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「うまくなる」ということ

文章も、写真も、もっとうまくなりたい。いつもそう思っている。

今の自分に実力が不足しているのは自覚しているけれど、僕にとって文章や写真が「うまくなる」ということは、単に力を高めるというのとは、ちょっと意味合いが違う気がする。どちらかというと、「引き出しの数を増やす」というのに近い。どんな場面に遭遇しても、自分の意図を伝えるのに一番ふさわしい方法をスッと選べる、余裕のようなもの。引き出しの数の多さに頼るのではなく、独りよがりに力でねじ伏せるのでもなく、対象により集中して向き合う余裕を持つためというか。

文章や写真の実力は、周囲の人々からの評価の度合いによって測られるものだと思うけど、周囲からの評価を高めること自体が目的化するのは、たぶんあまりよくない。一時的なチャレンジならまだしも、それが常態化するのはちょっと違う気がする。結局、その文章で、その写真で、何を伝えるのかが一番大事。引き出しの多さも、磨き上げたスキルも、伝えるという目標を達成するための手段でしかない。

だから、もっとうまくなりたい。たぶん、死ぬまでずっとそう思い続けている。

本を作る時間

来月下旬に出す予定の本の制作が、どうにか印刷所に入稿できる段階にまでこぎ着けた。あとは色校の段階で慎重にチェックすれば、ほぼ問題なく完成させることができるだろう。

肩の荷が一つ下りて、かなりほっとした気分になっているけど、正直、ちょっとさみしくもある。

自分自身の本を作る時間は、なんだかんだで、楽しいのだ。スケジュールに追われて気は焦っていらいらするし、目は疲れるし、肩は凝るし、寝不足にもなるし、しんどいことだらけなんだけど、でも楽しい。人それぞれに天職と呼べる仕事があるのなら、僕にとっては本づくりがそうなのだと思う。

しんどくも楽しい時間が過ぎていく。そして一冊の本ができあがり、誰かのもとへと旅立っていく。

これからの十年

昼、新宿で取材。今年もいよいよ始まった、大学案件シリーズ。今月はまだ序の口だが、来月下旬あたりから確実に、死ぬほど忙しくなる。毎年のことながら、体力勝負の春になりそうだ。

取材を終えた後、すぐ歩いていける距離だったので、先週切り替えを申請しておいた新しいパスポートの受け取りへ。窓口は空いていて、あっという間に受け取ることができた。窓口で自分の名前と生年月日を口にするように言われ、何だか新鮮だった(笑)。

新しいパスポートはぴかぴかで、しわもよれもなく、ページをめくるとぱりぱりと音がする。それだけで、何だかとても気分がいい。まあ、そう遠くないうちに、いろんなスタンプを乱暴に押されたり、ビザのステッカーを適当に貼り付けられたり、入管で雑に扱われたりで、どんどんよれていくのだろうけど。

これからの十年、僕はこのパスポートで、どんな旅をするのだろう。ラダックか、アラスカか、それともまだ見ぬ地に行くのか。わからない。だから楽しい。まっさらなページに、これからの僕の旅が刻み込まれていく。

「地球の歩き方 タイ 2016〜2017」

地球の歩き方タイ一昨年と昨年に引き続き、撮影とデータ取材の一部を担当させていただいた「地球の歩き方 タイ 2016〜2017」が2月8日(月)頃から発売になります。今回の改訂版では、巻頭のカラーグラビアで、タイ北部の街めぐり(チェンマイ、ラムパーン、プレー)で6ページ、タイ国内の世界遺産の紹介(主な内容は昨年と同じですが、写真の大半は撮り下ろしを含めた別カットを使用)で5ページの写真を提供しています。その他には、本全体の巻頭トビラとタイ中部の章トビラの写真、カンチャナブリーの項にある泰緬鉄道の見開き写真なども。書店で見かけたらお手に取ってご覧になっていただけるとうれしいです。

ふと気がつくと

午前中に家を出て、昼、神保町でインタビューの収録。今日も面白い話を伺うことができた。終わった後、カメラバッグを背に渋谷に移動。マメヒコでコーヒーを飲んだりして少し時間をつぶし、夕方から新しい仕事の打ち合わせ。この案件、年に数回のペースで発生することになりそうだ。

ふと気がつくと、今、やっぱり、仕事の数が集中しすぎてる。いや、うすうす感づいてはいたんだけど、それにしても……。あれもやらなきゃ、これも進めとかなきゃ、と気ばかり焦って、何だか落ち着かない。ほんとに全部捌けるのかな、大丈夫かな、と自分でも自信が持てなくなる。

まあでも、やるしかない。それが仕事だから。