ビューティフル・ドリーマー

終日、部屋で仕事。新しく作る本の執筆・編集。細かい作業を一つひとつ、ちまちまと積み重ねていく。

いつかも書いたように、本づくりの作業は僕にとって、この世で一番楽しい仕事だ。但し書きをつけるとすれば、〆切というものがなければ、もっと楽しい(笑)。まあ、〆切がなければ、いつまでたっても何も形にはならないだろうけど。

子供の頃、「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」という長編アニメ映画を観た。細かい展開はあまり覚えていないのだが、ヒロインのラムの夢の中で、学園祭の前日がいつまでもいつまでもくりかえされるという物語だったと思う。本づくりの仕事も、いつまでもいつまでも〆切前日のままなら、ある意味楽しいのかもしれない……いや、やっぱりそれはしんどいか(笑)。

完成した本を、読者の方に手に取って読んでいただくまでが、本づくりの仕事。なので、しばらく辛抱して、がんばります。

ラオスへ

タイからの帰国早々、仕事がいろいろ崖っぷち状態なのには、いくつか理由がある。そのうちの一つが、来年の年明け早々、半月ほどラオスに行く予定を入れてしまったことだ。

もともとラオスは、いつか旅してみたいと何年も前から思っていた国だった。タイ取材の時にはラオスとの国境の近くにある街も取材するから、文字通り、ラオスの目の前までは何度も行ったことがある。ただ、実際に訪れるチャンスはなかなかなくて、僕の場合、どうしてもラダックやアラスカの方が取材の優先順位が高くなってしまうから、このままだとラオスにはずっと行きそびれたままになってしまうのでは、と思っていた。

そんな折、スターアライアンスのマイルがそこそこ貯まってきて、時期さえ選べば、東南アジア方面までならタダで往復できる状況になった。1月は東南アジアでは乾季のオンシーズン。ここで使わなければマイルの一部の有効期限も切れてしまう。なので、関係各所に頭を下げて、ラオスに行く計画を進めることにした。個人的な旅ではあるけれど、現地で体験したことは写真と文章にまとめて、「BE-PAL」のWeb連載などで発表するつもりだ。

正直、灼熱のタイ取材から戻ってきたばかりの今の時点では、また東南アジアか……と思わなくもないのだが(苦笑)、未知の国を旅することを想像すると、やっぱり気持が昂まってくる。しかしまあ、その前に、日本での仕事だな。まじで何とかせねば。

とりあえず、忙しい

帰国して、十日と少々。とりあえず、忙しい。

帰ってきてすぐにタイで撮った写真を現像して整理し、リサーチしてきた情報と一緒にまとめて編プロにさくっと送ったまではよかったが、今、目の前に立ち塞がっているのは、来年春に出す新しい本の編集作業。ある程度予想はしていたが、とにかく手間がかかる。これ以上もたついてると、まじで関係各所に大迷惑をかけてしまう(汗)。

今月は大学案件の取材も入るとすでに予告されているし、正直、かなり焦り気味。まあでも、この本を作れるのは自分しかいないし、頼れるのも自分しかいないから、やるしかない。がんばるべ。

ドライマンゴーのヨーグルト漬け

タイから日本に帰国する前、何人かの知り合いへのおみやげと、一袋は自分用に、ドライマンゴーを買った。空港の売店で買うと高いので、バンコクの宿の近くのショッピングモールにある中華系の乾物屋で、ごくオーソドックスなやつを。

ドライマンゴーは酒の肴とかにそのままかじっても普通にうまいが、何かひと工夫して食べるレシピはないものか、と検索してみた。すると、プレーンヨーグルトに1日浸しておく、という食べ方が結構人気なのだという。簡単なので、スーパーでヨーグルトを買ってきて、やってみた。

……すげえ。これ発明した人、天才か。

ヨーグルトにドライマンゴーを1日漬けると、水分がほどよくマンゴーに移って、まるで生のマンゴーのような食感に戻るのだ。それでいて風味は濃縮されていて、うまい。その風味は水気の抜けたヨーグルトの方にも移っていて、それもまたうまい。一緒に食べるとさらにうまい。ものすごく贅沢なデザートを食ってる気分になる。

もちろん、素材のドライマンゴー自体の良し悪しにも味は左右されるとは思うが、程度のいいドライマンゴーが手に入ったら、ぜひ試してみてほしい食べ方だ。ほんと、まじでびっくりした。

「心 ~君がくれた歌~」

10月のタイ取材、往路のタイ国際航空の機内で観たのは、今年のIFFJでも上映されたインド映画「心 ~君がくれた歌~」。たぶん、途中いくつかの場面がカットされた短縮版だったと思う。監督はカラン・ジョーハル、主演はランビール・カプールとアヌシュカー・シャルマー。脇を固めるのはアイシュワリヤー・ラーイ、ファワード・カーン、特別出演でシャールク・カーンまで登場する。

音楽の道に惹かれながらもロンドンで怠惰な人生を送るアヤンは、とあるクラブでアリゼーという女性と出会う。その時は互いに恋人がいた2人だったが、それぞれに別離が訪れる頃、アヤンはアリゼーを好きになる。しかしアリゼーはアヤンのことを友人以上に思えない。2人は旅先のパリで、アリゼーの元恋人アリーに出会う。アリーに復縁を迫られたアリゼーは、彼との結婚を選ぶ。アヤンはインドで催されたアリゼーの結婚式に呼び出されて深く傷つくが、帰りの空港で詩人のサバーと知り合い、彼女とウィーンで暮らすようになる……。

……複雑である。原題が「Ae Dil Hai Mushkil(心は難しい)」というくらいだし。この監督、この俳優陣で、海外ロケにキャッチーな音楽の数々と、良作になりそうな雰囲気はムンムンだったのだが、どうにもストーリーと人間関係がややこしくなりすぎてしまったように思う。複雑な物語と入り組んだ人間関係に説得力を持たせるには各登場人物のキャラクター設定が弱くて、「何考えてるんだこの人?」と訝りたくなることも多かった。特に、たぶん誰もが同じ感想だろうけど、後半から結末にかけての、あの展開がなー。それで全部片付けちゃうんだ、という。

アヌシュカーもランビールも奮闘はしているし、アイシュ様は女神のようにお美しいし、個々の場面には心惹かれるものも結構あったのだが……いかんせん、ストーリー(特に後半)とキャラクター設定に無理が生じてしまったかな、と。そのあたり、ちょっと残念な後味が残った。