『ジガルタンダ・ダブルX』

カールティク・スッバラージ監督の『ジガルタンダ』を前に観た時は、まさかまさかの展開が連続する巧みなプロットと、タミルのギャング映画ならではのケレン味とユーモアが満載の映像に、文字通り、度肝を抜かれた。その前作から九年の時を経て公開された『ジガルタンダ・ダブルX』。直接の続編ではない(ということにしておこう、でも実は……)のだが、前作とはまた違った意味で、度肝を抜かれた。これは、ものすごい映画だ……。

警察官としての内定をもらったばかりのキルバイは、謎の集団殺人事件に巻き込まれ、その犯人として収監される。出所と復職の条件は、マドゥライを根城にするギャング団「ジカルタンダ極悪同盟」のボス、シーザーを暗殺すること。キルバイは映像作家と名乗ってシーザーに接近し、彼を主役にした映画を撮ると見せかけて、暗殺のチャンスを伺うが……。

今回も、まさか、まさかの展開。前作のようにコミカルでシニカルな着地になるのかなと予想していたが、思いの外、ずしりとヘヴィな結末になだれ込んでいく。人も、えっそんなに?!と驚くほど、大勢死ぬ。こういう仕立てにしたのは、過去、そして今のインド社会に対する、監督自身からの痛烈なメッセージなのだろう。

その一方で、前作と同様、物語と映像の全編に溢れているのは、映画を撮るという行為に対する、絶対的な信頼と愛だ。斧や鉈よりも、拳銃やライフルよりも、8ミリフィルムカメラの方が、強力な武器になる。そのド直球な映画愛は、観ていて本当に清々しかった。

そして……そのうち来るのか、トリプルXが?

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