日本でのインド映画の上映企画というと、これまでは10月に開催されるインディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン(IFFJ)が有名だったが、去年あたりから、9月にもインディアン・シネマ・ウィーク・ジャパン(ICW Japan)という企画が始まった。このICW、今年は上映本数も一気に増えて、なかなかの良作が揃っている。中でもインド映画クラスタが歓喜しているのは、「神が結び合わせた2人(Rab Ne Bana di Jodi)」。シャールク・カーンと、この作品でデビューしたアヌシュカー・シャルマーのラブコメだ。
アムリトサルで電力会社に勤める生真面目なスーリは、恩師の娘ターニーの結婚式に招かれた夜、そのターニーに一目惚れ。ところが、ターニーの婚約者は交通事故で急死し、恩師もショックで心臓発作を起こしてしまう。死に際の恩師の願いに従い、スーリはターニーと結婚するが、ターニーは「もう誰も愛さない」と心を閉ざしたまま。暇つぶしと気晴らしにダンス教室に通いはじめたターニーを見守るべく、スーリはラージというチャラけた男に扮して、ダンス教室に潜入する……。
七三分けにメガネと口ひげのいなたいスーリと、グラサンにピチTとデニムといういろいろやりすぎのラージ。この二役(というか同一人物だけど)を演じ分けるシャールクが、何だか本当に楽しそうで(笑)。無敵でも不死身でもないけれど、ただただターニーを思い続けるそのひたむきさには、観ていて胸にぐっとくるものがあった。一方、デビュー当時のアヌシュカーの初々しい美しさは、文字通り眩しいほど。ちょっとズレてる日本絡みのネタや、「Dhoom」などのパロディネタも結構仕込まれていて、笑いどころも多かった。
喜怒哀楽の感情をそれぞれめいっぱい振り切って、最後は「あー、よかった! 面白かった!」とすっきりした気分で席を立つ。そう、こういうインド映画を観たかったんだ。