Category: Diary

食パンと男の子

少し前の週末、近所のパン屋さんへ、食パンを買いに行った時のこと。

そこは週末の3日間だけ営業するスタイルのお店で、開店時間の正午から、店の外には7、8人の行列ができていた。僕の前には、お父さんとお母さんと男の子と女の子の4人家族が並んでいた。たぶん、家でのおひるごはんに、惣菜パンや菓子パンを何個か買って帰るつもりだったのだろう。

「ねえ、何のパンにするの?」と、お母さんが男の子に訊く。

「えーっとね、食パン」
「……食パン?」
「ぼく、食パンがいい。食パンが食べたい」

見るからに困惑してるお母さんを残し、お父さんは男の子と女の子を連れて、近所のコンビニにジュースを買いに行った。で、そのうちそのお母さんの番が来て、いくつか惣菜パンと菓子パンを注文して、エコバッグに受け取っている時、コンビニから3人が戻ってきた。

「ねえママ、食パンは? 食パン買ってくれた? 食パン入ってる? ぼく、食パン食べたいんだー!」

生返事をしながら、店の前を離れるお母さん。まあ、そりゃそうだ。その子一人のためだけに、食パン1斤買い足すわけにはいかないだろうし。

しかしまあ、何であんなに食パンが好きになったんだろう。きっと将来、オトコマエになるね(笑)。

航路を決める

来年出すことになった新しい本の制作に、本格的に取りかかっている。とはいえ、原稿はまだ1文字も書いていない。

今取り組んでいるのは、本の各部分のプロット作り。全体のおおよその構成を決めてから、各部分で書こうとしている内容やアイデア、キーワードを、箇条書きのメモのような形で書き出していく。細部を詰めていきつつ、全体的なバランスも都度見直して、より良い形になるように調整していく。地味だけど、妥協の許されない、とても大事な作業だ。

一冊の本を書くのは、小さな船で大海原に漕ぎ出すようなものだ。何も考えずに漕ぎ続けても、目的地には辿り着けない。思わぬ潮に流されて、そのうち力尽きてしまう。漕ぎ出す前に必要なのは、海図を広げて、航路を決めること。何を目印に進むか。期間内に辿り着けるか。そのために何が必要になるか。今取り組んでいるのは、その段階だ。

本というものは、企画と内容を固めた段階で4割、プロットを固めた段階で6割、出来上がっていると思う。実際に書く作業は(それはそれでしんどいが)残り4割のうち2割で、最後の2割が編集と校正。なので、はやる気持ちを抑えつつ、まずはプロットという航路をしっかり見定めようと思う。

パンクな理髪店

1カ月半ぶりくらいに、三鷹にある行きつけの理髪店で、散髪。まだ暑いので、短めに刈り上げてもらう。

店内には、僕の前に一人、後に一人、それぞれ若いお兄さんがいた。店の人が「今日はどうします?」と僕の前の番のお兄さんに聞くと、「モヒカンで!」と歯切れよく答えた。そのお兄さんの髪は、オーダー通り、立ち上がり加減が短めのモヒカンに仕上げられた。

で、僕の後にいたお兄さんが席について、「今日はどうします?」と聞かれると、これまた歯切れよく「スキンヘッドで!」。店の人は、そのお兄さんの頭をウイーンときれいに剃り上げはじめた。

リーゼントやパンチパーマにする人が多めの店だとは思っていたが、最近はパンクな路線に変わったのだろうか。僕も、イナズマ模様の刈り上げにしてもらえばよかったかな。

ヨーイドン

午後、千石で打ち合わせ。来年出すことが決まった、新しい本について。

オンラインとかでなく、対面で仕事の打ち合わせをするのは、たぶん半年ぶりくらいだ。今回の打ち合わせも、「いつもなら小さめのミーティングスペースでやるんですが」と担当編集さんに案内されたのは、14、5人での会議もできるくらいの大きな会議室。ドアも開けて換気にも気を遣っていただいていて、ありがたいことだなと思う。

打ち合わせ自体は、とてもスムーズかつなごやかに進み、諸条件も特に問題なく合意し、つつがなく終えることができた。春先に企画を提案して以来、だいぶ時間がかかってしまったが、これで本格的に執筆に取りかかることができる。ヨーイドン、と自分で自分に声をかけたくなる気分だ。

……ぶっちゃけ、先方で検討してもらっている発売時期を考えると、そんなに悠長に構えてもいられなくなったので、実はちと焦っている(苦笑)。

新しい種類の仕事

来月頃から、新しい取引先と、新しい種類の仕事をさせてもらえることになった。

執筆でも、撮影でも、編集でもない、今までに請け負ったことのない種類の仕事なのだが、執筆と撮影と編集と、それに付随して経験してきた今までの蓄積があるからこそ、請け負うことのできる仕事でもある。何て言えばいいのかな。つまり、右も左もまったくわからない分野ではなく、むしろ今までの経験をフル活用できる分野の仕事、というわけだ。ますますわかりにくいか(笑)。

ともあれ、コロナ禍で先の見えない不況にあえぐ今の世の中で、今回の新しい種類の仕事とか、来年出すことが決まった本の執筆とか、そういう仕事に携わることができるというのは、フリーランスの身空としては有難いことだなとしみじみ思う。

ともあれ、やるからには、がんばります。