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スピティの映像の再放送のお知らせ

2015年11月23日(月祝)夜にTBSで放映された「テレビ未来遺産 地球絶景ミステリー」。この番組の中で放映されたスピティの映像が、2016年1月1日(金祝)元旦の朝5時から、内容を一部変更して再放映されることになりました。番組名は「謹賀新年! 一生一度は見てみたい 世界のふしぎ絶景10」。先日の放送を見逃した方や、もう一度見てみたいという方は、ご覧になっていただけるとうれしいです。よろしくお願いします。

「書く」ということ

部屋で仕事。来年出す予定の本に収録するための原稿を書く。

しばらく前から準備していたこの原稿は、今年取り組んだ中でも、自分にとって一番大切な文章だ。今年だけじゃなく、ここ数年の間でも一番大切かもしれない。どんな文章にするかというイメージは、ずっと前から自分の中で思い描いていて、かなり具体的な形になっていた。でも、なかなか書きはじめられないでいた。少し怖かったのかもしれない。慎重に言葉を選び、自分の気持ちに重ね合わせ、これか、いや違う、と逡巡をくりかえしていた。

でも今日、その文章……たった3000文字ちょっとの長さだけれど、それを最後まで書き終えることができた。書いている間、自分でもびっくりするほどの集中力で、ありったけの気持ちを注ぎ込み、一文字ごとにもがきながら、必死になってキーボードを叩いていた。自分の中に魂みたいなものがあるとしたら、今日一日で、ごっそり削れてしまっただろうと思う。

そうしたら、本当に最後の数行の部分で、自分でも思っていなかったような言葉……たった六文字の言葉が、すっと浮かんできたのだ。その六文字が入ることで、すべてがぴったりと重なり合う。これで書ける、とようやく確信することができた。最後の一行まで書き終え、最初から読み直した時、バカみたいだけれど、ちょっと涙が出そうになった。

「書く」というのは、たぶん、こういうことなのだ。だから僕は、この仕事を続けているのだと思う。

あぶく

窓の外は、冷たい風が吹き荒れている。

終日、部屋で仕事。制作中の本のゲラチェック。土日は電話やメールで邪魔が入らないので作業に集中できる……と考えてる段階で、何か間違ってるような気がしないでもない(苦笑)。

コーヒーとショートブレッドで休憩し、再び作業に没頭。晩飯はパスタを茹でてさっさとすませる。パスタパンを洗っている時、洗剤をつけたスポンジから、ぽぽっ、と泡が立ち、いくつかの小さなあぶくが宙に浮いた。すぐに消えるかと思ったあぶくたちは、意外としぶとく、ぷわぷわと流し台の上を漂い続けた。

僕も、このあぶくみたいなものだな。どのみちすぐ消えてしまうのだろうが、なるべくしぶとく、あがいてみよう。

旅の本、冬の時代

旅の本が、売れていない。書店の旅行関連コーナーに行っても、平積みされている新刊の点数が明らかに少ない。各社でシリーズ化されている旅行ガイドブックも軒並み低調だそうで、コスト的に改訂のメドが立たないものまであるという。

そもそも、海外旅行業界全体が思わしくない状況のようだ。長引く円安傾向に加え、混迷を極める中東の政情不安は、テロという形で欧米諸国にも波及している。地震などの自然災害や、少し前のエボラ出血熱の流行など、マイナス要因を挙げはじめたらきりがない。プラスになりそうな要因は、原油安による燃油サーチャージの低下くらいだろうか。今、日本からの旅行先で安定して人気なのは、台湾だけではないかと思う。その証拠に、台湾関連の本や雑誌、ムックの刊行点数だけが、最近飛び抜けて多い。

こういう状況になると、しばらく前からいつのまにか「トラベルライター&フォトグラファー」みたいなレッテルを貼られている(苦笑)僕のような人間は、やっぱり困る。僕自身は別に旅だけを専門にしてるわけではなく、今も旅とはまったく関係ない本を編集していたりするのだが、個人的に大切にしている企画のいくつかが旅にまつわる本であることは間違いないので、こういう旅行書の冬の時代の到来はきつい。

新しい旅の本の企画書を作っても、出版社では今、前にも増してなかなか相手にしてもらえない。多くの出版社が望むのは、とにかく確実に売上が見込める本。斬新なアイデアは敬遠される。だから、他社の売れ筋企画を臆面もなくパクった本が次々と出てしまったり、同じ地域についての本ばかりが妙に増えてしまったりする。本が売れないから、出版社が用意する予算はどんどん少なくなり、それにつれて品質も下がっていく。

そんな冬の時代に、僕のような人間には、何ができるのだろう?

この仕事をしている以上、常に心のどこかで、カキーンと逆転満塁ホームランを放つためのアイデアを考え続けてはいる。でも、その確率はあまり高くないし、たとえ打てたとしても、実際はそれほど潤沢に報われるわけでもない。

それよりもたぶん大事なのは、逆転満塁ホームランとは別に、本当の意味で自分が大切にしているもの、作りたいと思える本のアイデアを、ぶれずに心の中で持ち続けることなのだと思う。仕事をどうにかこうにかやりくりして持ちこたえながら、チャンスが訪れるのを、息を潜めて虎視眈々と待ち続けるしかないのだ。

‥‥ほんと、バイトでもしようかな(苦笑)。でも、もうしばらく、がんばろう。作りたい本を、作るために。

カレーにソースをかける

終日、部屋で仕事。先々週に収録したロングインタビューの草稿は、とりあえず完成。推敲のためにいったん寝かせて、年明けから始まるWeb連載の構成決めと写真のセレクトに取りかかる。

今年の年末は、本当にのっぴきならないほど忙しい。晩御飯をゆっくり自炊をする心理的余裕もない。なので今夜は外食。ひさしぶりに近所のココイチで、カキフライカレーを食べる。

いつからだったか忘れたが、僕はカツカレーなど揚げ物トッピング系カレーを食べる時、揚げ物の部分にウスターソースをちょろっとかけて食べるのが好きになった。カレーにソースをかけるのは、カレーの味の濃度にもよるし、好き嫌いが分かれそうだけど、オーソドックスなカレーと揚げ物にソースをちょろがけするのは、個人的にはアリだと思っている。

生卵をのせるとか、ソースをかけるとか、カレーの食べ方に関して僕はかなりマイノリティなのかもしれないけど、食ってる本人がうまいと思うなら、いいじゃんそれで、と開き直ってみる。