Category: Diary

デイリーズのこと

昨日の夕方、自分が出演するトークイベントの会場であるユニテに向かうべく、三鷹駅南口から伸びる中央通りを歩いていた時。何しろ暑かったので、途中で少しだけ涼んでいこうと思い、デイリーズに立ち寄ろうと足を向けた。

驚いた。店の入口がベニヤ板の仕切りで塞がれ、経営元が自己破産したとの紙が貼られていた。なんてことだ……。

僕は今でも月に一、二度、三鷹には来る用事があるので、特にまほろば珈琲店さんで豆を買ったりした時には、ついでにデイリーズに立ち寄ることが多かった。確かに、店内が大勢の客で賑わっていることは多くはなかったが、家具と生活雑貨を扱う店はそんなものなのかなと思っていたし、吉祥寺の東急やパルコにも出店してたから、何だかんだで堅調なのだなと思い込んでいた。そうか……。

トークイベントを終えて家に帰り、妻ともその閉店の話をして、夜、寝床に入ってからも、頭の中ではデイリーズのことがぐるぐると巡って、しばらく眠れなかった。自分でも思いがけないほど、ショックだったらしい。

調べてみると、デイリーズは1999年創業だったそうで、その数年後に僕は三鷹で暮らしはじめた。ほぼ四半世紀、僕の生活の中で、デイリーズは当たり前のように存在していたお店だったのだ。大型の家具を購入したことはなかったけれど、食器やちょっとした雑貨、文具、化粧水、コーヒー用品など、ちょこちょこした買い物でいつもお世話になっていた。隣接のカフェスペースで開催された、アン・サリーさんのライブにも二度ほど参加させてもらったのは、忘れられない思い出だ。

そうか、思い出か。思い出の場所が突然、ごっそりと失われてしまったのが、自分にはこたえているのだな。ふう。

 チルドうどんブーム再来

主に自宅が仕事場なので、おひるは家で食べることが多い。たまに近所のカレー屋さんとかに行くこともあるけれど、毎日外食してると、結構な出費になってしまう。近所のおにぎり屋さんで2つほど買って帰ることもあるが、最近はおにぎり=米も高いから、これも気軽に毎日というわけにはいかない。パン屋の惣菜パンも、おにぎりと同じかそれ以上はするし。

そんなわけで最近割とよくおひるに食べてるのは、チルドうどん。三鷹で一人暮らしをしていた頃、飽き飽きするくらいよく食べてたのだが、そのブームがひさしぶりに再来している。なにせ、チルドうどんは安い。昔より値上がりはしてるが、それでも3玉パック140円くらいで買えるものがある。

指定された時間通りにうどんをゆでてざるにあけ、溶き卵を入れておいた丼に移してざっと混ぜ、醤油をかけ、あれば納豆やキムチを載せる。ぐるぐる混ぜて食べれば結構おいしいし、栄養もそれなりにある。今みたいに暑い時期には、ゆでたうどんを冷水で締め、大根おろしと醤油をかけ、そのままさっぱり食べるのもいい。最近、自宅でうどんを食べる時はこの二択になっている。

今日もおひるは、納豆キムチ釜玉醤油うどんにした。とりあえず、また飽きてくるまでは、このマイブームに乗っていこう。

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アーシュラ・K・ル・グウィン『火明かり』読了。岩波書店の『ゲド戦記』シリーズの最終巻として刊行された一冊。外伝にあたる短編『オドレンの娘』は、誰が正で誰が邪か、何が真実だったのか、わかりそうでわからないままに終わる物語で、いかにも後期のル・グウィンらしい作品。そして、ル・グウィンの死後に発表されたという表題作は……ゲドがついに迎えた最期の夜を、これ以上ないほど穏やかに、鮮やかに描いている。凄い作家だ……。完璧なエピローグを遺してくれたことに、感謝したい。

もう梅雨明け?

ほんの三週間ほど前に、梅雨入りらしい感じで梅雨になったなあ、というブログを書いたのだが、西日本では、もう梅雨明けしてしまったらしい。東京も七月上旬には梅雨明けするかも、との予報。このままだと、史上最短の梅雨になってしまいそうだという。

水不足による農作物への影響も気になるが、今すでに始まっている灼熱の夏の日々が、このまま三カ月くらい続くのかと思うと、ちょっとげんなりしてしまう。まあ、八月は三週間ほどガイドの仕事でラダックに赴くので、その間だけ少し涼しい日々を過ごせはするのだが。

しかしまあ……やっぱり、異常気象なのかな。異常が当たり前になってしまってる感じもするけど。

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橋本倫史『ドライブイン探訪』読了。日本各地のドライブインをくまなく何度も訪れ、店主の方々から聞いた話を虚心坦懐に書き綴った本。膨大な時間と手間をかけた取材の成果が凝縮されている。橋本さん自身はあとがきで「文章にまとめる上で心がけたのは、表現しないということだった」と書いているが、謙虚なスタンスで綴られる言葉の端々からごくうっすらと滲み出る橋本さんの熱意は、読んでいて確かに感じられたし、その気配に心を動かされた。

謎の発熱

先週、謎の体調不良に見舞われた。3日間ほど、ずっと発熱していたのだ。

熱が出たとか、いつ以来だろう? すぐには思い出せないくらいのひさしぶりの事態。喉が痛いわけでも、鼻水が出るわけでもなく、寒気もなければ、頭痛もまったくない。ただ、何となく身体全体がほんのり熱っぽい状態で、体温計で測ってみたら37、8度を行ったり来たり。解熱剤をキメればいったん下がるが、何時間か経つとまた上がる、といった具合。

おそらく、先週は急に阿呆みたいに暑くなったので、身体が温度変化に対応できず、夜寝てるうちに、軽い熱中症のような症状になってしまったのではないかと思う。幸い、食欲は普通にあったので、部屋の冷房をしっかり効かせて、水分と栄養補給を心がけつつ、デスクワークの合間にできるだけ昼寝などして休養に努めたところ、週末にはすっかり回復した。やれやれ。

しかしまあ、酷暑期のインドでもならなかった熱中症に、東京の自分ちでなってしまうとは……。みなさんもお気をつけください。

おっさんの自覚

四十代後半くらいまでは、自分がおっさん化していくことに、どうにかして抗おうとしていたような気がする。

髪に白髪が混じりはじめた頃はいちいち抜いたりしていたし(早々にあきらめた)、腹が出た体型にはなるまいと地味な筋トレを始めたし(これはいまだにやってる)、世の中で流行の話題も、なるべくフォローしていこうとしてはみた。

しかし、今や五十代も半ばである。髪は三割くらいは白くなったし、体型はまだかろうじて維持できているものの、肌などは年相応。家にテレビを置かなくなったこともあり、世間の流行にはまったくついていけなくなった。

でもまあ、そんなこんなのあれこれも、最近はまったく気にならなくなった。おっさんで結構。だって、おっさんなんだから。それはそれで、おっさんでしか味わえない境地を、今のうちに味わっておこうと思う。あと十年か十五年もしたら、今度はじいさんになるんだから。

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橋本倫史『2024年の本部町営市場』読了。明治時代の終わり頃に発祥し、戦後の闇市を経て、現在の建物になってからも50年以上の歴史を持つ、沖縄の本部町営市場。その市場の建物が、耐震強度不足などを理由に取り壊されるという方針が突然発表された。さまざまな思いを持ちながらも困惑する、市場に店を持つ人々。そうした23人の人々の声をまとめ、急遽出版されたのがこの本だ。当事者の方々の切実な思いとともに、本部町営市場という場の持つ魅力そのものも、それぞれの方々の視点から伝わってくる。自分も、いつかまた沖縄に行く機会があれば、この町営市場を訪ねてみたい、と素直に思った。それまで、市場自体が少しでも良い形で存続してくれているといいのだが。