最近のインド映画界では、「RRR」や「KGF」などヒンドゥー語圏以外で作られた作品が大ヒットして注目を集めているが、そんな中で去年、満を持して公開されて手堅くヒットを記録したボリウッド映画「ブラフマーストラ」。日本でも先月公開されたので、仕事の合間を縫って観に行ってきた。
古代から密かに継承されてきた、神々の武器「アストラ」。その中でも最強とされる「ブラフマーストラ」の争奪を巡って、善と悪の運命が交錯してゆく物語。宿命を背負って生まれた主人公シヴァに、ランビール・カプール。彼と運命的な出会いを果たすヒロインのイーシャは、今やランビールの妻でもあるアーリヤー・バット。ほかにも、アミターブ・バッチャンやシャー・ルク・カーンなどの豪華キャストが、それぞれ重要な役割を務めている。特に、序盤に登場するシャー・ルクの見せ場はすごくて、「えっ……主人公?」と思ってしまった(笑)。全編にわたってVFXが多用されているのだが、思いの外クオリティが高くて、違和感がない。
物語自体は、現代社会を舞台に神話的要素を組み込んだ、王道のヒロイック・ファンタジーという趣き。主人公が自身の宿命に目覚め、少しずつ能力をステップアップさせながら敵に立ち向かっていくという構図も、王道。逆に言えば、ある程度先が読めてしまう展開でもあるのだけれど、過去に遡るらしい続編(ディーピカー・パードゥコーンが本格的に登場するらしい。もう一人は……?)の展開は読めない部分もあるので、そのあたりは期待して待ちたい。