食うべき時に食わないと

午前中、本の色校一式が届く。午後は昨日取材した分の原稿を書き、夜から再校の赤字と色校の突き合わせ。夜中までかかって、とりあえず一通り目を通し終える。あと何回かは見直さなければならないけど。

二月は本当に忙しかった。現在進行中の新刊の編集作業はもちろん、大学案件の取材、来月のイベントや展示の準備、その他いろいろ……。確定申告の準備とかまで。何より、二月は、28日間しかない(苦笑)。実際、この短さのせいで、かなり追い込まれてしまっている。そしてたぶん、三月はさらに忙しくなる……。

こういう時の僕の悪い癖は、食事にまったく気が回らなくなることだ。うっかりすると、昼も夜もラーメンとか。人間、食うべき時にがっつり食っておかないと、力が出なくなるし、肝心な時に風邪とかひいてしまう。なので、今日はごはん鍋で米を炊き、豚バラ肉と根菜でカレーを作った。

熱くて辛くてうまいものを、はふはふ言いながら、たっぷり食べる。何だか、ふーっと、落ち着いた。普通に生き物なんだな、俺。

隙間の時間

午後、赤羽で取材。諸事情で手こずった昨日に比べると、今日は相手の方にも助けられて、とてもスムーズに進められた。話が盛り上がりすぎて、収録後の撮影が押してしまいそうになる寸前で、さりげなくまとめることもできたし。誰もそのテクに気付いてないし、ほめてもくれないけど(笑)。

三鷹には夕方の早い時間に着いたので、すぐに家に帰って、パスタか何か適当に晩飯を作ってから昨日今日の原稿に取りかかるつもりでいたのだが、ふと思いとどまって、喫茶店に入る。マンデリンを1杯注文し、読みかけの文庫本を取り出して、1時間くらい、ゆっくりと読む。

何てことのない1時間だったのだが、緊張していた神経が、ゆるゆると解きほぐされた気がした。人間には、こういう隙間のような時間が必要だ。テトリスみたいにすべてを追い込んでいくと、たいてい、ろくなことにならない。

三寒四温と言われても

いきなり、時間が真冬に巻き戻ってしまったかのような寒さ。雨とも言えないほどの小さくて冷たい雫が、ぽたり、ぽたりと、ジャケットの表面で音を立てる。

午後、調布で大学案件の取材。割とすぐに終わるはずが、先方の都合などで思いのほか長引いた。終わった頃にはすっかり真っ暗。あいかわらず雨は冷たい。駅前で煮干しラーメンを食べ、ちょっとほっとしてから、出発間際の三鷹行きバスに飛び乗る。何だろう、今日はそんなにたいしたことないはずなのに、妙に疲れている。

明日の午後も大学案件の取材だ。今年もまたこの季節がやってきたなという感じ。自分の新刊の校了作業もこれからだし、うっかり体調を崩さないように、気を引き締めていこう。

帽子のある生活

ここ1、2年くらいだろうか。外出する時に、たいてい帽子をかぶって出かけるようになった。冬はニットキャップ、夏は丸いツバ付きのハット。最近は大ぶりのキャスケットもよくかぶっている。

理由は髪が薄くなったからとかではなく(仮にそうなったとしても気にしないし)、単純に「何か頭にのっかってると安心する」ようになったから。もともと冬の寒さをしのぐためにニットキャップを常用するようになって、夏はハットがあると涼しいのでこれも常用するようになり、今は、外では何かかぶってるのが当たり前みたいな感覚になっている。何もないと、少々、そわそわする(笑)。

メガネと同じようなものかな。メガネをかけはじめた小学生の頃は人と違うのが嫌であまりかけたがらなかったけど、高校から大学にかけては、むしろメガネがないと視力以外の面でも不安でたまらなくなった。素顔の前にメガネがあると何となく安心できるというか。だから僕は、生まれてこのかた一度もコンタクトレンズを使ったことがない。

今度手に入れるとしたら、どんな帽子かな。とりあえず、アラスカやラダックの寒風に耐えられるガチの防寒キャップは入手せねば。

年相応の酒

昨日の夜は、吉祥寺にあるスコティッシュパブで、ひさしぶりにウイスキーを飲んだ。タリスカーと、マッカラン。それぞれロックでシンプルに。タリスカーの、鼻に抜けるスパイシーな香り。そしてマッカランの、舌を包み込むようにまろくて華やかな味。

僕は、肝臓の強さ的には、人並みかそれ以上に酒は飲める方だ。でもウイスキーは、ごくたまに飲むことがあったくらいで、普段はもっぱらビールにしてしまっていた。無駄にイキがってた二十代の頃も、せいぜいバーボンのジャック・ダニエルをロックで飲む程度だった。

ウイスキーに手が出なかったのは、もちろん値段的な理由もあったのだが、どこかで「自分にはまだ早い、似合わない」という意識があったのかな、と今になって思う。まあでも、僕も年齢だけはもうすっかりおっさんだ。バーカウンターでウイスキーをちびちび啜っても、誰も何も言わないだろう。

……いや、それでもまだ、貫禄不足か?(苦笑)