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それは当たり前ではなく

先週末、母が上京してきた。新宿のホテルに宿を取ったというので、実家のある岡山にはなかなかないというタイ料理店で、一緒に晩飯を食べた。

タイ料理店から喫茶店に場所を移そうということになり、街を歩いていると、「紀伊國屋書店を見てみたい」と言われた。地下一階の旅行書コーナーでは、三月末に出たばかりの僕の本が10冊ほど面陳して置かれていた。

「こんな風に置かれてるの、見たことなかったわ」と母が言った。まあ東京だから……と言いかけて、それは当たり前のことではない、と思い直した。本がこの世に生み出されて、書店の店頭に並べられ、お客さんが手に取って、レジに持っていく。それが、どれだけ大変なことか。どれだけ多くの人の力を借りなければならないか。

本を作り、読者に届ける。この仕事の重さを、あらためて感じた。

大型連休とやら

気がつくと、五月の大型連休とやらが、すっかり終わってしまっていた。

連休の間、僕はずっと東京にいて、ほぼずっと原稿を書いていた。直前の週に合計8件の取材が入り、連休の谷間にさらに3件取材が入った。いつもより〆切を伸ばしてもらっているとはいえ、書きまくらなくては到底追いつかない。世の中が休みの日は余計なメールや電話で邪魔されないというのが、唯一の救いだった。それでも前半にシャカリキに書きまくったおかげで、後半は少しだけ余裕ができて、街に出てひさしぶりにアウトドアウェアの買い物をしたり、スコティッシュパブでビールやウイスキーを飲んだりもできたが。

でもまあ、個人的には、連休が原稿でほぼ全部すっ飛んだことよりも、いつのまにか2018年がもう三分の一も終わってしまっていたという事実の方が、衝撃的だったりする。まじか……(汗)。今年は特に直近の三カ月が、本の編集作業と発売に際してのあれこれと大学案件の繁忙期とで、めちゃくちゃに忙しかった。しかし、今年は来月の方が、別の意味でさらに大変だったりする。どうなっちゃうんだろ、俺の2018年。

本は人を繋ぐ

昨日は、昼の間に書店回りをし、午後は板橋方面で取材。その後、夕方から渋谷にある旅行会社さんの事務所で、打ち合わせという名の飲み会。餃子の達人と厚焼き卵の達人がいらしたおかげで、うまい料理とうまい酒を、たらふくごちそうになってしまった。参加してくださったみなさんもとても楽しそうで、何よりだった。

しかし昨日の集まりは、何だか、とても不思議な気分にさせられた。もし、僕が過去に作ってきた何冊かの本の仕事がなければ、あの場所にいた人たちは、互いに出会う接点もまったくないまま、今に至っていたかもしれないのだ。

自分が引き合わせたなどと傲慢なことを言うつもりは毛頭ない。ただ、その時その時の自分のベストを尽くして良い本を作ろう、ともがき続け、ささやかながら世に送り出してきた本たちが、結果的にある種のかすがいとなって、今もいろんな人たちを繋いでくれているのかもしれない、とは思う。

本は、人と人とを繋いでくれる。

エアポケット

毎年、この時期は大学案件の取材の繁忙期なのだが、先週末からずっと家にいられる状態が続いていて、ちょっとほっとしている。

というのも、今週から来週にかけて、結構な本数の取材が固め打ちで入りそうという打診が依頼元の会社からあって、どの日に取材が入っても対応できるように依頼元が僕のスケジュールをまるっとキープしたのだが、それらの予定がズレにズレて、今週入ったのは金曜日の1件のみ。他の大学の取材は別のライターさんたちに割り振られていたので、まるっとキープされていた僕だけ、まるっとヒマになってしまったという次第(苦笑)。

まあ、こんなエアポケットのような時間をもらえたのも、ラッキーといえばラッキーかもしれない。というのも、来月上旬から掲載予定のWeb連載の原稿が、まだ全然できてなかったから(汗)。なので、家にはずっといるものの、結局あくせくと働いている。むしろだいぶ忙しい。

で、今週から入る予定だった固め打ちの取材がどうなったかというと、連休の始まる直前と、連休の中日に、ごっそり入ってしまった。やれやれ。今年の僕の連休は、もう終了してしまったらしい(苦笑)。

効かない無理

週明けからの3日間、やたら忙しかった。月曜は新刊の件で都内の書店へのご挨拶回り。火曜と水曜は大学案件の取材。特に昨日は、早朝から群馬まで出かけて、1人につき1時間、休憩なしで3人連続でインタビューするという苦行のような取材。帰りの新幹線に乗る頃には気分が悪くなってしまった。

何だかんだで、40代後半のおっさんである。20代や30代の頃みたいな無理は効かない。そもそも、そこまでの無理を自分に強いる理由があるのか、というのもある。金を稼げるなら何でもかんでも引き受けるというのではなく、限られた知恵と体力を、自分が本来やりたいこと、誰かに少しでも貢献できることに、より分厚く振り分けていくべきなのかな、と。

とりあえず、効かない無理をしすぎると、身体がもたないので、ちょっと慎重にならねば。

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芦澤一洋「アーバン・アウトドア・ライフ」読了。前に読んだ「遊歩大全」の訳者の方の著作ということで読んでみた。良書だと思うが、どうも僕は、ある種の「マガハっぽさ」がやや苦手なのかもしれない。