「Hawaa Hawaai」

hawaahawaai先日のノルウェー取材の時に乗った飛行機では、なぜかインド映画のラインナップが充実していた。ミュージカルシーンがばっさりカットされた残念なものも多かったのだが、この「Hawaa Hawaai」はほぼノーカットだったようで、じっくり楽しむことができた。

一家の大黒柱だった父を亡くして貧しくなった家族を助けるため、ムンバイの街の駐車場にあるチャイ屋で働く少年、アルジュン。その駐車場は夜になると、お金持ちの子供たちが集まるインラインスケートの練習場になる。インラインスケートに憧れを募らせるアルジュンを見た仲間の貧しい少年たちは、スクラップ置き場で拾い集めた材料で、アルジュンのためにスケート靴を作ろうとする。そのスケート靴「ハワー・ハワーイ」が彼らにもたらしたものは‥‥。

日本でも公開された「スタンリーのお弁当箱」のアモール・グプテ監督の新作であるこの作品、主演を務めるのは前作と同様、監督の息子さんのパルソー君。あらすじだけを見れば、少年が才能と努力で困難を克服して高みを目指していくという、割とよくある設定だし、演出や俳優の演技も、あまりにもナチュラルだった前作に比べるといくぶんオーソドックスな印象だ。ただ、そこでよくあるオーソドックスな映画で終わらせないのがグプテ監督らしいところ。理不尽な貧富の格差の中で、学校にも行けずに過酷な労働を強いられている、今のインドに無数にいる子供たちの問題をきっちりあぶり出している。その点では、「スタンリーのお弁当箱」の延長線上にある作品なのだろうし、最後の最後がああいう終わり方だったのも、「この子たちにとって一番大事なのは、勝つか負けるかとかじゃなく、これなんじゃないの?」という監督のさりげないメッセージだったのかもしれない。

いきいきと瞳を輝かせる子供たちの演技は素晴らしいし、英語でなく日本語字幕で観たら、もっといろいろ腑に落ちる部分もあると思うので、日本でも公開されるといいなと思う。ぜひに。

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