今から約6年前、日本でのインド映画人気再燃のきっかけを作った「きっと、うまくいく」とともに、「ボリウッド4」のラインナップの一つとして日本で公開された「タイガー 伝説のスパイ」。2017年暮れにインドで公開されたその続編が「Tiger Zinda Hai」だ。今年1月にインドに行く時、エアインディアの機内でこの作品を観ることができた。
「タイガー 伝説のスパイ」は、サルマン・カーン演じるインドの凄腕スパイ、タイガーが、任務の中でカトリーナ・カイフ演じるパキスタンの女性スパイ、ゾーヤーと出会って恋に落ち……という物語。僕も公開当時に観たのだが、いい意味でインド映画ならではの余裕と遊び心のあるスパイ・アクションという印象で、かなり楽しめた記憶がある。「Tiger Zinda Hai」は、その前作の8年後という設定。イラクでイスラーム武装組織によって病院に監禁されたインド人看護師グループを、米軍の空爆が実施される前に救出するため、世間から姿を消していたタイガーとゾーヤーが印パ混成の救出チームとともに現地に潜入する……というストーリーだった。
前作に比べると物語はほぼ完全な一本道で、とてもソリッドなスパイ・アクションに仕上がっている。サルマンやゾーヤーの立ち回りもさすがという感じで、アクション映画としては何の不満もない、スカッとする出来だ。ただ、インド映画らしさという点では、前作に比べるとストイックすぎて遊びの部分がなく、やや寂しい印象も残る。あと、タイガーとゾーヤーの強さが今回もチートすぎるので、もっと強力な敵役が出てきてもよかったのでは、という気もした。
ともあれ、興行的には2作品とも大成功だったそうなので、たぶんまた続編が作られるんじゃないかな、と思う。