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東京とデリーの暑さの違い

ひさしぶりに東京に戻ってきて驚いたのは、今年の夏の暑さ。今日は最高気温は37℃にまで達したらしい。同じ今の時期のデリーの最高気温より、3、4℃は高い。それでも今の時期の東京とデリー、どっちが過ごしやすいかと訊かれたら、やっぱり東京の方がましかも、と答えると思う。

暑さだけでなく、湿気の多さという点でも、東京とデリーはどっこいどっこいだと思う。ただ、東京が比較的単純な蒸し暑さなのに対して、デリーの蒸し暑さは、何というか……澱んでいる。ざらざらした土埃とか、まともに濾過されてない排気ガスとか、けたたましいクラクションとか、ぶつかりそうになりながら(そして時々ぶつかりながら)行き来する車やオートリクシャーとか。空はビニールハウスのように薄い雲の層でぴっちり覆われていて、ぎらつく日差しが容赦なく降り注ぐ。クーラーの効いてる店は数えるほどだし、停電は日常茶飯事。暑さから逃れられる場所は、とても少ない。

だから僕は、夏の東京とデリー、どっちかましかと訊かれたら、東京と答えると思う。どっちが面白いかと訊かれたら……まあ、わからないけど。

旅の中で読んだ本

昨日の午後、予定通りに帰国した。長い待ち時間と移動時間でほとほと疲れたが、一晩ぐっすり寝て、今日はすっかり回復。毎度のことながら、時差ボケに悩まされない体質に生まれてよかったなあと思う。

この夏の旅で経験した出来事については、気が向いたらそのうち書くとして、とりあえず、今回持って行った2冊の本についての簡単な感想を。

1冊は、ジュンパ・ラヒリの短編集「停電の夜に」。彼女の本で最初に読んだのは「低地」だったのだが、その繊細な描写力と緻密な構成、圧倒的な完成度に、ほとんど打ちのめされたといっていいほどの衝撃を受けた。「停電の夜に」は彼女のデビュー作なのだが、これでいきなりピューリッツァー賞を受賞している。今回の旅の途中、デリーからサンフランシスコに向かう機内には、米国で暮らしているらしいインド人が大勢乗っていたのだが、米国育ちのインド人である彼女の創作のルーツは、こういう人たちと共通する部分にあるのだろうな、と思った。

もう1冊は、ブルース・チャトウィンの「パタゴニア」。実は、彼の代表作「ソングライン」を僕はまだ読んでいないのだが(ハードカバーは分厚くて重いので、文庫化されたらそれを旅先に持って行こうとずっと思っていたのだが、なかなか文庫化されないまま、幾星霜……)、巻末の解説で池澤夏樹さんが書かれていた、「ソングライン」が優等生の弟なら、「パタゴニア」はわんぱくな兄という形容は、個人的にものすごくしっくりくる。パタゴニアにまつわる大小の逸話を無数にちりばめた、天衣無縫なスタイルの旅行記。こういうやり方もあるのか、と個人的にすごく参考になった。

どちらも、とても良い本だった。おすすめ。

そしてまた旅へ

明日からの旅に備えて、荷造りの仕上げ。撮影機材をカメラザックに詰め、携行品リストと突き合わせて最終確認。やっぱり尋常じゃない重さになってしまったが(苦笑)、まあ仕方ない。ラダックに着くまでの辛抱だ。

こうして旅に出る準備をするのも、もう思い出せないくらいの回数になるけども、いつまでたっても慣れないというか、大事なものをうっかり忘れてしまってないか、といつも思ってしまう。まあ、大事な仕事絡みの旅だし、万が一にもミスを犯してはならないから、このくらい心配性でいる方がいいのかもしれない。

次に東京に戻ってくるのは、8月23日。それまでこのブログの更新もお休みします。では。

のしかかる重荷

出発が来週明けに迫ってきたので、旅の荷造りをぼちぼち始める。

今回は7月から8月上旬までラダック、8月中旬から下旬にかけてアラスカという、我ながらよーやるわというレベルの長丁場の旅で、気候もかなり違う。アラスカは8月でも時に雪が積もるほど寒くなるし、目的地には北極圏も含まれるからだ。キャンプ道具は今回不要とはいえ、両方の土地に対応するための装備は、いつも以上に膨れ上がる。

手持ちのバッグの中で一番大きなグレゴリーのスタッシュダッフル95リットルでも、荷物を一通り詰めてみると、ほぼぎっしりになってしまった。今の日本で防寒着は身につけられないので全部バッグに詰めているからというのもあるが、それでもここまで膨れ上がるとは。しかも、異様に重い。担いでみると、今までの旅の荷物でも経験のないレベルの重さだ。これは……。

わかった。本だ。見本誌だ。

ラダックでの取材でお世話になった方々に配るための「ラダック ザンスカール スピティ[増補改訂版]」が、梱包された状態で、12冊。そりゃ重くなるわ(苦笑)。試しに本の包みを取り出してバッグを担ぎ直してみたら、割と普通に担げるレベル。ラダックに着いてこの本たちを配り終えれば、その後は何とかなりそうだ。

……ラダックに着くまでに、腰が抜けなきゃいいけど……なぜなら、このダッフル以外に、望遠レンズの詰まったカメラザックもあるので……(汗)。

「経 Kei」2018年7月号「未来へと託される、匠の技」


ダイヤモンド社の無料月刊PR誌「経 Kei」2018年7月号の連載コーナー「地球の街角へ」に、ラダックのチリン村についてのエッセイ「未来へと託される、匠の技」を寄稿しました。拙著「ラダック ザンスカール スピティ[増補改訂版]」の52〜53ページに掲載している写真の、バックグラウンドストーリーとなる文章です。

経 Kei」2018年7月号は、7月10日頃から全国の主要書店で無料配布されます。全国の主な図書館でも閲覧できます。よかったらご一読いただけると嬉しいです。よろしくお願いします。