腹黒くてヘタレな男

知り合って間もない人から、「ヤマモトさんて、いい人ですよね」というニュアンスのことを言われることがある。ほぼ間違いなく社交辞令だと思うのだが、そんな風に言われた時は「いや、僕は基本的に腹黒いですから」と返すことにしている。

似たようなシチュエーションで、「ヤマモトさんて、すごい冒険をしてらっしゃいますね!」みたいなことを言われることもある。そういう時には「いや、僕は基本的に一人では何にもできない、ヘタレなんですよ」と返すことにしている。

どちらも謙遜でも何でもなく、自分自身、かなり本気でそういう人間だと思っている。基本的に、腹黒くて、ヘタレな男。自分の中にあるどうしようもなく邪な部分、情けない部分を認めてしまうと、何だか楽になれるのだ。

そんな僕は、本当に穏やかで優しい人や、はちきれんばかりの勇気に満ちあふれている人に出会うと、眩しくて目も合わせられない気持になる。けれど僕は、腹黒くてヘタレななりに、どうにかこうにか、しぶとく生き抜いてやろうと、今日も地べたを這いずりながら、あがいている。

不揃いのトマト

夕方、食材の買い出しのため、近所のスーパーへ。

このスーパーに行くと、まず最初に地場野菜のコーナーをのぞく。僕の住んでいる三鷹界隈は意外なくらい畑が多くて、地場野菜も結構豊富に出回る。新鮮で、がっしりと実が詰まっていて、味もいい。最近は夏野菜もだんだん出回りはじめた。

そのコーナーの隅っこに、形や大きさの不揃いな野菜を置いてある場所があった。値段は、形のいいものの半額から3分の2くらい。変形してるけど大ぶりの立派なトマトがいくつかあったので、それを買う。こういう不揃い野菜を扱う場所があると、本当に助かる。

今夜は、トマトと卵で中華風のスープを作ろう。スープだから、形なんて関係ないし。

会いたいのは旅人ではなく

来年の早い時期に、たまっているスターアライアンスのマイルを使って、半月ほどラオスに行こうと考えはじめた。で、ネットでラオス各地の情報を調べはじめたのだが、思っていた以上に名前に「ホステル」とつくドミトリー形式の宿が多いことに気づいた。いずれも新しめの綺麗な宿。手頃な料金設定で、エアコンやホットシャワーやWi-Fiを完備し、朝食サービスや共有スペースのミニバーなども利用できるような。僕が毎年取材しているタイでも似たような宿が増えているし、他の国々もおそらくそうなのだろう。

旅の中で写真を撮ることが仕事の一部になってから、撮影機材をできるだけ安全に保管しなければならなくなったので、今ではドミトリーを選ぶことはほぼなくなった。でも、20代の頃は、旅先でドミトリーの宿があれば、よほど怪しくて感じ悪いとかでなければ、そこを最優先で泊まっていた。旅費の節約という、背に腹は代えられない理由で。その頃のドミトリー宿は、殺風景な部屋にただベッドが並んでいるだけで、設備も最近の宿とは比べものにならないボロ宿がほとんどだった。それでも、一緒に泊まり合わせた他の国々から来た旅人たちと、情報交換したり仲良くなれたりするのは、あの頃の僕には新鮮だったし、愉しかった。

ただ、僕の場合、旅先で一人で過ごしていると寂しいから、誰か他の旅人と出会いたくてたまらないから、という理由ではドミトリーを選んでいなかったように思う。何かのひょうしにたまたま知り合って、じゃあお茶かごはんでも、というのは全然構わないし、今でも行く先々でよくあることだが、自ら進んで他の旅人たちとつるみたい、行く先々で行動を共にしたい、という発想は、昔も今もあまりない。

僕が旅先で会いたいのは、他の国々から来た旅人たちではなく、自分がその時旅している国に暮らしている人々や、そこにしかない風景なのだ。その出会いを大切にするには……それを文章や写真に落とし込むには、できるだけ自分が自分らしくいられる状態で旅したい。僕の場合、それは一人で旅することを意味する。

異国の雑踏の中を、一人で歩き回る。誰もいない荒野に、一人で立ち尽くす。薄暗い部屋のベッドで地図を広げ、一人で計画を練る。その、ぞくぞくするような愉しさ。僕にとっての旅は、たぶんそういうものなのだと思う。

そろそろ準備を

申請を依頼していたインドビザが、無事に発給されたという報せが届いた。毎度のことながら、インドという国に関しては、何が起こるかわからない、何が起きても不思議ではないので、万全を期していても、どきどきする(苦笑)。

Eチケットもこの間受け取ったし、渡航期間中の海外旅行保険の申請も、さっきオンラインで済ませた。冷蔵庫の中の食材や調味料も計画的に減らしている。この後は、いつものラダック旅行向け荷物のパッキングリストを今年の旅の内容に合わせてアップデートして、常備薬や消耗品など足りないものをチェックし、時間のあるうちに買い揃えておく。出発当日の空港までのバスのチケットも予約しておかねば。現地の知り合いにインド到着後のこちらの計画を連絡して、日本の知り合いや仕事の取引先にもしばらく不在にする旨を連絡して……。

出発まで、あと2週間と少々。ふう。

さすがに眠い

昨日は午後から渋谷で、夏のスピティツアーとザンスカールツアーの細かい打ち合わせ。いろいろ確認できたし、現地の貴重な資料もいくつかお借りできたので、ありがたかった。その後、夕方から綱島のポイントウェザーで飲み会。これも楽しい時間だった。

帰りはそこまで遅くならなかったものの、家に戻って雑用を片付けたりしてるうちに、寝たのは夜の2時過ぎ。今日は朝イチで大学案件の取材が入っていたので、3時間くらいの睡眠時間で起きなければならなかった。さすがに眠い。取材先は新宿から小田急線で1時間以上離れた場所なのだが、うっかり熟睡すると小田原まで行ってしまいかねないので、音楽を聴きながら我慢。駅前のマクドナルドでコーヒーを飲んでカフェインをキメ、どうにか取材を乗り切る。

しかしまあ、疲れた。今夜は、たっぷり寝よう……。