秒速5センチメートル。それは、桜の花びらが舞い落ちる速度なのだという。
Apple TVで、新海誠監督の「秒速5センチメートル」を借りて観た。「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」という連作短編アニメーション。幼い頃に知り合って心惹かれていた二人が、離ればなれになり、やがて大人になっていく。渡せなかった手紙。言えなかった言葉。いつか辿り着けると信じていた場所。二人の間を通り過ぎていく時間が、優しく、そして残酷に描かれている。
この作品では、わかりやすいカタルシスを味わえるような出来事は、何も起こらない。ただただ、届かなかった想いを抱えて生きていくことの苦しさとせつなさが、これでもかというほど美しい映像(特に第三話のラストに連なるパートの加速感!)に重ね合わされて映し出される。それでも彼らの、僕らの人生は続いていく。その先には、桜の舞い散る道が続いている。
‥‥余談だが、主人公の名前の読みが僕の名前と同じなので、観ている間、ずいぶん気恥ずかしい思いをした(笑)。