子供と大人の味覚

食べ物に関して、僕はほとんど好き嫌いがない。日本人感覚でいうゲテモノは自ら進んで食べたりはしないが、食えと言われたら、まあ、食えなくもない。この間もタイの田舎町で、何かの拍子に炒ったイモムシをすすめられて、ぽいっと食べちゃったし。

でも、子供の頃は、嫌いとまではいかないけど、別にうまくもないなあと思いながら食べてたものは、結構たくさんあったような気がする。たとえば、岡山県はばら寿司が割と有名だが、あれに使われる酢じめの魚やレンコンといった具材が苦手で、ばら寿司自体もうまいとは全然思っていなかった。焼いたアナゴも割とよく食卓に上っていたけど小骨の感触が好きになれなかったし、野菜だとさやいんげんとかさやえんどうの類はもきゅもきゅした歯ごたえがイマイチだと思っていた。まあでも、そういうのを食べずに残すことが許されるような育てられ方でもなかったし。

今となっては、どれもこれも、何のためらいもなく、ぱくぱく食べられる。子供と大人、味の感じ方というのは変わるものだなあと思う。単に鈍くなっただけかもしれないが。

霜月の雪

夜半過ぎから降っていた雨が、明け方には雪に変わった。東京で11月に初雪が降ったのは、54年ぶり。積雪を観測したのは史上初だったそうだ。

こういう日に限って、朝から夕方までみっちり大学案件の取材が入っていたりする。カーゴパンツの下に登山用のタイツを穿き、ニットキャップ、マフラー、手袋、ダウンジャケット、足元はヌプシブーティと、完全装備で出発。駅までの道程で、ビニール傘に雪がこびりついて、ずしりと重くなる。中央線と多摩モノレールを乗り継いで、現場に向かう。まだ早い時間だったからか、列車はそれほど遅れてはいなかった。

同じキャンパス内で1日かけて、合計4人の方に取材。分野もテーマも全部バラバラなので、頭をフル回転させながら必死で質問を振っていく。夕方になる頃にはすっかり燃えカスのようになってしまった。毎度のことながら疲れる。

雪は夕方少し前に止んだ。あのまま降り続いていたら、えらいことになっていた。やれやれ。

チャーンでフラッシュバック

もう完全に冬だな、という寒さと空模様。電車で都心に出かける。神宮外苑の銀杏並木を少し見物し、ひさしぶりにブルーボトルコーヒーでコーヒーを飲み、渋谷までぶらぶら歩く。

晩ごはんにおでんでも食べようかと思ったのだが、考えることはみな同じなようで、夕方の早い時間からすでに長蛇の列。あきらめて、タイ料理を食べることにする。3週間ぶりのタイ料理。まあ、そろそろいいかなと(笑)。

新宿のゲウチャイという店でいただいたタイ料理は、どれも食べやすくておいしかったのだが、我ながらちょっとびっくりしたことがあった。最初に頼んだタイのチャーンビールを、コップに注いで一口飲んだとたん、ぶわっ!と、ついこの間までタイでさんざん感じていた感覚がフラッシュバックしてきたのだ。暑くてじっとり湿った空気、埃と汗と、ぎらつく陽射しと……。それはもう、生々しく。

考えてみたら、タイでの取材中は、ほぼ毎晩、コンビニで買ったチャーンの500ml缶を宿の部屋で飲んでいたから、そうなるのも無理はないのかもしれない。しかしまあ、それにしても。

明るい部屋

しばらく前から、家にいる時にどうも気分がパッとしないなあ……などと思っていたら、仕事机のある居間の蛍光灯が、文字通り風前の灯火というか、切れる寸前になっていることに気付いた。

で、午前中のうちに、近所のスーパーに行って新品の蛍光管を買ってきて、よっこらせと交換作業。カバーをはめて、スイッチをオン。びっくりした。昼間ということを差し引いても、交換前より2倍は明るいのだ。こんなにすっきりした部屋だったっけ、と思うくらいに。ここまで差があったのか……。

気分転換に、蛍光灯の交換。悪くない結果だ(笑)。

濃密な宴

昨日は夕方から、ひさしぶりに綱島へ。ポイントウェザーで松井直子さんがアンダマン諸島の写真展をされていて、そのオープニングパーティーという名の持ち寄り飲み会。

集まった人数はそこまでめちゃめちゃ多くはなかったのだが、石川武志さんや石川梵さんと膝をつき合わせる距離でお酒を飲みながら話を聞ける機会なんて、そうめったにあるものではない。ここぞとばかりにいろんな質問をさせていただいたりしたのだが、気さくに話をさせていただけて、嬉しかったし、楽しかった。とても濃密な、いい時間だったなあと思う。

しかしまあ、自分が一番年上ではない(そしていつもは他の誰もそれに気付いてない)飲み会って、ひさびさだったかも(笑)。