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南の国のマッサージ

毎度のことながら、タイでの取材は、身体的にかなりきつい。

約四週間の間、休みはほぼない。移動のない日でも朝7時、移動日は朝5時半か6時には起きなければならない。日中、移動時間以外はほぼずっと取材で、歩き回ってるか、レンタサイクルに乗ってるか。2万5000歩も歩いた日もあった。乾季とはいえ、南の方では、昼の気温は35℃に達する。

そんな毎日だったので、疲労もどんどん蓄積する。朝起きると、背中に鉄板が入ってるような重だるさを感じたし、両足の付け根はごりごりに凝って、あぐらをかいても突っ張るくらい。休んで回復させようにも休めない(苦笑)。本当に、日々体力勝負だった。

でも、帰国した今は、思いのほか元気だ。これはひとえに、帰国直前に時間を見つけて受けた、タイ古式マッサージのおかげといっていい。

僕がマッサージを受けたのは、バンコクの中心部からちょっと東の方にある、オンヌットというBTSの駅の近くにある、バーン・サバーイ・マッサージという店。その一帯には良心的な料金のマッサージ店が何軒も集まっていて、僕が受けたタイ古式マッサージも1時間で250バーツ(加えてチップが50バーツくらい)と格安だった。

今回は特に、マッサージをしてくれたお兄さんの技術が抜群だった。こちらが痛みを感じるかもしれないラインの1ミリ手前で止めてくれているかのような、絶妙の力加減。両脚の内転筋や大臀筋、腰から背中、両肩にかけて、老廃物を押し流しつつ筋肉を綺麗にほぐしてくれて、素晴らしい爽快感だった。店を出た後、背中に羽が生えて、ふわふわ宙に浮かんでるかのように身体が軽かった。

あのお店というか、あのマッサージ師のお兄さんが東京にいたら、毎週でも通うのに……。バンコクでタイ古式マッサージを体験してみたい人、おすすめです。

目指せ、動ける身体


ひさしぶりの山歩き。このブログを遡ってみたら、前回は去年の10月だったから、一年以上ぶりか。歩いたコースは毎度おなじみ、陣馬山から高尾山までの縦走ルート。空は雲一つない快晴で、陣馬山の山頂からは、富士山がくっきりと見えた。

去年このコースを歩いた時は、四十肩によるブランクやら何やらで身体がかなりなまっていて、歩いていても割ときつかったのだが、今日はそんなにきつくもなく、のんびりした気分で歩けた。八月下旬までインド北部に滞在してた分の高地順応効果がまだ少し残っていたと思うし、四十肩完治後に復活させた自重筋トレで、各部の筋力がだいぶ戻ってきているのもその要因だと思う。

とはいえ、小刻みなアップダウンの尾根道を何時間か歩いていると、筋トレだけでは鍛えることができていなかった足腰の細かい筋肉、たとえば足の裏とか、そういう部分に疲労がじわじわ溜まっていくのはわかった。こればっかりは、普段の生活の中での筋トレだけではどうにもならないので、もう少し山歩きの頻度を上げるとかしなければ、と思う。動ける身体を維持するのも、いろいろ大変だ。特に体力下り坂のおっさんにとっては。

目標は、海外取材でカメラザック担いで走り回っても、へこたれない身体を維持すること。地道にやっていこう。

ブースター接種

先週の土曜、3回目の新型コロナワクチン接種を受けてきた。いわゆるブースター接種というやつである。

去年受けた1回目と2回目の接種がいずれもモデルナだったこともあり、今回もモデルナで。そのせいか、予約はあっさり取れた。副反応で発熱する可能性を見越して、接種から6カ月経過した後の最初の土曜日を選んだ。

接種してから12時間ほどは特に何の変化もなく、普通に家で原稿を書いたりもできた。寝る前になって微熱が出てきたので、解熱剤を飲んで就寝。10時間ほど寝て起きた後、熱はいったん引いていたが、しばらくするとまた上がってきた。頭は微妙にぼんやりして、身体も火照っている感じ。体内で何かしらの戦いが繰り広げられているのだなあと想像を巡らす。日曜の午後は、昼寝をしたり、ソファでごろごろしたりして過ごした。注射を打った肩は、意外なことにまったく腫れず、痛みもほとんどない。

日曜の夜中、また少し熱が上がってきたので、念のため解熱剤をもう一度飲んで、就寝。で、今朝はすっかり熱も引いて、頭も身体もしゃんとした感じに戻った。今日は午後にリモート取材の仕事が入っていたので、間に合ってよかった。

東京は感染者数がまたじわじわ増えてきているので、とりあえず速やかに3回打ち終わることができて、ほっとしている。引き続き用心して、サバイブしていこう。

半歩ずつでも

フリーランスの身ではあるが、今日から一応、仕事始め。いつものように、朝から吉祥寺のコワーキングスペースに籠って、本の原稿を書く。

巷では、コロナ禍が再燃しつつあるようで、新規感染者数も倍々のペースで増えつつあるようだ。そう遠くないうちに、また、いろいろ面倒な雰囲気の世の中に戻るのだろう。そう考えると、気が滅入ってきそうなものだが、僕自身は、割と普通というか、まあ、ある程度予想された状況でもあるし、しゃーない、という感じで構えている。

そうしていられるのは、いくつか理由があると思う。家では、真面目な話からたわいもない話まで、家族にいつでも、何でも話せるということ。仕事では、一昨年から昨年、そして今年と、何だかんだでずっと本を書き続けられているということ。そうして作った本を読んでくださった読者の方々から、日々いろいろな感想を寄せていただいているのも、本当に支えになる。

僕の本づくりのペースは本当にゆっくりだし、一歩々々進んでいるかどうかも怪しいけれど、たとえほんの半歩ずつでも、目指す方向に進んでいけたらと思う。周囲の人々を支えたり、逆に支えられたりしながら。

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池亀彩『インド残酷物語 世界一たくましい民』読了。主に帰省中の新幹線の車内で読んだのだが、興味深い内容だった。今まで何度となくインドに行った経験のある自分でさえ、知っているようであやふやなままだった、インドという国の複雑怪奇な社会構造と、そこから生じる問題や軋轢の数々が、著者に身近な人々の実例を交えて、リアルに、かつわかりやすく紹介されている。数千年前からの執拗なしがらみに囚われ続けている人々が、それでも生き抜くために身につけた、しぶとさ、しなやかさ、したたかさ。普段からインドに関わりのある人や、まだ関わりはないけど興味を持っている人には、読んでほしい一冊。

忘却の眼鏡

おっさんになるにつれ、年々、もの忘れがひどくなってきている。「絶対忘れないようにしよう」と心に留めたつもりのTO DOを、5秒後にはすっかり忘れ去って、思い出すこともできなくなっていたりして。

この間、去年買った眼鏡のフィッティングを調整してもらおうと思い立って、前日の夜に、携帯用の眼鏡ケースを物入れから取り出して、メガネをまとめて保管しているボックスのふたの上に置いておいた。翌朝、その携帯用ケースにフィッティングに出す眼鏡を入れていこうと思って。

で、次の日、その携帯用ケースをリュックに入れ、コワーキングスペースでの執筆作業に向かい、仕事を終えて家に戻る前、眼鏡屋さんに寄って、「フィッティングの調整をお願いします」と言いながらケースを出して、ふたを開けたら……。

何も入ってなかった。肝心の、フィッティングに出す眼鏡を、ケースに入れ忘れていたのだ。

笑いを噛み殺している店員さんに頭を下げて、そそくさを店を後にした。あんなにとんでもない赤っ恥をかいたの、ひさしぶりだった。

いやー。やばいよ本当に。ひどい。今でも恥ずかしいわ。