午後、夕飯を作るのに足りない食材を買いに、近所のスーパーへ。会計を終えて外に出ようとしたら、空は真っ暗、いきなりのどしゃ降り。
いったん小止みになりかけたところで家まで帰りかけたが、途中でまた雨が激しくなった。小さな商店街のアーケードの下で、しばらくの間、雨やどり。雨はさらに強さを増し、アスファルトの表面を雨水が川のように流れ、しぶきがはじける。軒先に干しておいた洗濯物が心配になるが、この雨ではどうしようもない。
目の前の道路を、背中を丸めて自転車で猛スピードで突っ切っていく人や、すっかりあきらめきって、傘もささずにずぶぬれで歩いていく女子中学生二人や、いろんな人が行き来していく。僕の隣で同じように雨やどりしていた若い母子も、意を決したように小さな傘をさして雨の中に出て行った。
雨やどり。何もせず、ただ降りしきる雨を眺める時間。でも、これは無駄な時間だろうか。もしかすると、日々の中で忘れてしまいがちな、穏やかな気持を思い出すことのできる時間なのかもしれない。雨の匂いをかぎながら、ぼんやりとそんなことを思った。