでもなく、ほどよくにぎやかで、穏やかな時間だった。来週からラダックに行くという方が訪ねてきてくれたり、知り合いも大勢来てくれたりで、愉しく過ごすことができた。

お店ではおひるに週末限定のインドネシア定食をいただいた。サンバルゴレンウダンに、豚肉の甘辛煮や空芯菜炒め、ガドガドなど。甘味がある中にほどよくスパイスの効いた味。インドネシアは未踏の地なのに、どこかで似たような味を経験したような気が……と思ったら、去年の南アフリカ取材の時にケープタウンで食べた、ケープ・マレー料理の味。

南アフリカにはかつて、オランダ東インド会社によってジャワから大勢の人々が奴隷として連れてこられた。その子孫は今、南アフリカでケープ・マレーという確固としたコミュニティを築き、文化を受け継いでいる。ケープ・マレー料理も彼らのそうした文化の一つだ。

思いがけない人とばったり再会したような、そんな気分になった。

今頃になって

昨日は夕方から、綱島のポイントウェザーで、今日から始まるラダック写真展の設営。すぐに終わるだろうとたかをくくっていたのだが、予想よりずっと大変で、お店の近所から手伝いに来てくれた友人たちがいてくれなかったら、たぶん全然終わらなかったと思う。本当に助かった。おかげで今日から、無事にスタート。

で、今日は午前中のうちに市役所に(制度的には非常に不本意ながら)マイナンバーカードを受け取りに出向いた。で、家に帰ってきて、仕事を……と思ったのだが、急にものすごく身体がだるくなってしまった。ベッドに横になって、夕方まで3、4時間寝る。

今頃になって、ここしばらくの疲れが出てきたのかな。来月からはまた、タイ取材が始まるんだけど。