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「LADAKH LADAKH」


鮫島亜希子さん、角田明子さん、中田浩資さん、関健作さん、三井昌志さん、松尾純さん。6人の気鋭の写真家の方々がラダックで撮影した写真を収録した写真集「LADAKH LADAKH」がまもなく発売になります。僕はこの本で企画と編集作業を担当しました。

この本は一般の書店にはほぼ流通せず、発売元のGNHトラベル&サービスのWebサイト経由での販売と、4月20日(土)に東京、5月18日(土)に大阪で予定されている6人の写真家全員が登壇するトークイベントの会場と、5月30日(木)から6月10日(月)まで東京・吉祥寺で開催される写真展会場などでの販売に限られます。少部数限定の本なので、ご興味のある方はお早めに。

僕が言うのも何ですが、良い出来の本だと思います。よろしくお願いします。

「Qarib Qarib Singlle」

この間、デリーから成田までのエアインディア(14時間ディレイ)の機内で観たインド映画、1本目は「Qarib Qarib Singlle」。名優イルファン・カーンと、日本でも公開されたマラヤーラム語映画「チャーリー」でヒロインを演じたパールヴァティが主演するロードムービー。パールヴァティは35歳の未亡人ジャヤ、イルファンは謎の詩人(笑)ヨギ。どちらもキャラが立っていて、らしい演技をしていたとは思う。

ただ、そもそもの事の成り行きというか物語の設定に、少々無理がある。出会い系サイトで知り合った後、ヨギが昔付き合っていた女性たちを訪ね歩く旅に、ジャヤはついていくことになる、という。ヨギが飛行機に乗り遅れたり、反対方向の列車に乗ったり、ジャヤの着替え中に部屋に入ってしまったりというロードムービーのお約束的なドタバタ展開が織り交ぜられてはいるが、この旅のそもそもの成り行きが無理筋っぽいため、せっかくの二人の個性的な演技が、もったいない感じになってしまっていた。リシケーシュやシッキムなど、インドのロードムービーとしては割と面白い場所を巡っていただけに、なおさら。

ただ、ラストシーンは、個人的にとても好きな雰囲気で、それでかなり取り戻した感があった。ロープウェイ。僕は映画でロープウェイが出てくる場面が好きだ。事故か何かで宙づりになったりするのは別として(笑)。

脇腹が寒い

インドに2カ月行っている間に、体重が約4キロ減った。

今回の旅、特に前半は極寒の冬のラダックでの滞在だし、体力的にかなりきついことをくりかえす日々が続くのも以前からわかっていた。なので、2年くらい前から時間をかけて、いったん体重を減らしてから自重筋トレで筋肉の増量を図るという身体づくりをしてきた。そのトレーニング自体は、割とうまくいったと思う。現地でも重い撮影機材を背負いながら深い雪の中を歩き続けることができたし、長時間歩き続けても体幹がへばってきつくなったりせず、以前傷めたことのある両膝もまったく大丈夫だった。

ただ、いかんせん、冬のラダックは寒い。1日の最高気温は氷点下、最低気温はマイナス15〜20℃という世界。外界とを結ぶ陸路が雪で塞がっているので、日々の食べ物の選択肢も限られる。食事では、肉や野菜、そして寒さをしのいで身体の筋肉も維持するだけのカロリー自体が足りなかった。きつい取材を毎日くりかえすうち、内臓脂肪も皮下脂肪もすっかり落ち、両方のあばら骨の下はごそっとえぐれてしまった。寒い場所に行くと、両脇腹がぞくぞく冷えて、落ち着かない。やせると脇腹が寒くなるのだということを僕は学んだ(苦笑)。

日本に戻ってきてからは、朝昼晩と規則正しく、そして意識的に多めに食事を摂るようにしている。まずはカロリー。そしてタンパク質。自宅での自重筋トレも再開しているが、自分でも笑ってしまうくらい、筋力が落ちている。身体の各関節はしっかり動かせるものの、筋肉が細まってしまっていて、去年までのようなパワーや持久力が出せない。また、じっくり、じわじわ、怪我をしないように身体を作り直していくしかないのだろうな、と思う。

すったもんだの旅

昨日、2カ月ぶりにインドから日本に戻ってきた。

今回のインド滞在は、いつにも増して、いろいろ大変だった。前半の1カ月は、あらかじめ計画していた通りに事が運び(まあ、必要以上にエクストリームな日々ではあったけれど)、取材も順調に進み、自分なりに大切なテーマを見つけることができた。ところが、後半の1カ月は……撮影する予定だった行事が今年に限って1カ月ほど順延されたりしたのはまだいいとして、カシミールで起こったイスラーム過激派によるテロと、それをきっかけに勃発したインドとパキスタンの間の軍事衝突のせいで、すべての計画が狂ってしまった。まさか、何十年かぶりに互いの戦闘機が停戦ラインを越境して、空中戦をやらかし、その影響でインド北部にある空港が一時閉鎖されるとは、いったい誰が想像できただろう。

おかげで僕は、旅の後半で乗り継ぐ予定だったインド国内線の手配をキャンセルし、街から街へと、1回の移動で片道9、10時間もバスに乗らなければならなくなった。取材の忙しさだけでなく、そういう行程ですっかり体力を削られてしまった気がする。アムリトサルでは急に熱が出て具合が悪くなったりと、後半戦はあらゆることがうまくいかなかった。

最後の最後に、10日の夜にデリーを発つ予定だった帰国便のエアインディアが、搭乗1時間前になって急に14時間もディレイ。成田に到着したのは昨日の夜9時半。リムジンバスの運行も終わっていたので、厳寒期装備の詰まった重い荷物を担いで電車を乗り継ぎ、西荻窪の自宅に辿り着いたのは、日付が変わる1分前だった。

まあ、いろんな面でツキに見放されていたとはいえ、大きな怪我もせず、お金も何も無くしたりもせず、普通に日本に戻ってこれたというだけでも、少しはツキが残っていたのかもしれない。それにしても、絵に描いたようなすったもんだの旅だった。

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今回の旅の最中に読んだ「羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季」、ものすごく面白かった。湖水地方で何世代にもわたって羊を飼って生計を立てている人々の暮らしぶりが、細やかな描写で活き活きと描かれている。自身も羊飼いである著者のこの処女作が、国内外で異例のベストセラーになったのも頷ける内容。人と自然との関わりや人生の持つ意味について、いろいろ考えさせられる。

布団の中から

真冬の朝は、目が覚めても、温かい布団の中から出るのが億劫だ。出発前日の今、僕はちょうどそんな気分でいる。

西荻窪に引っ越してきて、半年。街ではまだまだ未開拓の店も多いけれど、だいぶ土地勘もつかめてきた。新しい部屋での暮らしにも、いつのまにか、すっかり慣れた。細かいところを少しずつ整理したり、収納の仕方を変えたりして、だいぶ住みやすくなってきたと思う。居心地のいい部屋。ラジオからの音楽。自分でいれるコーヒー。相方と食べる夕食。何もかもが申し分なく、何の不満もない。

明日からはたぶん1カ月以上、風呂はもちろんお湯シャワーもまともに浴びることはできないだろうし、電気が使えるのも1日数時間だろうし、ネットもろくにつながらないだろう。緑の野菜とも当分オサラバだ。なんでわざわざ、僕は自ら好き好んで、そんな苦労をしにいくのだろう。温かい布団から出るのが嫌なように、ほんとに億劫だ。

でも、行かなければ。想像しただけで両手のひらがチリチリとしびれてくるような冒険の日々が、僕を待っている。良い写真を撮りたい。良い文章を書きたい。ただただ、そのために。

明日からしばらく、ブログの更新をお休みします。帰国は3月11日頃の予定です。では。