Tag: Music

「Fanney Khan」

デリーから成田までのエアインディアの機内で観た2本目の映画は「Fanney Khan」。アニル・カプール主演、アイシュワリヤー・ラーイ、ラージクマール・ラーオという楽しみな配役。

かつて「ファンニー・カーン」という歌手としてステージに立っていたプラシャント。今は歌手の道をあきらめ、年下の同僚アーディルとともに町工場で働いている。娘のラタも歌手を目指しているが、ふくよかな体つきが邪魔をして、なかなか世間に認めてもらえない。プラシャントは何とか金を工面して、ラタのデビュー・アルバムの制作費に充てようと考えているが、オーナーが夜逃げした町工場は閉鎖され、職を失った彼は昔の友人のつてを頼って、タクシーの運転手に身をやつす。そんなプラシャントの目の前にある日突然現れた、女性トップアイドル歌手、ベイビー・シン。彼はたまたま持ち合わせていた睡眠薬を使って彼女を誘拐し、ラタが歌手デビューするための交渉材料にしようとするが……。

「娘を歌手デビューさせるためにトップアイドル歌手を誘拐する」という設定がこの作品の特徴であり売りでもあるのだが、まあ普通、誰がどう考えても無理筋なわけで(苦笑)、リアリティはまったくといっていいほど感じられない。でも、そのあたりのことに目をつぶって、スラップスティックで人情味もあるコメディとして観てみると、個人的には実は結構楽しめた。音楽も悪くなかったし。それでもまあ、特にクライマックスの方では、さすがにそれはないやろ、というツッコミどころがありまくりだったけど。

こんな映画があっても、まあいいか、と鷹揚な気分になれる作品だった。

個人的リバイバル

先月「ボヘミアン・ラプソディ」を観た後にアマゾンで発注したクイーンのベストアルバムが、約1カ月遅れでようやく届いた。で、ここ数日、聴いてるのはこればっかり。家のステレオでも、外出時のiPhoneでも、ひたすらクイーンをヘビロテ中である。一日中、ドント・ストップ・ミー・ナウ〜♪ てな感じで(笑)

昔は好きだったけどその後しばらく遠ざかっていたものが、ふとしたきっかけで興味が甦って再びハマる、という個人的なリバイバルブームみたいな現象が僕には時々起こる。今回のクイーンもそうだし、以前はジョン・コルトレーンとか、レッド・ツェッペリンとかの個人的リバイバルが再来したことがあった。本だと、最近まとめて読み返していたサリンジャーとか。

そういう個人的リバイバルを引き起こすものに共通しているのは、時を経ても変わることのない本質的な良さのようなものを内包しているということだろうか。変わらない価値を持つものを、自分も作りたいなあ、と思う。

自分は何者なのかは、自分で決める

昨日の午後、新宿で「ボヘミアン・ラプソディ」を観た。史上最高のロック・バンドの一つであるクイーンと、そのリード・ヴォーカル、フレディ・マーキュリーの生涯について描かれた映画。最初から最後まで、文字通り、シビれるような展開だった。彼らがどんなバンドで、どんな軌跡を辿ってきたのか、ある程度知っていたつもりだったけど、そのクリエイティビティと情熱、そしてフレディの孤独の闇の深さに、あらためていろいろ考えさせられた。

物語の終盤、ある決意を固めたフレディが、バンドのメンバーたちに向かって、こう言い放つ場面がある。

「I decide who I am.(自分が何者なのかは、自分で決める)」

ああ、そうだよな、と思う。

世の中の人々の多くは、自分がまだ何者でもないことに思い悩む時期がある、と思う。僕自身、二十代の頃はそうだった。物書きになりたくても認めてもらえず、編集者になりたくても望む仕事をもらえず……。でも、「自分はこの仕事をやるんだ」と腹をくくって、しがみつき、もがきながら、少しずつ、少しずつ、積み重ねていって……ふと顔を上げて、ふりかえると、僕は、うっすらと、おぼろげながらも、何者かになっていた。物書きとしても、編集者としても、写真家としても、まだまだはしくれ程度の存在でしかないけれど。

自分が何者であるのかは、他人に決めてもらうことではない。かといって、自分で名札を書いて胸に貼り付ければ、なりたい自分になれるわけでもない。世間的な肩書きや社会的地位には、本当の意味での価値は何もない。自分自身で選んだ目標に、挑み続け、やり遂げることでしか、何者かになれる道はない。

生き方を、自分で選び取る。自分が何者なのかは、自分で決めるのだ。

脳をとっぷり浸す日

昨日は昼から、渋谷へ。まず、Bunkamura ザ・ミュージアムで一昨日から始まったソール・ライター展に行く。一年半ほど前に彼についての映画を観て以来、この写真展も心待ちにしていたのだが、期待に違わぬ、素晴らしい内容だった。実際にじっくりと拝見させてもらった彼の作品群についての感想は、また別の折にでも書こうと思う。

夕方からは、同じくBunkamuraのオーチャード・ホールで開催された、畠山美由紀さんのデビュー15周年記念ライブ。6名のゲストが入れ替わりながら登場するという、本当に贅沢な内容。圧倒的な演奏と、台本通りにいかないMCがたまらない(笑)。歌と音楽に対する愛情が、ぎゅうっと詰まった3時間だった。

丸一日、眼から、耳から、良質なインプットを注ぎ込んで、滋養の海に脳をとっぷり浸すことができた。こういう日は、時折必要だなあ、と思う。

夏がひたひたと

昼、歩いて吉祥寺へ。キチレコソニック2017の会場で、たかしまてつをさんたちのバンド、東京ハイボールズのミニライブを拝聴。楽しかった〜。会場にいた人たち全員が、本当に楽しそうだった。

連休に入って、みんな帰省したり遠出したりしてるのかと思いきや、吉祥寺の街は思いのほか、人が多くて、どこの店も大混雑。週明けの月火の平日、暦通りに仕事があって、この週末は普通に都内で過ごしてる人が多いのかもしれない。

運良く入って座れた武蔵野珈琲店で、今季初のアイスコーヒーをすすっていると、窓の外で、いきなりのどしゃぶり。で、すぐに何事もなかったかのように止んだ。ついこの間、やっと春になったかと思ったら、もう夏がひたひたと近づいているようだ。