Month: June 2013

「感じ」をつかむ

終日、部屋で仕事。一昨日の取材二件分の原稿を書く。

仕事で依頼された原稿を書く時、割と大事だなあと思うのは、「感じ」をつかむということ。依頼内容に相応しく、自分の感覚的にも違和感のない、「こんな感じで書く」の「感じ」。具体的には文体や言葉の選び方、句読点の打ち方など、いろんな要素が絡むのだろうけど、自分の場合はそういうのをひっくるめて「感じ」をつかむことがまず必要だと思っている。

書き手が「感じ」をつかめていれば、その文章には統一されたトーンが生まれるし、たいていの場合、読みやすく、引き込まれやすくなる。書き手が「感じ」をうまくつかめずに手探り状態で書いた文章は、トーンがバラバラで、読みにくくなってしまう場合が多いと思う。

その「感じ」をどうやってつかむのか、自分の中ではまだうまく整理できていないのだけれど‥‥。書く前に頭の中でぐるぐる考えて、「感じ」のイメージを作るしかないのかな。

新しい仕事

午後、高尾と八王子で取材。先日顔合わせした新しい依頼主からの最初の仕事。

新しい仕事で特に取材が絡む時は、要領をつかむまで、かなり慎重に行動するように心がけている。たとえば、ある人にインタビューする時、自分としては原稿を書くのに十分な数の質問をしたと思っていても、依頼主はまだ聞きたい質問が残っていたりすることが結構多い。最初のうちは、そういった細かい部分もいちいち確認してすり合わせながら、要領をつかんでいく必要がある。

昨日書いたエントリーにも通じることなのだが、最近は新しい依頼主も、従来からの依頼主も、割とこっちを信用してくれて、いろいろ任せてくれようとするケースが増えてきた。とてもありがたいのだけれど、それで勘違いして自惚れと過信から油断して、手痛いミスを犯したりしないように気をつけなければ、と思う。

今日はとりあえず、慣れないことだらけで、疲れた。ビール飲も。

過信という油断

午後、相模原で取材二件。どちらも先方が取材対応の準備をしてくださっていたので、やりやすかった。片道二時間近くかかる道程は疲れるけど、どうにかやり遂げる。

先日、タイ取材に加えてミャンマー取材の可能性を打診してきてくれた方から、具体的なスケジュール案が届く。これは‥‥かなりきつい。9月頭からほぼ一カ月半、行きっぱなし。最初からそれだけなら何とかなるが、今年はその前にインドくんだりに行っているので、全部引き受けると、体力的にかなり厳しくなる。あと、八月下旬には雑誌絡みの仕事が発生する可能性があるのだが、その作業に充てる時間もほとんどない。しばらく悩んだのだけれど、電話で先方とも相談した結果、今回はミャンマー取材はお断りして、タイ取材のみ引き受けることにした。

今回の仕事は、今までに引き受けたことのない調査取材だから、取材先と帰国後にどのくらいの労力と時間がかかるのか、読み切れない部分が多い。たぶん大丈夫だろう、と自分の力を過信して引き受けてしまうのは油断ではないかという思いも、どうしようかと迷っている時に頭をよぎった。まずは、確実に捌けるであろう範囲で請け負うのが、結局はお互いのためにもなる。守備範囲を広げるのは、要領をきっちりつかめてからでいい。

まあでも、行けるものなら、全部行きたかったけど(笑)。

「実行力」の正体

今までに何人かの知人から、「ヤマタカさんは実行力があるよね」という意味のことを言ってもらった経験がある。

自分にそんな力があるのかどうか、僕にはよくわからない。フリーランスの身空でどうにか何冊かの本を出して、かつかつで生計を立てていることが、そんな力の証明になるとは思えない。そもそも、「実行力」というものの正体が何なのかも、僕にはよくわかっていない。

ただ思うのは、「実行力」とは自分自身の才気のみで道を切り拓く力ではない気がする。少なくとも僕の場合、ある一冊の本を作ろうとする時は、自分にできることにはとことん取り組むけれど、その何倍もの力を周囲の他の人たちから借りているし、そうしなければ本など到底作れないことを自覚している。その意味で考えると「実行力」とは、「人に後押ししてもらえる力」のことなのかもしれないと思う。

では、どうすれば、人から後押ししてもらえるようになるのだろう?

‥‥わからない。さっぱりわからない(苦笑)。でも、自分のこれまでをふりかえってみると、「力を貸してほしい」と頼む時、僕自身がどれだけの思いをその一冊に賭けているかという覚悟を、ただありのままに示してきたと思う。口八丁手八丁の交渉ごとは得意でも好きでもないし。

覚悟を示し、助力を仰ぎ、時に迷いながらも信念を持って前へ進む。それが「実行力」の正体なのかもしれない。僕も楽な方に逃げるのではなく、そういう勇気を常に持てるようになりたいと思う。

ゲリラ豪雨

昼、打ち合わせのため、築地へ。

家を出て、三鷹駅まで15分ほどの道程を歩いていると、北西の方角からみるみるうちに空が暗くなり、風が湿り気を帯びてきた。あ、やばいかも、と感じて、最後は小走りで駅舎に駆け込む。改札を通ってプラットホームに出ると、ものすごいどしゃぶり。これじゃ傘があっても何の役にも立たないだろう。危なかった‥‥。

しかし、問題は打ち合わせ場所の築地に着いてからだ。そっちでもこんなどしゃぶりなら、小さな折り畳み傘で突っ切らなければならない。電車に乗り、iPhoneでアメッシュを見ると、「猛烈な雨」を示す真っ赤な帯が東京上空を東へと動いている。打ち合わせ時刻もあるから、止むまで雨やどりというわけにもいかないし‥‥。

半ば観念して、築地駅から地上に出ると、意外なことに、雨はほとんど降っていなかった。ほんとに局地的なゲリラ豪雨だったようだ。しかし最近、変な天気が続いてるなあ。