ひと声かける

朝、偵察がてら、近所の大型スーパーへ。

開店間もない時間なのに、すごい人の数。野菜は普通にあるが、保存食になりそうなものは軒並み売り切れ。その一方で、冷凍食品はたくさん残っている。みんな、計画停電にかなりナーバスになっているのだろう。この季節なら、停電中に冷蔵庫を開け閉めさえしなければ、そんなに食品へのダメージはないのだが。キャベツ半分とブロッコリー、牛乳などを調達。

たくさんあるレジの前には、どこも長い行列ができていた。店内アナウンスは、交通網の混乱の影響で通常の六割の数のスタッフしかいない、と申し訳なさそうに告げていた。僕が並んでいる列のレジでは、併設のベーカリーショップから来た若い男性スタッフが、本業ではないレジ業務を必死になってこなしていた。僕の後ろのおばちゃん二人は、「変なレジに並んじゃったわねえ」と、心ないことをしゃべっていたけど‥‥。

僕の会計の順番が来て、ベーカリーショップの男性がおつりを渡そうとした時、僕は「がんばって!」と声をかけた。すると、憔悴していた彼の表情がパッと輝いて、「ありがとうございます!」と答えてくれた。

たったひとことのやりとり。でも、そういう些細なことでも、僕たちは気持を分け合える。

スーパーにかぎらず、飲食店や商店でも、交通網やライフラインの混乱に翻弄されながら、お客さんに笑顔を見せてくれている人がたくさんいる。そういう人たちに、僕たちからも「がんばって!」とひと声かけるようにしたら、きっとがんばれるのではないかと思う。お互いに。

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