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風の冷たさ

この冬、外を出歩く時にはほぼ必ず、ニットキャップをかぶっていた。寒い場所にいる時、外に逃げていく体温のうち約4割は頭からだと言われている。実際、いったん慣れてしまうと、ニットキャップなしで外に出たら、頭がスースー感じてどうにも落ち着かなくなってしまった。

先日の冬のアラスカへの旅にも、もちろん持って行った。だいぶ昔に買って以来愛用している、モンベルのシンプルなフリースのキャップ。今までこれで不自由を感じたことは一度もなかったのだが、今回は違った。完全に役不足だった。

原因は、風だ。冬のアラスカを吹く風は、とてつもなく冷たい。外気温がマイナス15℃程度でも、風がなければ、普通に厚着した程度でもどうにか耐えられる。でも風が吹くと、ほんの数分もじっとしていられないほど寒く感じる。正直、身体に危険を感じるほどの冷たさなのだ。今回のフリースキャップには、そんなアラスカの風を遮れるほどの遮風性はなかったので、帽子の上から上着のフードをかぶらなければならなかった。

今度行く時は、ウインドストッパー素材で覆われた、がっちりしたやつを持っていかねば……だんだん、極地探検みたいな装備になってきたな……。

理想的な取材ノート

ライターの仕事で取材に臨む時、僕はノートに手書きでメモをとる。ノートパソコンでメモをとるライターの方も大勢いると思うが、それだと相手との間にノートパソコンのモニタが挟まるのが「壁」っぽく感じられて、個人的にはどうもしっくりこない。常にノートパソコンを開いてキーボードを叩ける環境で取材できるとも限らないし。なので、いまだに紙のノート派だ。

今までいろんなメーカーや種類のノートを試してきたのだが、ここ数年はすっかり、コクヨのキャンパスノート A5 B罫 70枚の一択。大きすぎず小さすぎず、罫も太すぎず細すぎず、ページ数も十分。70枚のノートは町の文具店はそれほど見かけないのだが、うちの近所の文具店では常に置いてあるので助かっている。何より値段が安い。

世界一周旅行の間に日記を書くためとか、そういう用途にはもっとお洒落なノートを使えばいいと思うのだが、なにしろ僕の取材ノートはひたすらミミズがのたくったような殴り書きのオンパレードなので(苦笑)、何も気にせず、雑にがしがし使えるキャンパスノートが、僕には一番合っている。

この間、新しいキャンパスノートをおろしたばかりなのだが、たぶん数カ月後にはボロボロになっているだろう。悪いけど、よろしくね。

似た者同士

ひさしぶりに、腕時計を買った。

僕は昔から、外出時に腕時計をほぼ必ずつけるたちで、以前はスウォッチやG-SHOCK、ここしばらくは高度計のついたプロトレックを愛用している。今回買ったのは、そういう安くて実用性重視のものではなく、もちろん宝飾品みたいに高価なブランド品でもない(そんなのつけてたら、それだけで気疲れする)。かといって、Apple Watchみたいに今風で多機能なものでもない。時刻と日付だけ表示する、機械式、自動巻きの腕時計だ。

ハミルトンというメーカーのラインナップにあるこの腕時計は、長い上に表記がまちまちで、正式名称がよくわからない名前を持っている。パッと見はとても地味で普通なのだが、よくよく見ると、ケースが左右非対称で、右側のふくらみに竜頭が二つ埋まっている。そのうちの一つは、内側にあるベゼルの目盛りを回転させるための竜頭という、誰がいつ何に使うのかもよくわからない機能。1970年代の英国空軍で使われていた時計が原型らしい。機構のシンプルなクオーツと違って、機械式の腕時計は、高級ブランドでなくてもそれなりの値段がする。この時計も、定価だとちょっと躊躇するような値段だったのだが、ネットで検索すると6割くらいの値段で手に入ることがわかったので、思い切って買うことにした。

今になって機械式の腕時計を初めて買ったのには、いくつか理由がある。フォーマルとまでいかなくても、ある程度きちんとした服装でも、リラックスした服装でも、どちらでもつけられるような時計が一つあると便利だということ。しばらく前からデジタル表示の時計ばかり使っていたので、長針と短針と秒針が回る時計を懐かしく、かつ新鮮に感じていたこと。あとは……自分を取り巻く時間の早い流れに左右されないようなものが、何か一つ、ほしかったのかもしれない。

その腕時計は、昨日の夜、宅配便で届いた。黒の革ベルトを腕に巻いて留めてみると、あつらえたように、ぴたりとはまった。小刻みに震えながら回る秒針。耳を近づけると、ほんのかすかに、チチチチチ、と歯車たちが回る音が聞こえる。

僕は、すっかりこの時計が気に入ってしまった。愛着というより、親近感という感情に近い。何だか似た者同士だな、と思ってしまったのだ。

ぱっと見フツーで、でも実はヘンなところもあって、ブランド品みたいな価値はなく、かといって高性能でも多機能でもなく、ぜんまいを巻かないとすぐ止まってしまうヘナチョコさ。ただ愚直に、不器用に、時刻と日付を示し続けるだけの存在。まるで自分みたいだなあ、と。

似た者同士、これからも、末長く、よろしく。

ジーンズにまつわる回想

あれは高校生の頃だっただろうか。初めて自分で選んで、裾上げしてもらって手に入れたジーンズは、リーバイスの502XXのレプリカだった。フロントがジッパーフライで、陸上をやっててウエストの割に太腿が太かった僕でも、楽に穿けるのが気に入っていた。

大学に入って東京に引っ越してからは、アメ横でリーバイスの501やUS505のレプリカを買った。それからしばらくして、リーバイスからリーに鞍替えした。101Zや101Bのレプリカは、買ってからさんざん穿いて、もう破れまくってどうにもならないくらいまで穿き続けた。全部で3本か4本は買ったと思う。周りがみんなリーバイスだったから自分はリーにしたかったという、アマノジャクな理由もある。あと、リーはレングスがリーバイスより少し短くて、裾上げしなくてもジャストで穿けるのも気に入っていた。

30代に入ってからは、日本のメーカーのジーンズも穿くようになった。フルカウントの1101はだいぶ色落ちしたけど、今も穿いている。少し前に買ったオアスロウの105も穿きやすい(ちょっとレングスの設定が短いので、裾上げで調整できる仕様だともっとよかった)。手持ちの中で一番気に入ってるのは、フェローズの421SW。フロントボタンが全部違うとか、ポケットがネルシャツの生地だとか、いろいろ変態仕様なのだが、シルエットがすとんと綺麗で身体になじむ。日本のメーカー(ファストファッション系以外)のジーンズは、生地に各社のこだわりがあるのと、シルエットが日本人になじみやすいこと、ディテールに手を抜いてないところが魅力だなと思う。

……こんな風に思い返してみたら、今まで穿いてきたジーンズの本数って、思っていたより意外と少ないことに気付いた。人生が終わるまでにあと何本穿けるのかな。一本々々、愛着を持ってしっかり穿き倒していこうと思う。

回る回るよ

昨日と今日は、ラダックで撮ってきた写真の整理と、RAWからの現像作業。

ただでさえデリーより暑いほどの東京なのに、D800のバカでかいRAWファイルを扱わなければならないので、作業を始めてしばらくすると、MacBook Proも外付ハードディスクも熱くなって、放熱ファンがキュイーンと回りはじめてしまう。うるさいし、熱気で暑いし、作業中に落ちないか気が気じゃないしで、困ったものだ。

今日中に終わると思っていた作業はまったく終わらず、明日以降も継続。回る回るよ、放熱ファンは回る。