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自由な時間

ここしばらく、たまりにたまってた仕事の山を、我ながらものすごく地道に崩し続け、ついさっき、どうにかこうにかきれいさっぱり片付けた。

関係各所からどんな回答が返ってくるかにもよるが、少なくともあと2日間くらいは、何も考えずに休むことができそうだ。ひっさしぶりに、肩に何の重荷も載ってない、自由な時間。ほんとに大丈夫か?と疑心暗鬼に陥りそうになるのは、もはや職業病なのだろうか。

明日、何しようかな。コーヒー飲んで、本読んで……何もしないでいようかな。

結局、ベタ踏み

昨日と今日、そして明日は、家に籠って、急ぎの原稿書き。来週はまた別案件の急ぎの原稿書き。週末は横浜で展示中の写真展に在廊しに行かねばだし、少なくとも今月末までは、ぱっつんぱっつんの日々が続く。

たしか1カ月ほど前に、これからはちょっと仕事が落ち着くはずだから、年末からベタ踏み状態だったアクセルをゆるめて、ちゃんと休もう、という意味のエントリーをここに書いていた気がする。それは結局、儚い希望的観測のままで終わってしまった。5月には終息すると思っていた大学案件が想定外のボリュームで追加されてしまったり、ブータン取材に京都でのイベント、横浜での写真展など、いろいろありすぎて、結局アクセルはベタ踏みのまま。オーバーヒートして焼き切れそうな勢いで、梅雨空の下を突っ走ってる状態だ。

何かもう、ここまで来たら、行けるところまで行ってやれ、という気にもなっている。どうせ7月半ばからは約1カ月のインド暮らしだし。今、やるべき時に、やれるだけのことをやる。ひと息つくのは、ラダックに着いてからでいい。

縦位置と横位置

ブータン取材で撮影してきた写真を現像しながら整理していて、これはまあまあいけるかな、と思えるものをピックアップしていたら、なぜか縦位置の写真ばかりになってしまって、自分でもちょっとびっくりした。

一般的なデジタル一眼レフカメラで撮る写真は、だいたい3:2の比率になり、普通に構えて撮れば横位置、縦に構えて撮れば縦位置になる。僕は基本的に昔から横位置の写真が好きで、縦位置で撮ろうと考えることもあまりなかった。だから縦位置の写真は苦手というか、ぶっちゃけ下手だった(苦笑)。

ところが、必要に迫られて仕事で旅の写真を撮るようになると、下手ですませるわけにはいかない。本や雑誌の仕事では、縦位置の写真のニーズは一般の人が想像する以上に多いのだ。だから、ちょっとでも余裕のある撮影場面では、横と縦の両方を押さえる癖がついたし、苦手を克服しようと縦位置での構図の作り方をいろいろ試行錯誤するようになった。そうした試行錯誤の成果が、ようやく最近になってちょっとずつ現れてきたということなのだろうか。まだ得意とまでは、とても言えないけれど。

そういえば、以前「撮り・旅!」で鮫島亜希子さんにインタビューさせてもらった時、「いい被写体に出会った時、横位置で同じような写真をがしがし撮ってしまいがちだけど、そういう時に意図的に縦位置でも撮ってみて一呼吸おくと、自分が何を撮りたいのかがわかってくる」という意味のことを話していただいたのだが、それは本当に正しいと思う。冷静さを取り戻すのに、横から縦へのスイッチというのはかなり効果的だ。

去年見たドキュメンタリー映画で知った写真家ソール・ライターは、映画の中でも頑ななまでに縦位置の写真にこだわって撮り続けていたのが印象的だった。ミラーレス一眼カメラを、最初から縦位置にして持ち歩くほどに。彼の見事な縦位置の作品群にちょっとでも近づけるように、日々精進していかねば。

ところ変われば

午後、横浜中華街へ。今日からスタートする写真展の設営をしに行く。脇にはA2サイズのパネルを収めた袋を抱え、背中のバックパックには売り物の本やら何やら。先週の打ち合わせの時にA3のパネルだけ先に搬入しておいて、ほんとよかった。

パネルの設営は、一人で淡々と、3時間くらいかけて慎重に進めた。リトスタに比べると壁の凸凹が多いので、脱落しにくいようにパネルを固定するためにあれこれ検討しながら、壁にマスキングテープを貼り、その上から粗面用の両面テープでパネルを貼っていく。今回は2週間だし、何とかもってくれればいいのだが。

パネルをすべて貼り終えて会場を見回すと、三鷹の時とはまたひと味もふた味も違う、旅の情感がぐるりと渦巻いているような、とても濃密な雰囲気の展示になったように感じた。ところ変われば、写真の見え方も受け止められ方もずいぶん変わるものなのだなと思う。

横浜中華街での展示は、6月29日(水)まで。未見の方は、ぜひに。

写真展「風息の行方 ラダック ザンスカール スピティ」@横浜


3月末から5月末まで、三鷹で開催していた写真展「風息の行方 ラダック ザンスカール スピティ」を、6月中旬から約2週間、横浜中華街の「旅カフェ&バル Short Trip ショートトリップ」で開催させていただくことになりました。店内の構造と会期を考慮して、三鷹の展示での前期と後期の内容を合わせて再構成した展示にします。「ラダックの風息[新装版]」に未収録エピソードの小冊子と新旧表紙写真のポストカード2種をセットにした「ラダックの風息[新装版]限定特典セット」の販売も行います。横浜方面の方々、そして三鷹での展示を見逃したという方、ぜひお越しください。

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山本高樹 写真展
「風息の行方 ラダック ザンスカール スピティ」

インド北部、ヒマラヤの西外れにひっそりと息づくチベット文化圏、ラダック、ザンスカール、スピティ。この地をずっと見守り続けてきた「ラダックの風息[新装版]」の著者、山本高樹による最新写真展。空果つる地を吹き抜ける、風息の行方を辿る旅へ。

期間:2016年6月14日(火)〜6月29日(水)
会場:旅カフェ&バル Short Trip ショートトリップ
神奈川県横浜市中区山下町214 RIビル2F
TEL&FAX 045-641-6950 http://shorttrip.info
時間:14:00〜23:00
定休:月曜日
料金:無料(会場が飲食店なので、1品以上のオーダーをお願いします)

※会場では山本高樹の最新刊「ラダックの風息[新装版]」に部数限定の小冊子「未収録エピソード」とポストカード2種をセットにした「ラダックの風息[新装版]限定特典セット」の販売も行います。